人魚姫 エリカ&パトリック事件簿 (集英社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (640ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087606812

作品紹介・あらすじ

男の変死体が凍った湖で見つかった頃、作家デビューしたエリカの友人に、命を脅かす脅迫状が届き始めた。そして各地で謎の青いドレスの女の目撃情報が…。北欧発大人気ミステリ第6弾。解説は太田愛氏。

感想・レビュー・書評

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  • スウェーデンの女流作家によるミステリ。
    「エリカ&パトリック事件簿」も6作目。

    1作目で再会して恋に落ちた幼馴染のエリカとパトリック。
    家族を含めた人生模様と、事件の関係者それぞれの人間像がこってりと書き込まれているのが特徴です。
    ありとあらゆる問題が取り上げられている現代版・人間喜劇みたいな。

    エリカは妊娠中で、しかも双子とわかっている。
    妹のアンナも、ダーンとの仲が安定し、妊娠中。
    最初の出産後の大変さを思うと時に不安になるエリカだが、今回はパトリックもいぜんよりはわかっていて協力的。

    パトリックの勤める署では、行方不明だった男性の死体が発見されて事件となる。
    同じ頃、作家デビューしたエリカの友人クリスチャンに問題が発生。
    デビュー作「人魚」の出版記念パーティの席上、脅迫状が送られてきて、クリスチャンが失神したのだ。

    パトリックの抱える事件と、エリカが心配するクリスチャンの身辺。
    病に伏していたクリスチャンの知人の妻も命を落とし、病気だったからではなく殺されたのだと夫は嘆く。
    周りにも不審な出来事が起きていたのだ‥

    クリスチャンのことを何も知らないことに今さら気づくエリカ。
    それは、クリスチャンの年若い妻も実は同じだった。
    いろいろな夫婦の抱えている問題が描かれていきます。
    嫌な男の描き方の上手いことったら‥!

    大きなお腹を抱えて気になることを追いかけ、どこにでも行くエリカ。
    だいぶ、たくましくなって来たようです。
    心配しつつも、そういうのがエリカなのだと認めているパトリック。

    アマゾンではえらく評価が低いですね。
    実力派なんで、そこまで不出来ではないんだけど‥1、2を争う傑作とまではいえません。やはり、いいのは「説教師」かな。
    元々このシリーズをそれほど好きでない人だったら、そうなっちゃうかな‥
    ちょっとこのラスト、アメリカのドラマのようなあざとさで、先は強烈に気になります! これが読後感としてはちょっと‥満足感えられないからかも‥?(苦笑)

    追記:
    「ミステリ(未分類)」というカテゴリーを作ってしまったのが、わかりにくくてすいません‥
    ヒロインとヒーローで分けているため、どっちともいいがたいのが未分類になっています。
    ほとんどはカップル探偵ということです。

  • おそらくレックバリという作家は「事件」を描きたいのではない。遠い異国スウェーデンであろうと私たちの国であろうと同じ「あたりまえの、ありふれた世界」。そんな「人の営みの中にある事件」を描きたいのだ。

  • 通勤途中行方不明になった中年男性が凍った湖で発見された。
    同じ頃、デビュー作『人魚』を上梓したばかりの作家の元に脅迫状が届く。
    友人同士に相次いで起こった事件にパトリックの所属するターヌムスヘーデ署もエリカも振り回されて行く。

    今回も読み応えたっぷり。
    ほんの脇役にもきちんとしたドラマが用意されていて、物語に厚みを出している。
    キャラクタの誰もが気になってしまう。
    本筋はかなり重いのだけど、読了感がそれ程悪くないのはパトリックとエリカがきちんと日常生活を営んでいるから。地に足を付けた人の逞しさを信じられるから。
    そしてメルバリ署長の愛すべき一面w
    数多ある北欧ミステリの中でかなり好きなシリーズ。
    ラストの引きに次作への期待が膨らむ。

  • 北欧ミステリが好きな同僚からのおすすめ。氷姫からシリーズ5冊。女性作家ならではの育児(子供と夫)のシーンが独特。

  • 途中からオチが想像できるけど、登場人物たちと彼らの私生活を覗き見ながら謎を解いていける。とても親近感を覚えてしまい、テレビドラマ的と評されていることに納得感。

  • ハリー・ポッターは最終巻上巻の途中で中断中ですが、飛行機で移動する機会があったので楽しみに読んでいるシリーズものの最新作を購入。今回も一息に読んでしまいました。事件は複雑な背景を持ち捜査は難行、犯人も動機も一切わからないなか脅迫の手紙を受け取る人々に次々危険が迫るという、緊迫したものなのですが、メルバリ署長やユスタ、エリカとアンナの姉妹のやりとりでなごませる部分もあり、楽しく読めます。いつも生き生きしているパトリックがなんだか疲れて覇気が無く変だなと思っていたら、事件解決後に衝撃の展開、そしてすぐ完。次作が出るのはいつなのでしょう。次も必ず読まなければ。

  • エリカ・パトリック事件簿シリーズ第6弾。
    今回も読ませたー。事件の背景が途中でわかり、エリカの好き勝手な行動にときどきイラっとしたり(妊婦なのに無茶しすぎ)、ラストは普通だと思ったりもするけど、このシリーズは読み終わって損したと思ったことは今まで一度もなし。解説に書いてあったような気もするが、日常生活の細かい点まで書き込まれていて、それが共感できるところが多くて面白いからかな。
     あと、なんかベビーラッシュです。今作。あ、メルバリがあんまり活躍(?)してない!

  • 「カミラ・レックバリ」の長篇ミステリー作品『人魚姫―エリカ&パトリック事件簿(原題:Sjojungfrun、英語題:The Drowning)』を読みました。
    人魚姫―エリカ&パトリック事件簿(原題:Sjojungfrun、英語題:The Drowning)

    「カミラ・レックバリ」作品は、昨年6月にに読んだ『踊る骸―エリカ&パトリック事件簿』以来ですね。

    -----story-------------
    中年男性が通勤途中行方不明になり、3カ月後凍った湖で見つかった。
    凶器は魚をさばくナイフ。
    同じ頃、「エリカ」の友人「クリスチャン」が『人魚』という小説で作家デビューした。
    しかし華やかな出版パーティの最中、謎の脅迫状が届き彼は失神する。
    その内容を知った「エリカ」は、誰かが今にも殺しそうなほど彼を激しく憎んでいると直感するのだが…。
    スウェーデン発、大人気ミステリ・シリーズ第6弾!
    -----------------------

    「スティーグ・ラーソン」、「アンナ・ヤンソン」と、ここのところスウェーデン作家の作品が続いています… 再び(半年振りに)北欧ミステリがマイブームですね。

    2008年に発表された「エリカ&パトリック事件簿」シリーズの第6作目… 本シリーズは、第5作目まで順番に読んでいるので、「エリカ」や「パトリック」を中心とした登場人物に出会うと懐かしさがこみ上げてきました、、、

    家族のことや、友人等の相関関係がきめ細かく描写されているので、なんだかホームドラマを読んでいる気分に浸れますね。


    出勤途中で行方不明となった男性「マグヌス・シェルネル」の失踪事件(3ヵ月後に凍てついた湖で死体が発見)と、『人魚』という小説で作家デビューした「エリカ」の友人「クリスチャン・ディデル」が出版記念パーティの最中に脅迫状を受け取るという事件が発生、、、

    脅迫状は、「クリスチャン」だけでなく、「クリスチャン」の友人で、殺された「マグヌス」の幼なじみの「エーリック・リンド」と「ケネット・ベンクトソン」にも届いたことが判明し、全く無関係と思われた二つの事件の関係性が徐々に明らかになる… しかし、「クリスチャン」や「エーリック」、「ケネット」は、命を狙われている可能性があるにも関わらず、脅迫されることに心当たりはないと、警察に全ての事実を話してくれない。

    幼なじみの三人の過去に何があったのか… 断片的に挿入される一人称で語られる少年の過去(不幸な人生?)との関わりは?

    「クリスチャン」が家族に秘密で青いドレスを保有していたり、

    「ケネット」の自宅に何者かが侵入し、癌で自宅療養中の妻「リスベット」に何かを語ったり、
    (これが原因で衰弱していた「リスベット」は死亡?)

    「ケネット」のランニングコースに罠が仕掛けられ、大怪我を負ったり、

    「クリスチャン」の自宅に何者かが侵入し、子ども部屋に落書きをしたり、

    そして、「クリスチャン」は自殺し、「エーリック」は海外への逃亡を図る、

    ってな感じで物語は進展… 「エリカ」の好奇心むき出しの自己中心的で不用意な行動には鬱陶しさを感じますが、、、

    それでも、そのおせっかいが高じて、事件の真相に近づくし、これが、本シリーズの特徴でもあるので、まぁ、これはこれでアリなか… 「アガサ・クリスティー」原作のおしどり夫婦「トミー」と「タペンス」の「タペンス」みたいなものかな。


    相変わらずの長篇… 600ページを超える大作なので、読了までちょっと時間がかかりましたが、次々に新しい事実や謎が提示され、視点を変えながら物語が進展する「カミラ・レックバリ」作品らしい愉しめる展開だったので長いとは感じませんでした、、、

    特に真実が徐々に判明して、パズルのピースが埋まるような快感が味わえる終盤は、特に早く感じたなぁ… 一人称で語られる少年の正体や、真相(「クリスチャン」の精神面での問題)は、途中からある程度想定できていたので、予想外な感じはなかったですが、それでも、最後まで興味を持って愉しく読めましたね。

    「アルフレッド・ヒッチコック」監督作品の『サイコ』を彷彿させる作品でした… 彼女を葬り去るには、自らの命を絶つしかなかったんですよねぇ、、、

    「クリスチャン」の辛く不幸な生い立ちが形成した多重人格が原因となった哀しい物語でした。


    そして、本シリーズの愉しみのひとつ… サイドストーリーとして描かれるプライベート面の展開が秀逸です。

    「バッティル・メルバリ」の見事なまでのおじいちゃま振り、

    「エリカ」と「アンナ」が妊娠中で、しかも「エリカ」のお腹の子どもは双子なのでお腹がパンパン、

    と、ここまではこれまで通りのパターンなのですが、本作品ではラストシーンが気になります、、、

    「エーリック」の妻「ルイス」が脇見運転で反対車線に飛び出し、正面から来たクルマと衝突するのですが… 相手のクルマには女性が二人 となっているんですよね。

    これって、きっと倒れた「パトリック」のところへ向かう途中の「エリカ」と「アンナ」ですよねぇ… 気になります。

    相変わらず続篇を読みたくなる巧い終わり方でした。



    以下、主な登場人物です。

    「エリカ・ファルク」
     伝記作家

    「パトリック・ヘードストルム」
     ターヌムスヘーデ警察署刑事

    「マヤ」
     エリカとパトリックの娘
     
    「アンナ」
     エリカの妹、二児の母

    「ダーン・カールソン」
     漁師、教師、エリカの昔のボーイフレンドで現在はアンナのパートナー

    「クリスチャン・ディデル」
     新人作家、図書館員

    「サンナ」
     クリスチャンの妻

    「マグヌス・シェルネル」
     会社員、エーリックとケネットの幼なじみ

    「キーア」
     マグヌスの妻

    「エーリック・リンド」
     不動産会社経営、ナグヌスとケネットの幼なじみ

    「ルイス」
     エーリックの妻

    「セシリア・ヤーンスドッテル」
     美容師

    「ケネット・ベンクトソン」
     不動産会社の会計担当、マグヌスとエーリックの幼なじみ

    「リスベット」
     ケネットの妻

    「ガービー・フォン・ローセン」
     出版社社長

    「バッティル・メルバリ」
     ターヌムスヘーデ警察署署長

    「マーティン・モリーン」
     ターヌムスヘーデ警察署刑事
     
    「ユスタ・フリューガレ」
     ターヌムスヘーデ警察署刑事
      
    「アンニカ・ヤンソン」
     ターヌムスヘーデ警察署事務官 
     
    「パウラ・モラレス」
     ターヌムスヘーデ警察署刑事

    「リータ」
     パウラの母、サルサの教師

    「ヨハンナ」
     パウラのパートナー(同性)
     
    「トード・ペーデシェン」
     イェーテボリ警察管区法医学室監察医

    「アーンスト」
     メルバリに懐いている犬、元ターヌムスヘーデ警察署刑事の名前から命名

  • 相変わらず読ませる。とにかく一気読み。研修行く途中の電車で、泊まったホテルでもろくに睡眠取らず気になって。
    事件もなんだけど、一人一人の登場人物の人生の描き方がいいんでしょうね。
    でも大抵の登場人物が愛情深くて、そういう人生のパートナーと巡り合えることの幸せが強く伝わってくる。(そして自分の人生がちょっと悲しくなるのも真実)
    途中、クリスチャンの自作自演を疑ったけど、当たらずとも遠からずだった。パトリックの体調の悪さもあやしかったけど、最後やっぱりねみたいな。できるだけ近いうちに続きを読まねばと思います。

  • エリカ&パトリック事件簿
    悪くはなかったけど・・・
    やっぱり少々暗い。

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