愛犬ビンゴ シートン動物記 (集英社文庫)

  • 集英社
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087605594

感想・レビュー・書評

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  • この本には短編の「愛犬ビンゴ」のほかに2作品が収録されていますが、犬の話は愛犬ビンゴだけです。

    子犬で譲り受け2年弱ほど一緒に暮らし、その後は他の家で過ごしたたビンゴの一生が描かれています。ただ、1880年代の話ですので、「ひどくぶたれた」とかコヨーテの惨殺など、あのシートンもこんなことをするんだと、認識を新たにしました。

    この本の解説に「犬は最初に自分に愛情を注いでくれた人に対して、生涯にわたって忠誠を尽くす」とあります。なるほど、です。また、「犬を飼うなら、一生その犬と生活を共にする心構えが必要です」この解説がいつ書かれたものかわかりませんが、全くそのとおりですね。

  • シートン文庫本2冊目。
    表題作の愛犬ビンゴが良い。
    最後はホントにぐっと来た。

  • 表題作の愛犬ビンゴ、当時のアメリカの雄大な自然の中でのびのび個性のままに育った黒犬ビンゴ。
    ペットと人の関係についても描かれています。子供達の慈しむべき存在でありながら、大人には有益である犬。昔飼っていた犬の事を思い出して泣けてしまいました。

  • この本で収録されている一番好きな話はやはり「銀ギツネ」の話。誕生から独立、家族を持って幸せに過ごしていた所に現れる猟犬という厄災。物語の展開はもちろんのこと、あまり知らなかったキツネの生態についても詳細に書いてあるので、色々な驚きがあり楽しめました。
    (少し前に「キツネの鳴き声がわからない」といった歌詞の歌が流行ってたけど…シートンの本に鳴き声書いてあったw)
    読後には心の芯が温まりつつ、爽やかな気分にもなれるような素敵な話でした。

    個人的にシートン動物記とファーブル昆虫記は、いくつになって読んでもかつて幼少期に感じていたワクワクを鮮明に呼び起こしてくれます。
    この本も、お気に入りになりそうです。

  • 子供の頃、シートンその人の伝記を読んだことはあったが、肝心の『動物記』は読んだことがなかった。この夏、集英社が文庫版(全3冊)を出版したので、購入してみた。今回読み終えた『愛犬ビンゴ』は、そのうちの1冊。

     この本は三部構成で、「愛犬ビンゴ」、「銀ギツネの伝記」、「ウェイ・アッチャ ―キルダー川のアライグマ」からなる。まず「愛犬ビンゴ」は、シートンが20代の頃に飼っていた猟犬の物語。アメリカ版中犬ハチ公といったところである。次が「銀ギツネの伝記」。勇敢な銀ギツネ ドミノの物語である。「アライグマウェイウォッチャー」は、いたずら好きの愛らしいアライグマの物語。

     最も面白かったのは、「銀ギツネの伝記」。銀ギツネドミノを主人公とした物語である。キツネというと、『ニルスの不思議な旅』に登場するレックスのような、ずる賢いキツネを想像してしまう。また、日本では、キツネは人を化かす動物として扱われている。見た目は愛らしいのに、とかく、キツネに悪いイメージがつきまとっている。

     実際、キツネが賢い動物であることは、この「銀ギツネ」を読むとよくわかる。例えば、銀ギツネドミノは、人間の仕掛けた罠をことごとく見破り、さらにその近くにマーキングをして罠を仕掛けた人間を馬鹿にするような行動をとる。他にも、追跡者を撒くために足跡を消し、匂いを消すため川に入るなど、とにかく頭が良い。ズルイ動物というキツネのイメージは、こうした賢さから由来しているのであろう。

     だが、少なくとも銀ギツネドミノは、およそズルイというイメージから程遠いキツネである。特にそう思わせるのは、物語最後の猟犬からの逃亡劇。目を血走らせヨダレを垂らしながらドミノを追いかける数十頭の猟犬、それから必死に逃れようとするドミノ。思わず悲鳴をあげそうになるほど手に汗握る場面である。ドミノが、妻を救うため自らが囮となり、たった1匹で数十頭の猟犬の追跡を引き受けるのだ。この場面から想像されるのは、愛情深く勇敢なキツネの姿であった。

     キツネとアライグマなどは、動物園などでなじみの動物だが、その生態は知らないことばかり。特に、上のドミノのところで触れたが、夫婦関係や家族関係など、彼ら(キツネとアライグマ)の家族生活には、驚かされる話が多かった。また、生き生きとした描写は、読んでいて思わす微笑んでしまうほど。シートン自らが描いた動物たちの挿絵も、想像を助けてくれて嬉しかった。引き続き『シートン動物記狼王ロボ』を読むつもりである。

  • 08mmdd読了

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著者プロフィール

1860年イギリス生まれ。アメリカの博物学者。詳細な自然観察をもとに、『私が知っている野生動物』をはじめ、数多くの動物物語の傑作を書く。1866年6歳の時に父親の事業の失敗で家族とともにカナダへ移住、奥地の森林地帯で開拓生活を送り、野生の動植物に深い関心を抱く。インディアンの生活と文化に学んでウッドクラフト運動を始め、アメリカ・ボーイスカウト連盟の初代チーフ・スカウトを務めるなど、生涯、野外活動の実践的な指導者、普及者であった。またトロント、ロンドン、パリで絵を学び、画家として活躍。1946年アメリカ西部のニューメキシコ州サンタフェで86歳の生涯を閉じる。

「2023年 『二人の小さな野蛮人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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