おちおち死んでられまへん 斬られ役ハリウッドへ行く (集英社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087461923

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  • 日本のハリウッドから世界のハリウッドへ。
    逝去された事はいまも消化しきれておらず、前作を読み終えてからもしんみりとしていた。
    でも前作から1年後に刊行された本書では「どこかで誰かが…」どころか世界中の不特定多数の人たちが注目しているのを証明してくれている。気落ちばかりしていないで、一緒に辿ろうと腰を上げた。

    本書最大の目玉はやはり『ラスト・サムライ』への出演エピソードだろう。基本的に台本は不要と言われる斬られ役を続けてきた中でのハリウッドデビュー。福本さんの「サイレント・サムライ」は、要とは行かずとも決して忘れられない役だった。
    出演のきっかけはラッキーと言えばラッキーだけど、何十年も住み慣れた井の中から大海を目の当たりにする機会が福本さんに巡ってきたのはファンにとっても嬉しい。定年を迎えられたのが『ラスト・サムライ』なのにも運命を感じてしまう。
    リアル将校さんによる訓練があったりと「アメリカ製時代劇」の舞台裏を伺えるのも貴重だったりする。(日本の時代劇の方が作り物感があるのは意外だったけど確かに、頷ける…)

    普通ならハリウッドの大作に関われただけで浮き足立っちゃうのに「それどころやない」と現実を直視されている。言い方を変えれば必要以上に立場を弁えられているんだろうけど、これが自分にとっていちばん見習わなきゃいけないところ…汗

    ラストは『どこかで…』で始まった時と同じ東映京都撮影所の掲示板前に帰着する。でも前作とは打って変わって、今は晴れ晴れとした気持ちでいる。気分転換にアメリカを見たというのもあるだろうけど、福本さんのほっこりする口調やその中に佇む信念に元気付けられたことが強いのかもしれない。本を開けばまた会える。他の誰かも、またこうしてどこかで福本さんを見てくれているに違いない。

    ※一番笑ったのは15歳で京都に出られた時について、「夢なんか抱きませんて。ボストンバッグ抱いてましたわ」と放たれたこと。飄々としていながらよくこんな風に冗談を飛ばす。2冊を通して良い意味でイメージが覆った。

  • 現在民放唯一の連続時代劇として孤軍奮闘する「逃亡者おりん2」にて、なんと福本清三さんがレギュラー出演してゐるではありませんか。
    しかも、おりんを狙ふ謎の悪党集団「剣草」の首領役であります。大物なのです。因みに役名は酉兜幽玄(とりかぶとゆうげん)。名前からして只者ではない。

    本書は、そんな福本さんが「ラストサムライ」に出演した時のエピソオドが中心になつてゐます。聞き書き担当は前作「どこかで誰かが見ていてくれる」と同様、小田豊二さんであります。どうやら何度も京都まで足を運んだやうです。

    全編読みどころで、前作同様痛快な清三語録が実に良い。
    「ラストサムライ」に出演してみて、日米の映画に対する考へ方がずゐぶん違ふことに気付いたさうです。
    ハリウッドでは、日本の時代劇みたいな映画的約束といふものがないらしい。リアリズムを追求するのだとか。日本の時代劇にオーヴァーアクションが多いのは、歌舞伎出身の役者が多かつた影響ですかな。確かに冷静に考へれば、不自然なのですが、福本氏のいふやうに、それが日本映画のいいところでもあります。やはり娯楽映画には荒唐無稽さとか、夢を与へる要素がほしいところです。

    また、年輪を重ねた人ならではの人生観がそこかしこに散りばめられ、思はずうなる箇所も多い。河出書房ではないが、ヘタな人生論より福本清三、てな感じです。
    今度は「おりん」に関するネタを中心に、三冊目を待望するのもであります。では。

    http://ameblo.jp/genjigawa/entry-11179270940.html

  • 物心ついた頃からずっとこの人を見ていました。
    端役は役名もなく、テロップで名前が載っていても誰が誰だか判らないので、ずっとこの方のお名前を知らずに時代劇ファンしていたんです。
    いつも悪役メイクは目の辺りをきつく濃い目にするので、母と一緒に毎回テレビの前で「今日も出ているよ、この人。(メイクが)濃い人!」とブラウン管を指差しては嬉しくなったものです。
    なのでずっと我が家での彼の愛称は 濃い人 でした。

    そんな彼もラストサムライでハリウッドデビュー。
    一気に名前も広まりました。

    で、そんな彼から話を聞いて本にしたのがこれ。元はハードカバーだったようですが、文庫版が出たのでそちらで買いました。

    ラストサムライの裏話。
    …日本の時代劇はかつらが当たり前だけど、あちらさんは全て自毛でやるもの。てことで、あの映画の福本さんの髷は自分の毛を伸ばして真ん中だけ剃ったんだそうな。

  • 沈黙の侍。
    日本映画とハリウッド映画の考え方の違いなどもわかる。
    ラストサムライを見る前に。

  • 「どこかで誰かが見ていてくれる」に続く聞き書き本。「ラスト・サムライ」の裏話は面白い。巻末の作品リストにはびっくり。「西部警察」にも出演されていたとは・・・。

  •  
    ── 福本 清三《おちおち死んでられまへん ~ 斬られ役ハリウッドへ行く
    200404‥ 創美社 20070720 集英社文庫》小田 豊二・聞き書き
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4087461920
     
    ── 福本 清三《どこかで誰かが見ていてくれる ~ 日本一の斬られ役
    200111‥ 創美社 20031216 集英社文庫》小田 豊二・聞き書き
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4087476510
     
    (20210105)
     

  • 2010/09/19 泣ける。ハリウッドの時代考証がすごい!というのは??だが。なぜか出てくるお殿様・黒田さんの話もなかなか。

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