緑と楯 ハイスクール・デイズ

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 211
感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087711660

作品紹介・あらすじ

卒業まで関わりたくなかったはずの人間が、いつのまにか、毎日会いたい人になるなんて!

未来浅草高校に通う兼古緑(かねこみどり)と荻原楯(おぎはらたて)。学年や男女の垣根を超えて多くのファンを持つ楯と、緑は高校二年で同じクラスになるが、楯に対していけすかない印象を持つ。それは、彼の周りには常に誰かがいて、愛されるのが当然のような存在だから。彼を見ていると自分の劣等感を刺激するので、なるべく距離を置くようにしていた。そして持ち上がりで三年になったのだが、ある日、長期病欠していた楯の家に担任の使いで訪れることになり、いやいやながら向かった緑なのだが――。

未来東京に生きる二人の男子高校生の、じれったいほど凸凹で、照れくさくなるほどピュアな恋の軌跡。

――カバーイラスト 紀伊カンナ――

【著者略歴】
雪舟えま(ゆきふね・えま)
1974年札幌市生まれ、帯広市在住。作家、歌人。歌集に『たんぽるぽる』『はーはー姫が彼女の王子たちに出逢うまで』、小説に『タラチネ・ドリーム・マイン』『バージンパンケーキ国分寺』『プラトニック・プラネッツ』『幸せになりやがれ』『恋シタイヨウ系』『凍土二人行黒スープ付き』『パラダイスィー8』『ナニュークたちの星座』、現代語訳書に『BLセレクション1 竹取物語 伊勢物語』がある。

感想・レビュー・書評

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  • 書評家の方がおすすめしており、読んでみた。一気読みして、泣けたァ…
    ライトノベルみたいな見かけだけど、これむしろ純文学寄り。川上未映子さんとか好きな人にもオススメしたい。
    歌人だけあって、一文でぐわーっとたましい揺さぶられる感じ、うまい小説家にはむしろ絶対書けないやつ、すごく自由なんだよなあ。世界観もふわっと近未来でヘンテコ、文章も独特だし構成も粗削り。だから万人受けするかはわからないんだけど。
    でも小説の価値なんて万人受けでも映画化でもない。
    核にあるのは愛し愛されることの絶対的な価値、みたいなもので、それがとてもとてもまっすぐにストレートに描かれていて、あまりにもやさしくて沁みる。
    人を好きになることの滑稽さといじらしさと尊さが詰まっていて。
    作者は世界のよきもの、美しいものを全力で信じようとしているんだなあ、と思った。

    小説の価値とは結局そういうことなんじゃないかなあ。

  •  周りから好かれている楯と、それをいけ好かないと思っている緑の高校最後の物語。「ないものを持っている」楯にイライラしていた緑がいつしか心が変わってきて……。未来での物語ではあるけど、青春の輝きがまぶしく、そして尊い……。
     後半、緑の現実と心境のざわつきが激しい。そんな中での楯(と、べべさん)の存在は必要不可欠だったし、なかったらどうなってたんだろうとすら思ってしまう。
     「幸せになりやがれ」「恋シタイヨウ系」を読んでいた身にとっては、なんだか深いものに感じてしまう。これを機にまた読もうかな。

  • 嫌いだった楯のことを気づいたら大好きになっていた理由や経緯がもっと詳しく知りたくて最初は少しもやもやしたけど、人を好きになることに大した理由はないんだよなぁ、月並みな言葉だけど。
    気がつくと目で追うようになっていたり、他の人と遊びに行くと聞くといらいらしたり。
    ここが嫌いだ、苦手だと思っていたところが気づくと好きなところに変わっていて、自分のことながらびっくりしたり、盲目だなぁと呆れたり。

  • BL小説!!ということで読んだ。最初表紙を見たときに、チャラめ美形攻めに堅物系受けが絆されてく的な話かなーと思ったんだけど、そもそも受け攻め逆でびっくりした。緑くんが常に暴走気味だったけど、それだけ楯くん大好き大好きーっていうのが伝わってきて、可愛らしかった。こんなに初心でかわいい攻めを久しぶりに見たので、新鮮だった。

  • なんだろ…なんだろう。表紙の可愛さとタイトルで選んだら意外にもびーえるでびっくりした。
    文体が可愛くて好みでふわふわした楯も好みで好きなんだけど、後半の緑の楯のことが好きすぎて独占欲丸出しのちょっと粘着な感じが「この子大丈夫?」と思ってちょっと引いてみてる部分もあったり(笑)
    とりあえずまとまってよかったね(笑)
    まぁ緑の愛を求めてる感じは親の、家庭環境の影響もあるんだろうけど。
    うんうん。学生の恋ってきっとこんな感じ。

    この作家さんの他の本にもこのふたり出てるみたいなのでチェックしてみよう。

  • 普通にBLで、普通に高校生の話なんだけれども舞台は2055年。現代と少し勝手が違って、例えば人が亡くなると飛行船の中で火葬され、遺灰は空にまかれるとか、一般人でも月に行けるという選択肢が普通にあったりとか、BLよりもそういう設定の方がインパクトがあった。作家さんもあえてBLを描きたいのではなくて、何十年後かには誰もが性別とかいろんな枠にとらわれずに生きられる世の中であってほしいという考えから、あえて主人公を同性同士にしたのかなとか深読みしてしまった。一応そういうシーンもあるのだがオスの匂いがしないBL。

  • タイトルは主人公ふたりの名前による。………BLかぁ。私はBL苦手なのでちょっと……でした。雪舟さんらしい、キンミライ的作品。

  • 家庭の不和等などからくる満たされなさを抱える高校生の緑。
    あるきっかけから、掴みどころがなくふわふわしているところが魅力的な同級生の男の子・楯を好きになり…という一種のラブストーリー。

    可愛い表紙がイラストながら、語り手で主人公の緑の内面が結構若さと青さで暴走しつつ、恋心を募られまくる様子は、私自身身に覚えがある「痛さ」もあり、なかなかヘビーであった…。

    最終的に色々あった末にこの2人は結ばれて、緑くんは求めていたものを得られるのだけど、色々私の中では消化不良でなんだか楽しみ切れなかった。

    (たとえばせっかくの近未来舞台なのにファンタジー要素が活かしきれてない気がしたり、恋愛ものというよりはジュブナイル的な印象が強かった割に恋愛要素が生々しかったり、楯が緑を好きになる過程が今いちわからなかったり…。)

    雪舟えまさんはネットで目にした詩が素敵で初めて読んだんだけど、本作は私にはいまいち合わず。
    次は詩集を読んでみたい

  • 緑の「愛されたい」「愛したい」って気持ちと、「いつのまにか、好きになっていてもうどうしようもなくて、止まれない!というドキドキ感がすき。星の描写が良かった。

  • 分かってはいたのだけど、真正面からBLしてたな…。
    緑があんなに盾に入れ込んでいる理由がちょっと分かります。
    実って良かったね、緑…。
    終始緑視点だからか、盾がいつにもましてフワフワです。うーん罪な男。
    しかし「おまえとぶっつながりてえ」はまずいですよ緑さん。

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著者プロフィール

雪舟えま(ゆきふね・えま)
1974年札幌市生まれ。作家、歌人。著書に歌集『たんぽるぽる』『はーはー姫が彼女の王子たちに出逢うまで』、小説『タラチネ・ドリーム・マイン』『プラトニック・プラネッツ』『恋シタイヨウ系』『パラダイスィー8』ほか。2017年より男性カップル「緑と楯」シリーズの執筆をメインの活動としている。

「2018年 『BL古典セレクション① 竹取物語 伊勢物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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