- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087715026
作品紹介・あらすじ
スキヤキ鍋を抱え12年ぶりに会った大学時代の仲間たちが向かう先は…。劇団五反田主宰、ボーダーレスに活躍中の鬼才・前田司郎が青春と魂の再生を描く。映画化作品。(監督は著者自身!)
感想・レビュー・書評
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いい大人が大勢ですき焼きを作るためだけに旅をするなんて馬鹿馬鹿しいけど楽しそう。
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リリース:(茂樹さん)
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今回も僕的には傑作! と思うんですけれども、案の定、特にこれといったイベントの起こらない小説でして、万人には勧めがたい…といった感じなので☆三つに…。
まあ、僕的には気に入っているんですけれどもね! タイトルにスキヤキとありますから、当然のことながら登場人物たちはスキヤキを頬張りますわな…(!)
まあ、あとは学生の頃の友人たちが集って何だか昔を懐かしんだり、昔と今の元カノ? を比べたりして時が経っていきます…。
著者はもう四十前だと思うんですけれども、よくぞここまで学生の頃の何とも言えないモヤモヤとした感情…を忠実に再現できますねぇ…と感心ばかりの読後感でした。さようなら…。
ヽ(・ω・)/ズコー -
「5万円と仏像どっちかもらえるとしたら、どっちもらう?」
「え、19万の仏像?」
「そう」
「そしたら19万の仏像もらって8万で売るよ」
「どこに?」
「ブックオフか何かに」
「いくらブックオフでも、仏像は買ってくれないだろ」
「お前ん家のスキヤキってどんなの?」
「豚だよ」
「それスキヤキじゃないんじゃない?」
「だからこれはスキヤキをどう定義するかによるだろ?」
『大川の母はスキヤキの語源を「好き焼き」だと思っているらしい。「お好み焼き」みたいなニュアンスでスキヤキを捉えていたことになる。
自由な発想でスキヤキを大胆にアレンジしたのだった。』
『簡単なのが嫌だった。もっと、攻めた結果のスキヤキが良いというか、前のめりのスキヤキを求めているのだ。』
「凄さっていうのは外からは、なかなかわからないんだよ」
「じゃあ駄目じゃん?」
「なにが?」
「わかんないだろ?」
「わかんないけど、俺らは外じゃなくて中だからわかるだろ?」
「スキヤキの?」
「いや、スキヤキの中って言うか、スキヤキって言う組織の?」
「全然わかんない」
『僕は茶をすすった。
何してんだっけこれ?
四人で茶を飲んでいる。「お茶をする」という文化というか、行為というかがあるが、こういうのではなかったはずだ。お茶を飲みながらの談笑を「お茶をする」と言うのではなかったか? これはただ「お茶を飲む」である。』
「あ、凄いスキヤ…あ、まあ、なんか、凄い、高い、肉」
「だ、そういう高い肉とかじゃない、もう、超越したいの肉を、あのスキヤキを」
「じゃあもうそれスキヤキじゃないじゃん」
「あ、もうスキヤキじゃないよ」
「え?」
「…それがスキヤキじゃないんだったら、スキヤキじゃないよ、その、スキヤキを超えたスキヤキのことをスキヤキじゃないって言うんなら、スキヤキじゃない」
「えなに? そんなにスキヤキやりたいの?」
「だから、スキヤキはやりたくないんだよ」
「スキヤキはやりたくないの?」
「スキヤキはやりたくないよ、だから、便宜上スキヤキって言ってるけど、それはもうスキヤキじゃない」
『立ち上がり、キューを取ってチョークをつけ始める。チョークをつける意味はいまいちわからないがカッコいいので、ことあるごとにつけるようにしている。』
『わたしたちは、仲が良かった。多分。
でも久しぶりに会ったから、そのときの感覚は遠い昔のことになっているのだけど、仲が良かったのだから今も仲がいいはずだ、という感じがあって、それは仲良く振舞わないといけないという圧力になっている。
そういうのがなければもう少し気軽に話せるんだけど。』
「俺なんか最近、腰が痛い予感がするんだよね」
「予感?」
「痛くなるなっていう前兆が常にあるみたいな? わかる?」
「やっぱり、これだけ大きい身体だったら長く生きるんじゃないですかね?」
「え、身体の大きさと寿命って関係ある?」
「だってもったいなくないですか?」
「え?」
「ここまで大きくなるのに、凄いコストがかかるでしょ? 時間とか食糧とか、それがすぐに死んじゃったらやっぱもったいない気がするんですよ」
「なるほど」
『大学の友達と気が合った。会社の人たちとは、合わないように感じた。僕だけ違う人間のように感じていた。この人たちとは合わないとか思いながら仕事をしていると、実際には合っていようが合っていまいが、合わない。
当たり前のことで、僕自身そんなことはわかっていた。わかってはいたけど、急に態度を変えることは難しく、結局最後まで馴染めないまま、仕事を辞めた。』
「いや、つい、過去のことばっか考えちゃうと思って」
「でも、過去のことしか考えられないんじゃないてますかね?」
「うん? どういうこと?」
「だって、わたしたちが考えることって、わたしたちの中にあることっていうか、なんかストックだけでしょ? それって過去のことじゃないかなって思うんです、わたしたちが知ってることって、全部過去のことっていうか」
「それでも過去ばっか見てちゃやっぱ駄目なんだと思うな ー 未来はさ、真っ暗ってことでしょ? まだ何もない。それでもそっちを向いてないと駄目なんだと思うな」 -
映画「ジ、エクストリーム、スキヤキ」の原作小説ですね(映画版は未見です)。
前田司郎さん流の青春ロードノベルといった感じで、これは、前田司郎さんによる、青春小説の集大成(または、決定版)なのではないかと、そんなことをふと思ったりしました(とはいえ、前田司郎さんのほかの小説、読んだことないですが・・・)。 -
映画の方を先に観た。映画の監督・脚本も前田司郎さんなので、小説は映画のストーリーと全く同じなんだと思って読んでみたら、結構色々な設定や話の流れが違っていて、映画は映画の面白さ、小説は小説の面白さ、ということ、書き分けがなされているのだということを、一つのこの作品を通して感じて、そういう点でも興味を持った。
映画も、小説も、人物同士のやりとりが、「こういう気持ちが自分にもあるな」というところがあるのが好きで、そして読後に少し前向きになるところがとてもいい。
小説の中で、好きな映画がなにか訊くという場面があって、そこで「そういうなんか、値踏みみたいになっちゃうから、駄目なんだよ」っていう台詞がある。この場面がいいなって思った。 -
小規模なロードムーヴィー(うそ、映画じゃないけれど)、そこはかとない不安と哀しさ。やばい、ツボの小説。素敵だ。
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うわああああと小さくお布団の中で叫びながら読む感じ。
ぐるぐるぐるぐる考えていた大学時代を思い出す。
そのどうしようもないとりとめもないグルグルと、すき焼きの懐かしさの、絶妙な絡まりあい方。
ふんわりとした着地点にはもう少しな印象があったけど、全体に漂う空気は大好き。 -
タイトルがいいね。
内容も★五つとの中間くらい。
とにかく食べたくなってすきやき作って食べた。 -
大学生時代の友人とその友人の女の子とドライブして温泉宿ですき焼き風鍋を囲む
映画にもなってたんだ