幕末裏返史

著者 :
  • 集英社
3.38
  • (3)
  • (13)
  • (12)
  • (6)
  • (0)
本棚登録 : 59
感想 : 23
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087712599

作品紹介・あらすじ

大の日本贔屓のフランス人、アナトール・シオン。国禁を犯して海を越え、憧れの日本にやってきた。時は幕末、開国前夜。彼は「愛する日本」のため、幕府の知恵袋となる。昼は盛装して天皇に拝謁、夜は頭巾を被って尊王の志士を助けたり、と大活躍。その働きが運命の歯車に不思議に作用し、ついに日本の歴史が「ひっくり返る」瞬間が。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 日本びいきのフランス人シオンを絡ませて、幕末の歴史が少しづつずれていく。歴史のIFによる変革だが、それならもっと大きく変えてもいいのにと思う。大統領制の導入、憲法導入による本選挙の仕組み。最後の方は拙速感がある。

  • いい意味で清水さん節な文と展開。
    安心して読める。

  • 幕末にとあるフランス人青年が日本に来ることで、歴史が大きく変わってしまう、という小説。よくある架空歴史物小説です。こんなこともあったら面白いなとは思いますが、もし過去の歴史に介入できたとしても、結果は事実と大差なく大筋では史実通りになるという方が面白かったのではないかと思います。そのつじつまを合わせるのが、作家の腕の見せ所なのではないだろうか。

  • 幕末が「こうだったらいいな~」という小説です。全般的には「のほほん」とした感じがあって、万事がうまくいく幕末期といった「仮想幕末」小説です。正史とはまったく別の小説なのでご注意を。

  • もしも幕末の日本が、他の選択肢を選んでいたとしたら? という、パラレルストーリー。
    日本を愛し、歴史を変えてしまうフランス人シオンを筆頭に、とにかくみんないい人で、ハッピーな展開に。
    史実も、こんな日本になったのならよかったのに、と思う。
    現実にはこんなにうまくいかないけど(笑)
    http://koroppy.cocolog-nifty.com/blog/2012/04/post-ab3d.html

  • それなりに面白かったが、人に薦めるほどでもない、
    ということで☆2つ。

    不平等条約の締結を阻止する所は痛快。
    しかし、そのあとは、いまいち見せ場なし。
    結局この、不平等条約阻止と、鞍馬天狗がフランス人、
    という2つのネタを思いついたから、始めたのでは?
    という感じがする。

    最後の大統領選なんて、発想としては面白いけど、
    ぐだぐだのまま終わるし。
    どうも、着地点を決めずに書いている気がする。

    面白いのは、結局「事件」は起こるし、死ぬ人は死ぬ、という所。
    吉田松陰は、獄死は免れるが、海に落ちて死んでしまうし、
    「生麦事件」も起こる(ただし、逆の理屈で)
    いくら歴史を変えても、「蛤御門の変」ならぬ、
    「江戸城襲撃」は起こってしまう。
    ここら辺の「辻褄」の合わせ方というのが、
    ああ、SFの人だな、という感じがする。
    人がゴチャゴチャと歴史を変えようとしても、
    結局、目に見えない歴史の力によって
    本来の歴史へ「修正」されてしまう、という感じで。
    時間旅行者の出てこない、タイムスリップもののよう。
    なので、イフの歴史が際限なく展開していく「妄想歴史もの」にはならない。
    ただ、もうちょっと、思い切った「仕掛け」があっても、
    よかったんじゃないかとは思う。

    歴史パステーシュということで、一見、歴史を知らない人向け
    という雰囲気だが、
    ある程度歴史を知っていないと、嘘と本当が分からないし、
    楽しめないのではないかと思う。
    意外なほど、歴史の要所をコンパクトにまとめていて、
    分かりやすいのだが、
    まとめすぎているので、前知識がないと、分かりにくいだろうな、
    とも思う。

    あと、本作は、ペース配分がまったくできていない。
    最終的に幕末までいくくせに、
    「桜田門外の変」で、ようやく半分、というのは、
    どう考えても、ペースが計算できていない。
    小説版の富野ガンダム並みの、計算できて無さである。
    おかげで、後半は駆け足になり、西郷も竜馬も、掘り下げられず、
    長州人などは、ほぼ出てこない。
    連載だから、途中で長くなりすぎると思って、調整したのだろうが、
    もうちょっと、なんとかならなかったものか。

  • 図書館。

    面白いんだけど、どこまでが史実なんだかわからなくなる(笑)。
    さすが清水さん。

  • 途中までやや教科書的で今ひとつ乗り切れなかったが、中盤あたりからいろんな仕掛けが効き始め、さすがは清水義範という作品に仕上がっている。「大逆転」はもう爆笑ものだ。史実と同じようでも微妙にニュアンスが違っていたり、人物の生死の差異もなかなか興味深い(橋本左内と吉田松蔭など)。話題のマンガ『JIN』と比較するのも面白いかも。

  • 幕末のフィクションのお話。なかなかおもしろかったです。

全23件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1947年愛知県生まれ。愛知教育大学教育学部国語学科卒業。1981年『昭和御前試合』でデビュー。1986年『蕎麦ときしめん』が話題となり、独自のパスティーシュ文学を確立する。1988年『国語入試問題必勝法』で第9回吉川英治文学新人賞を受賞。2009年、名古屋文化の神髄紹介とユーモアあふれる作風により第62回中日文化賞受賞。『永遠のジャック&ベティ』『金鯱の夢』『虚構市立不条理中学校』『朦朧戦記』等著書多数。また西原理恵子との共著として『おもしろくても理科』『どうころんでも社会科』『いやでも楽しめる算数』『はじめてわかる国語』などがある。

「2021年 『MONEY 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

清水義範の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×