- Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087717358
作品紹介・あらすじ
デビュー作『カモフラージュ』を超える衝撃。待望の最新小説発売。
本当の私は誰。
結婚、セフレ、パパ活、トラウマ……。不穏さで繋がる全5編。
たくらみに満ちた、著者の新境地。
【著者プロフィール】
松井玲奈(まつい・れな)
1991年7月27日生まれ。愛知県豊橋市出身。著書に『カモフラージュ』。
感想・レビュー・書評
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「小夜」という女性を巡る連作短編集。
ずっと柔らかいトゲでチクチクされてるかのような作風は健在。
今どき女子が詰まってるような作品というイメージ。
前回・今回と、なかなか癖の強い作品なので、違う作風も読んでみたいです。
すっかりファンになってしまいました。 -
絹の手触りだ、と思った。
あるいは、片栗粉を指で擦った時に感じる微粒子。
細やかな心理描写。
まだ23歳の小夜(さや)が、今度30歳になる葉(よう)さんに正式にプロポーズされてのゆらめき。
今は、一歩進める良いタイミングなのだろうと思いながらも、どうしてもその一歩が踏み出せない。
親友の深鈴(みすず)は、出来ちゃった婚した。
傍から見て、まだやりたい事があっただろうに、と思ったのは事実。
では自分はどうしたら・・・
結婚して母になる親友と、だんだん話が合わなくなる。
何気なく言った言葉が相手にとっての地雷。
あるある。
人と人は、分かり合えないのが当たり前だと思うのが、私見である。
この作品でも描かれている。
①「分かっているよ」と善意で示されたのが自分が思っているのとは別の解釈だった。相手に悪意がないだけに、否定できなくてモヤモヤ。
②分かっていない、分からない・・・ことを自覚しているのにもかかわらず、気に入られようとして「分かったふり」をする人。付き合いたくない。
③「(今まで)分かっていると思ってたけれど、分かっていなかったんだね」と認めることこそが理解。
小夜は、今の自分はプロポーズを受けていいのかどうか悩んでいる。
けどそれを簡単に「マリッジブルー」という言葉で片付けてほしくないのだ。
そんな複雑な気持ち、分かる分かる、と読み進んでいくと、なんだか怖いことになってくる。
振り返れば、いろんな伏線が描かれていて。
小夜がこういう女の子になったのはこういう理由があったのだなと理解する。
ただ・・・
このままで終わるのかなあ〜?
と、ちょっと勘繰ってしまう。
何か起こりそうではありませんか?
パパ活のお話が一番気に入った。
人と人との理解はこういう形もある。
あの、松井玲奈さんがどういう小説を書いているの?
という興味で手に取りました。
新鮮な切り口、ほんのりホラーが香る美しい世界観。何かの賞をもらってもいいんじゃないかと思った。 -
噂のアイドルさんがどんな作品書いてるのか気になって読んでみた。
ほええええこんな感じなのかといい意味で驚き。
二話目であれ?これもしかしてそゆこと?と思い三話目で確信。同じ女の子の内側を掘り下げているようで逆に全然彼女のことがわからなくなるような迷路のような連作短編集。
たとえば松井さんのファンの女の子の年代ならばなかなか理解が難しいような女のえぐさを淡々と描いていてそれにより評価が割れそう。
わたしはこういう普通の女の子の皮を被ったちょいクレイジーな女は大好物なので楽しんで読めました。
特にパンダが頭だけになるまでキーホルダー使い続ける執念と狂気がツボでした。ボロボロになって頭だけになったパンダを見て彼女はなにを思うんだろう。
しかし葉という男は、こんな自分の手に余る女を手に入れてこの先どんな幸せを歩むのだろうと下世話な好奇心がふつふつと残る。
これからはアイドルでも女優でもなく彼女を作家だと認識することにします。
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すごい。満足感が大きい。
これからこれを読む人は、なるべく間隔をおかず数日で読むことをおすすめしたい! -
著者をみてエッセーかと思い手に取ったらまさかの小説。会話が多いからかあっという間に読み終わりました。
ちぃの章の周りが見えなくなる感覚は少し苦しくなるけど懐かしい。
あんなに結婚を迷っていたのにわりと急に結婚式の話になったので、もう少し小夜の葛藤が読みたかったな〜
みんな多少なりとも違う顔も持ってるけど、葉さんだけは、小夜に魅せる顔だけであってほしい。
続きがありそうな、このままで終わらなそうな最後だと思った。