ラブカは静かに弓を持つ

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087717846

作品紹介・あらすじ

武器はチェロ。
潜入先は音楽教室。
傷を抱えた美しき潜入調査員の孤独な闘いが今、始まる。
『金木犀とメテオラ』で注目の新鋭が、想像を超えた感動へ読者を誘う、心震える“スパイ×音楽小説"!

少年時代、チェロ教室の帰りにある事件に遭遇し、以来、深海の悪夢に苛まれながら生きてきた橘。
ある日、上司の塩坪から呼び出され、音楽教室への潜入調査を命じられる。
目的は著作権法の演奏権を侵害している証拠をつかむこと。
橘は身分を偽り、チェロ講師・浅葉のもとに通い始める。
師と仲間との出会いが、奏でる歓びが、橘の凍っていた心を溶かしだすが、法廷に立つ時間が迫り……

【著者略歴】
安壇 美緒 (あだん・みお)
1986年北海道生まれ。早稲田大学第二文学部卒業。2017年、『天龍院亜希子の日記』で第30回小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。2020年、北海道の中高一貫の女子校を舞台にした青春長編『金木犀とメテオラ』を刊行、書店員からの熱い支持を受けロングセラーとなる。

感想・レビュー・書評

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  • 安壇美緒さんの本作品での音楽の表し方と恩田陸さんの『蜜蜂と遠雷』での音楽の表し方では、それぞれに言葉の繊細さや丁寧さがあり、私の生活にはあまりない音楽であるにもかかわらず、その音楽のイメージが広がった。本作品は主人公が潜入調査をするという特殊な内容で、それぞれの登場人物の心を想像すると、胸が苦しくなることもあった。このような展開においてでも、音楽を演奏する場面では、想像力を掻き立てられる感覚があり、想像の世界の広がりを感じながら楽しく読むことができた。

    読み進める中、潜入調査をする主人公の心にひきつけられ、胸が苦しくなる状況が続く。作品の世界ではあるが、その苦しさから抜け出すにはどうしたらいいのか、私には分からない。ラブカとは深海魚、潜入調査の調査員をたとえている。ラブカは海底に潜って生息し、表に出てくることはない。しかし、その正体が明るみになるときがあるとすれば、私たちの目にどのように映るのだろう。

    主人公は橘樹。全日本音楽著作権連盟、略称全著連の社員であり、上司から潜入調査を命じられるところから物語が始まる。この段階で、特別な状況にある作品世界に導かれ、想像の世界に入り込んでいった。これから、どのような展開が待ち受けているのか、その緊張と不安に迫られている感覚があった。橘が潜入調査に入るところは、ミカサ音楽教室だった。全著連は、管理している楽曲の使用者から、著作権の使用料を徴収していた。ミカサ音楽教室で、管理している楽曲を使用しているという確かな証拠をつかむために橘は潜入する。そこで、待っていたのは純粋な音楽、かつて橘が演奏していたチェロの音色と楽曲であった。ミカサ音楽教室での講師は、浅葉桜太郎。橘は、子供の頃の辛い体験によりチェロから遠ざかっていた。それだけではなく、その状況が忘れられなくて、慢性的な不眠状況になっていた。そのことで心療内科に通院し続けていた。だが、なかなかその症状が好転することはなかった。

    そんな中、ミカサ音楽教室でのチェロの演奏や、講師の浅葉との練習時間が楽しくなっていき、それとともに橘は浅葉を慕うようになっていく。また、浅葉には、浅葉を慕いチェロを習う仲間がいた。この仲間たちとの出会いや交流が橘の生活をさらに変えていく。同じ楽器を演奏する仲間ということ、浅葉から指導を受け楽しんでいるということ、それが、橘の心をほぐし、今までの身体症状にも変化が訪れるようになっていた。橘は仕事として潜入したにもかかわらず、浅葉から指導を受け、チェロを楽しむまでに至っていた。もっと、演奏できるようになりたいといった純粋な欲求ももてるようになっていった。本当に好きなことは、まっすぐに取り組みたくなるものだろうな。そこには純粋な楽しさがあるだろうから。また、音楽は仲間との演奏も楽しみになるのだろうな。同じ楽曲を演奏することや一緒に上達していくことで、その信頼関係も構築されていくのだろう。私は、そういった経験がないので、作品の世界を想像しながら、そんな思いを膨らませていた。

    潜入調査を終えるということは、音楽教室を辞めるということ。講師である浅葉にばれないようにやってきた橘。もはや、ばれないようにという意識が、浅葉への信頼関係を失いたくないという気持ちになっていた。橘の心の中で、仕事を全うするという意識と浅葉への信頼の意識が天秤にかけられる。そこには、講師である浅葉自身がめざすプロとしてのステージへの挑戦を邪魔したくないという苦悩も含まれたいた。ラストにむかって、橘は大きな決断をしていく。その決断には、清々しさとともに、好きなもの、こと、人への純粋な思いの強さを感じた。

    初めての安壇美緒さんの作品を読了した。登場人物が個性的で魅力的であり、その登場人物同士のかかわりが温かく、心地よかった。次の安壇美緒さんの作品を楽しみになる作品となった。

    • NO Book & Coffee  NO LIFEさん
      ヤンジュさん、こんにちは♪
      めんどくさい名前の、略称「本とコ」です。
      ここ数日の「いいね」の炸裂ありがとうございます(^^)
      いつも精選した...
      ヤンジュさん、こんにちは♪
      めんどくさい名前の、略称「本とコ」です。
      ここ数日の「いいね」の炸裂ありがとうございます(^^)
      いつも精選した選書による読書、並びに質の高いレビューに感心しております。
      今後ともどうぞよろしくお願いします!
      2023/11/26
    • ヤンジュさん
      本とコさん、ありがとうございます
      本とコさんのレビューや登録、楽しみにしています
      よろしくお願いいたします
      本とコさん、ありがとうございます
      本とコさんのレビューや登録、楽しみにしています
      よろしくお願いいたします
      2023/11/26
  • あなたの仕事は”スパイ”ですか?

    (*˙ᵕ˙*)え?

    世の中にはさまざまな職業があります。医師や弁護士、そして公認会計士といった何らかの資格に基づく職業であれば概ねその仕事内容は予想もつきます。日本以外の国であれば、それは他の職業にだって言えることです。世界ではどんな仕事をしたいかで働く場を決めます。営業職で勤めた人はどこまでいっても営業であり、財務職で勤めた人はどこまでいっても財務を担当します。これは、世界の当たり前です。しかし、日本では会社員という立場に就職したとしたら、その先にどんな仕事が待ち受けているかはわかりません。全く思いもしなかった仕事に人事異動という一言によって就く可能性があります。しかし、人事異動の先に待つ仕事にもおおよそ予想はつくものです。営業といえば営業、財務といえば財務です。会社によって幅の違いこそあれど、そこに想像できる仕事内容というものはあるはずです。

    しかし、昨今のコロナ禍は全く予想外の業務に就く可能性を垣間見せるものがありました。本来、航空会社の客室業務員の方が、本来、旅行代理店の店頭に立つ方が、全く想像だにしなかった異業種の仕事の場に働く姿がニュース報道もされました。そうです。会社員というものは会社を存続させるという目的のために、全く予想外の仕事を社員に求める場合がある、”サラリーマンは気楽な稼業ときたもんだ”といった考え方は遠い昔々の話になったのだと思います。しかし、そんな仕事の幅にも限度というものはあると思います。

    では、ある日突然に、上司からこんな一言を言われたとしたらあなたはどうするでしょうか?

    『橘君。君にミカサ音楽教室への潜入調査をお願いしたい』。

    この世には映画007のように現実世界にも実在する”スパイ”という職業があります。日本の警察にだって”おとり捜査”というグレーな考え方もあります。しかし、普通の会社員として就職した企業で、”スパイ”行為を行うことは想像だにしないでしょう。そんなこと言われても…でも上司の命令だし…そんな事態に陥ったあなたはどんな行動に出るのでしょうか?

    さて、ここに上司から『潜入調査』を命じられた一人の男性を描いた物語があります。『著作権』を管理する団体の職員として働くその男性は、まさかの指示に困惑します。この作品はそんな男性が、潜入先で人との運命の出会いを果たす物語。男性が弾くチェロの音色が物語の色彩を演出してもいく物語。そしてそれは、そんな『潜入調査』のその先に人と人との繋がりの意味を感じる物語です。

    『全日本音楽著作権連盟の資料室は陽の届かない地下にある』。そんな資料室へと非常階段で駆け下りるのは主人公の橘樹(たちばな いつき)。『国内の音楽著作権を管理』する『全日本音楽著作権連盟、通称・全著連』の資料部に異動となった橘を『広大な資料室』で待っていたのは新しい上司である塩坪(しおつぼ)でした。『あの、お話というのは』と訊く橘に、『君、チェロが弾けるんだってね?』と『予期していなかった』言葉が出たことに呼吸が止まる橘。『学生時代にチェロ歴がある。五歳から十三歳まで…』と語る塩坪の情報は入社試験の時に橘が答えたものでした。『新卒採用時の履歴書』の余白にメモ書きされたその情報を見せられ、『…楽器経験と、ここでの仕事に何か関係が?』と訊く橘に『音楽教室の件は知っているね?』と塩坪は説明を始めます。『大手の音楽教室からも著作権使用料の徴収を始める』ことに伴い、『全著連がマスコミに取り上げられる機会は増えてい』るという現状。そんな中に『楽器や音響機器の製造販売を行っているミカサ株式会社』が『率いる「音楽教室の会」が、東京地裁に訴状を出す構え』であり、『その訴えが認められてしまえば、うちには大きな痛手となる』という見通しを語る塩坪。『音楽教室内での演奏は「公衆」に対する演奏ではない』というミカサの主張を元に、それでも『余程のことがない限りはこちら』が勝つと塩坪に意見を述べる橘。そんな橘は、塩坪から一枚のリーフレットを受け取ります。『ミカサ音楽教室二子玉川店、と書かれた黒い角印に目が留まる』橘。そんな橘に、塩坪は告げます。『橘君。君にミカサ音楽教室への潜入調査をお願いしたい』、『ミカサ音楽教室に生徒として在籍し、ほかの生徒と同じようにレッスンを受け、実際に教室でどのようなことが行われているのかを調べて欲しい』。そんなまさかの指示に『… スパイをはたらけということですか?』と聞き返す橘に『その通りだ。そして調査で見聞きした情報を、法廷の場で証言してもらいたい』と続ける塩坪は、『仕事の帰りにそこの教室へ寄って、得意のチェロを弾いてきてくれさえすればいい』と補足します。そして、断る術もなく『ミカサ音楽教室』へと通うようになった橘。過去に遭遇したある一件により『自分がチェロに触れることは、もう二度とないだろうと思っていた』橘が、『ミカサ音楽教室』の浅葉桜太郎(あさば おうたろう)のもとでチェロを学ぶ日々がスタートしました。

    本屋大賞2023にノミネートされたこの作品。女性作家さんの小説限定の読書を続けている私ですが、本屋大賞の候補作一覧を見て、これって何?、となってしまったのがこの作品でした。男性作家さんの作品には一切見向きしない割り切りの良さを発揮するさてさてですが(笑)、本屋大賞にノミネートされるような女性作家さんの作品の存在に全く気づいていなかったことに深く恥じ入りました。また、合わせて作者の安壇美緒さんのお名前も初めて知り、”あだん みお”さんとお読みすることを確認しました。そして、三冊ワンセットで読書を続ける私にとって、安壇さんは今までにこの作品を含めて三冊刊行されていらっしゃることがわかり、慌ててこの作品を手にして、今日のレビューに至ったという経緯があります。それにしても本屋大賞がなければ、さてさてがこの作品に出会うことはありませんでした。改めて本屋大賞という賞の意義を感じた次第です。
    ありがとうございます‪⸜(*ˊᵕˋ*)⸝‬

    さて、そんなこの作品ですが、薄暗い表紙をよく見ると、そこにはチェロを弾く男性の姿があります。書名だけだと『弓』が意味するところを特定しえませんが、この表紙込みでこの作品が何らかの音楽を扱った作品であることがわかります。クラシック音楽をはじめ音楽全体が大好きなさてさてとしてはそれだけで興味津々です。私のブクログのアイコン、これは”蜂”と”ピアノ”、そして”雷”を組み合わせたものです。私が読書&レビューを始めるきっかけとなった恩田陸さん「蜜蜂と遠雷」をイメージして作ったものですが、それ以来、小説中に音楽が取り入れられた作品を読むのは楽しみの一つです。宮下奈都さん「羊と鋼の杜」、森絵都さん「アーモンド入りチョコレートのワルツ」などピアノを中心に音楽を扱った作品は多々あります。そんな私が今回手に取ったこの作品は、そんな音楽を全く違う視点から見るものでした。それこそが、物語冒頭に登場する主人公・橘の勤務先です。『全日本音楽著作権連盟』。この国に実在もする音楽著作権の総元締めともされる団体(リアル世界では日本音楽著作権協会、通称JASRAC)については、細かいことは別として、誰もがその存在自体は知っているはずです。そう、この作品は『著作権』という側面から音楽を見ていく物語、そんな『著作権』という存在に光をあてる物語なのです。

    では、『著作権』というものについて私たちはどれほどのことを知っているでしょうか?また、その行使においてどのような問題があるのでしょうか?この作品では2017年に実際に音楽教室団体が著作権問題で提訴した、いわゆる”音楽教室著作権裁判”の内容がベースになっているようです。音楽著作権を管理する団体が『大手の音楽教室からも著作権使用料の徴収を開始する、と発表』したことから巻き起こったこの事件は、記憶にある方も多いかと思います。この作品では主人公・橘が『全日本音楽著作権連盟』の職員であり、そんな橘が音楽教室に『潜入調査』をする様が描かれていきます。この問題について、それぞれの立場から『著作権』の問題がどのように見えるのか、なかなかに興味深い視点が小説の中で語られていきます。

    ・全日本音楽著作権連盟: 『音楽教室そのものが「演奏の主体」であるならば、狭い密室で行われた、たった一人の生徒へ向けてのお手本の演奏であったとしても、楽曲の演奏権は侵害される』
    → 『著作権使用料の徴収』をする権利がある

    ・音楽教室: 『音楽教室内での演奏は「聞かせるための演奏」ではない』、『音楽教育のための著作物の利用は文化的所産の公正な利用』
    → 『著作権使用料の支払い義務がない』

    当事者同士ですからその主張が真っ向から対立するのは当たり前ですが、物語では著作権法第22条の条文まで参照しながら、この問題について初見という読者であっても理解できるように双方の主張が分かりやすく説明されていきます。そして、ことはそう単純ではないこともわかります。それは、当事者以外の人物から見た視点です。『音楽関係の専門家』はこんな声をあげます。

    ・専門家: 『音楽教室でのレッスンで弾いた楽曲からも著作権使用料を徴収してしまうことで、結果的に業界全体の萎縮を招いてしまうのではないか?』

    さらには、本来、『著作権』によって守られるはずの作曲家の中にもこんな反応を示す方が出てきます。

    ・作家家: 『自身の曲は使ってくれて構わないと声明を出』す者も現れる

    この問題がそう単純に考えられるものでないことがわかります。そんな難しい問題に著作権管理団体側が行った『潜入調査』が事をさらに大きくもしていきます。なかなかに興味深い問題をとり上げた作品だと改めて思いました。

    一方で、そんな作品では主人公・橘が『潜入調査』を行っていく中で、彼が五歳から十三歳になるまでチェロを学んでいたことに光があたります。弦楽器の一つであるチェロ。ヴァイオリンほどメジャーな存在ではないにせよ、その深い音色に魅せられた方はたくさんいらっしゃると思います。この作品では、主人公・橘が再び手にしたチェロという楽器のさまざまな側面を描いてもいきます。まずは、チェロという楽器をこんな風に説明します。

    ・『チェロはヴァイオリンの三倍程の厚みがある楽器で、約百二十センチの高さがある』。

    ・『弦楽器の中で、最も音域が広い』

    ・『チェロの音域は、人の声に一番近い』

    この辺りは、一般知識としてご存知の方も多いと思いますが、改めて記されることで物語の中でチェロという楽器の存在が大きく浮かび上がってもきます。そして、音楽を奏でる中で興味深い言葉が語られていきます。

    ・『コンサートで第一音を出す瞬間の脳波って、飛行機のパイロットが離着陸する時と同じ状態』。

    なるほど。とても納得感のある説明です。そして、この作品では橘がチェロを演奏する場面も登場します。少しだけ触れておきましょう。

    ・『挨拶をして、椅子に座り、その胸にチェロを抱いた時、濃密だったこれまでの時間が溶け出』す橘。そんな橘は、『ホールの最奥を見据えて、そっと小さく息を吐』きます。そして、振り向いてピアノに合図を『出すと、まもなくピアノは奏でられ始め』ました。『光の粒子が闇に吞まれていくような旋律が、重厚なチェロの低音を誘った』と始まった演奏。そんな橘の脳裏には『いろんな景色が巡り』、『支離滅裂にあらゆるものが、浮かんではすぐに、消えてい』きます…。

    コンクールの模様を描く恩田陸さん「蜜蜂と遠雷」のような”文字の上から音楽が流れ出す”ような表現が登場するわけではありませんが、ステージに立つ橘の心持ちは存分に伝わってきます。違う視点からとはいえ、音楽および音楽家も登場するこの作品、これから読まれる方にはこの音楽を描く視点にも是非ご期待ください。

    そんなこの作品の核心は、『一人暮らしの定時上がりで、時間はあり余るほどある。これから先、死ぬまでの時間、一体何に時間を費やせばいいのか、見当がつかない』という思いに苛まれながら、『全日本音楽著作権連盟』の職員として日々を送る主人公、橘の人生が描かれていきます。『極度の神経質で、他人がいると眠れないどころか、自室に来られると落ち着かない』という橘は、不眠症に苦しみながら今を生きています。作者の安壇さんは、そんな橘のことを”根が真面目ですし、孤独に輪をかけて孤独みたいな人”と説明されます。そんな橘が上司に『潜入調査』を命じられるというのは小説とはいえ、なんとも酷な設定です。『潜入調査』は、言い換えれば『スパイ』行為でもあるからです。この作品の書名にも登場する『ラブカ』は深い海に生息するサメの一種であり、そんなイメージから『イスラエルの諜報員の男が、潜入先のベルリンの街に溶け込んでいく』スパイ映画の存在が作品に重ねられてもいきます。一方で、そんな孤独な存在、主人公の橘が『潜入調査』先で出会ったのが、チェリストの浅葉でした。当初、仕事という位置付けで、ある種の割り切りも考えていた橘ですが、次第にそこに見る景色が変わっていきます。

    『浅葉のチェロは飛翔する。自分もあんな風に弾けるようになれば、このまま深海の悪夢から逃げ切ることができるかもしれない』。

    そんな思いの先に、チェロを弾く喜びを感じていく橘。

    『チェロを弾いている間だけは、何もかもを忘れてしまえた』。

    そして、同じく浅葉に学ぶ人たちとの出会いの中で、音楽を奏でる喜びをどんどん見出していく橘。安壇さんは、そんな橘の心の動きを細やかに描き出していきます。『潜入調査』という教室側には言わば裏切り行為となる日々の一方で、チェロを通じた人との交わりの中に生きる意味を見出していく橘の物語。安壇さんはそんなこの作品のテーマを”時間と信頼の話”だとおっしゃいます。

    ”時間を重ねるにつれて、相手との信頼関係が醸成されていく。そうやって出来上がったものは、ある一点の事実のみで壊されてしまうものなのだろうか、そうではないんじゃないだろうか”

    そんな安壇さんの思いの先に極めて納得感のある結末を見るこの作品。さまざまな思いが去来する物語は、極めて読後感の良い未来を見せてくれる中に終わりを告げました。

    リアル世界に実際に起こった『著作権』に関する事件をベースに展開するこの作品。そんな作品では、私たちが普段深く考えることのない『著作権』に関する問題がさまざまな立場からの意見も踏まえて分かりやすく提示されていました。そんな物語の中に『潜入調査』という衝撃的な役割を命じられた主人公・橘の心の動きを具に見るこの作品。チェロという楽器の魅力をさまざまな視点から浮かびあがらせてもいくこの作品。

    『講師と生徒のあいだには、信頼があり、絆があり、固定された関係がある』。

    人と人との信頼と絆の存在を深く感じさせてくれたこの作品。まさしくチェロの音色のように深い味わいを感じさせてくれる逸品だと思いました。

    • 読み子ちゃんさん
      返信ありがとうございます!
      嬉しくてびっくりしました

      私もいろんな方のバッハの無伴奏チェロ組曲を聴き比べてみたいと思います

       上橋菜穂子...
      返信ありがとうございます!
      嬉しくてびっくりしました

      私もいろんな方のバッハの無伴奏チェロ組曲を聴き比べてみたいと思います

       上橋菜穂子さんの本はいろいろ読んでいます
      守り人シリーズが一推しで 何クールか読みました
      ファンタジーを超えており 異国の人の暮らしや宗教観価値観の理解が世界を繋げることを教えてくれます
      好きすぎて 最終話では終わってほしくなくて手が震えてページがめくれないほどでした
      最高です!

       ファンタジーでは 小野不由美さんの十二国記も(文章がしっかりしていてなかなかページが進みませんが )壮大で素晴らしかったです
      人が人をまとめていく上で何が大切かを切実に訴えてくるストーリーです
      構成も独特の世界観も他に類を見ない圧倒的スケールで最高です!

      長くなり ごめんなさい
      ではでは 今後もブクログで感想を読ませてください
      ありがとうございました
      2023/07/22
    • さてさてさん
      読み子ちゃんさん、こちらこそありがとうございます。
      音楽が小説と融合していく作品ってたまらない魅力を感じます。そんな最高傑作は私には今もっ...
      読み子ちゃんさん、こちらこそありがとうございます。
      音楽が小説と融合していく作品ってたまらない魅力を感じます。そんな最高傑作は私には今もって「蜜蜂と遠雷」ではありますが、このラブカも音楽というものを違う側面から見せてくれました。とても考えさせられること多々な作品だったと思います。そんな作品にはバッハがとても似合っているとも思いました。
      上橋さんの作品について補足いただきありがとうございます。どんどん読みたくなってきますね。比較的時間のとりやすい夏場に踏み出してみたいと思います。一方で、小野不由美さんについては全く存じ上げませんでした。なるほど、そうなんですね。ファンタジーには、まだ見ぬ世界がたくさん広がっていそうで、まだまだ読書の楽しみはたくさんありそうです。情報ありがとうございます。
      こちらこそ今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
      2023/07/22
    • 読み子ちゃんさん
      活字だけで音楽を生々しく届けることができるという意味でも 作家さんの力は絶大ですよね

        いろいろ丁寧にご返信をありがとうございました
      私...
      活字だけで音楽を生々しく届けることができるという意味でも 作家さんの力は絶大ですよね

        いろいろ丁寧にご返信をありがとうございました
      私も五感に訴える本にまた出会えたらいいなと思います

        ではでは
      2023/07/23
  • 数ページ読んだだけで、これは読んで間違いない作品と確信した。面白い作品は大体そんな気がする。
    と思いつつ読み進めると、想定していたものと違い、戸惑ってしまった。どうやら自分の勘はあまり当てにならないらしい。
    心に深く残るかどうかでいえば、はっきりとそうとは言い切れないが、作品から得られたものは確かにある。とはいえ、作者が作品を通じて読者に伝えたいことが、ぼやけている気がするのは自分の読み込みが甘いせいか。いまいちどう感想を書いたらいいのか迷う作品だった。

  • フォロワーさんがこぞって高評価をつけていた為、ずっと読みたかった一冊。

    なかなか中古市場ではお目にかかれず、書店まで赴き、新品で購入。

    新品で買う価値あり!


    幼い頃、チェロ教室の帰りに橘は誘拐未遂事件に遭遇する。
    それがトラウマとなり、大人になった今でも悪夢に苛まれていた。
    ある日、上司から、著作権法侵害の証拠を掴む為、音楽教室への潜入調査を命じられる。

    橘は身分を偽り、チェロ講師、浅葉の元に通うことになる。


    出だしはスピード感かあまりなく、何でこの本が高評価なんたろう??と訝しみながら読み進めたが、根暗な橘くんが、明るい先生や、仲間と共に過ごしていくことで、次第に人間らしくなっていく姿に心奪われて、そこからは物語も加速していった。


    上品な物語だった。




    ちょっとネタバレ

    橘くんが、必死で証拠隠滅を図ったこと、音楽教室のみんなに教えてあげたくなった。
    彼は彼なりに物凄く苦しんでるよーーーって教えてあげたくなった。

    でも何も語らずに、彼を赦すみんな、、、
    素敵だなぁ。。。

    • bmakiさん
      mayutochibu9さん

      コメントありがとうございます(*^▽^*)
      一位でしたか!
      確かに突き刺さる何かがありました。
      隣...
      mayutochibu9さん

      コメントありがとうございます(*^▽^*)
      一位でしたか!
      確かに突き刺さる何かがありました。
      隣の叔母さんにお貸ししましたが、高評価でした(*^▽^*)

      mayutochibu9さんの本棚を拝見しましたが、ひょっとしたら小野寺史宜先生の、『ひと』や『まち』がお好きかもしれません(*^^*)

      外したらすみません(^^;;
      2023/08/15
    • mayutochibu9さん
      コメントありがとうございます。ご紹介の本読んでみます。
      凪良ゆうさんの作品はいくつも読んでますが、
      丁度、リアル不幸2件があり気分が滅入...
      コメントありがとうございます。ご紹介の本読んでみます。
      凪良ゆうさんの作品はいくつも読んでますが、
      丁度、リアル不幸2件があり気分が滅入ってました。
      気分を揚げるため、そのような本選びをしたりします。
      気分が落ちているときはくだらない「コメンテーター」もお気に入りです。
      2023/08/16
    • bmakiさん
      mayutochibu9さん

      凪良ゆうさんの作品は、嵌まりますね。。。

      私もどっぷり世界にハマってしまいました。
      引き込ませ方...
      mayutochibu9さん

      凪良ゆうさんの作品は、嵌まりますね。。。

      私もどっぷり世界にハマってしまいました。
      引き込ませ方が凄いです。

      リアルは不幸、、、2件も続いてしまいましたかぁ。。。(ToT)
      嫌なことがある時って、何故か連続することがありますよね。。。
      私もここ何年も全くいい事がありませんが、徹底的に悪い事が起こらないだけまだマシなのかもしれません。

      そんな時はほっこりする本がいいですよね(*^▽^*)

      まちや、ひと、必ずほっこりすると思います(*^▽^*)おすすめです♪
      2023/08/16
  • 涙活シリーズ 第五弾。

    弓を持つって見て、弓道かと思ったら・・・
    中学校と大学が弓道部だったので、、、
    チェロの弓でした。

    感想は、ものすごくよかった。。
    テーマ、話の流れ、タイトル、本の装丁まで、すべてが素晴らしい。
    静かに流れる話の中に仕掛けられた種が、見事に意味をなしながら進んでいきます。
    一番印象に残ったところは
    「この脅威は、幻だ。手を伸ばすべき現実はいつも、恐れの向こう側にある。」

    一度しかない人生。
    やっぱり死ぬときに後悔はしたくないと思いました。

    この本を選んでくれた松子さん、一緒に涙活させていただいている地球っこさん、aoi-soraさん、とても楽しい時間をありがとうございました。

    • 松子さん
      あおちゃん、283ページから読みましたぁ!
      最後のドキドキの場面だった。はぁぁぁ、良い場面。
      スパイの時とはまた違う橘のドキドキがこちらにし...
      あおちゃん、283ページから読みましたぁ!
      最後のドキドキの場面だった。はぁぁぁ、良い場面。
      スパイの時とはまた違う橘のドキドキがこちらにしっかり伝ってきて、仲間の本当の姿に橘の気付きが…。良い場面だねぇ(*´꒳`*)
      2023/05/14
    • 地球っこさん
      いるかさん

      「一度しかない人生。
      やっぱり死ぬときに後悔はしたくない」との感想が生まれたわけが分かった気がします。
      痛くても怖くても、後悔...
      いるかさん

      「一度しかない人生。
      やっぱり死ぬときに後悔はしたくない」との感想が生まれたわけが分かった気がします。
      痛くても怖くても、後悔したくないのなら、目を逸らしてちゃダメなんだろうね、自分の選んだ道を歩いていきたいね。
      2023/05/14
    • いるかさん
      みなさん お疲れ様です~。

      人生 そんなにうまくはいかない。
      だけど、一生懸命生きていれば何とかなる。
      そして自分の好きな人はもっ...
      みなさん お疲れ様です~。

      人生 そんなにうまくはいかない。
      だけど、一生懸命生きていれば何とかなる。
      そして自分の好きな人はもっと信用する。
      そんな感じに思いました。

      一緒に読書を楽しむ。
      これってすごいですね。。。
      2023/05/14
  • 2023私が読みたい本3選に選んだ1冊を読み終えました。

    音楽を通じて語られる師弟関係と人としての成長物語。

    フォロー、フォロワーさんの評価も高く、大好きな本屋大賞のノミネート作となれば読みたくて、読みたくて、読みたくて...

    期末を迎えたこの時期に手にしたことを少し後悔。
    (読み終えるのに5日もかかってしまいました)

    それ故に☆4つ、自分の中でどうしても少し間延びした感じを受けてしまいました。
    (当然なのですが...)

    全体的にはすごく良い作品で、読みたい本3選に選んだことは間違っていなかったと思います。

    普段、クラシック音楽とは交わることがない私ですが、エピローグに入ってからは探しましたよYouTubeで。

    「戦慄のラブカ」を聴きながら読み終える。

    休日だからこその素敵な時間でした。


    説明
    【2023年本屋大賞ノミネート】
    【第25回大藪春彦賞受賞】
    【第6回未来屋小説大賞第1位】
    【第44回吉川英治文学新人賞ノミネート】

    深く潜れば潜るほど、主人公と自分を重ね、浅葉先生に救われ、突き刺される。
    暗い深海で一筋の光にすがるように、どうか壊れてしまわないでと願いながら、一気に読み終えました。
    限られた文字数では、語りきることなどできません。
    この物語はこう紡がれ、奏でられるしかなかったのだと、心から感じました。
    まだずっと、余韻が残響のように、自分の中で鳴り続けています。
    ――斉藤壮馬さん(声優)

    その人は尊敬すべき師であると同時に、得がたい友人になった。
    内向的な青年の冷めた視線に映し出された世界が、次第にみずみずしく光に満ちた世界に変わっていく。
    たとえその前提が裏切り行為であったにしても。
    ――篠田節子さん(作家)

    優れた演奏を聴き終えたかのような感動が胸に満ちてくる。
    嘘を重ねる主人公にこうまで味方したくなるのは、
    書き手の筆に嘘がないからだろう。
    〈音楽の力〉によって結びつき回復してゆく人々を、
    〈言葉の力〉で描ききった希有な小説。
    ――村山由佳さん(作家)

    武器はチェロ。
    潜入先は音楽教室。
    傷を抱えた美しき潜入調査員の孤独な闘いが今、始まる。
    『金木犀とメテオラ』で注目の新鋭が、想像を超えた感動へ読者を誘う、心震える“スパイ×音楽”小説!

    少年時代、チェロ教室の帰りにある事件に遭遇し、以来、深海の悪夢に苛まれながら生きてきた橘。
    ある日、上司の塩坪から呼び出され、音楽教室への潜入調査を命じられる。
    目的は著作権法の演奏権を侵害している証拠をつかむこと。
    橘は身分を偽り、チェロ講師・浅葉のもとに通い始める。
    師と仲間との出会いが、奏でる歓びが、橘の凍っていた心を溶かしだすが、法廷に立つ時間が迫り……

    【著者略歴】
    安壇 美緒 (あだん・みお)
    1986年北海道生まれ。早稲田大学第二文学部卒業。2017年、『天龍院亜希子の日記』で第30回小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。2020年、北海道の中高一貫の女子校を舞台にした青春長編『金木犀とメテオラ』を刊行、書店員からの熱い支持を受けロングセラーとなる。

  • 実際の事件に着想を得て作られた物語だそうだ。
    そういえばそんなニュースあったなー、ぐらいだったのに、読み終わったら判決文まで検索していた。
    バッハの「無伴奏チェロ組曲」も検索して聴いた。
    この曲か!知ってる!
    読んだ本から興味や知識が広がる、読書の醍醐味だなぁ。

    登場人物も魅力的で、特に浅葉先生がすごくよかった。
    大人の音楽教室らしい適度にゆるい感じと、時に生徒に真っ直ぐに向き合う姿。自分をさらけ出すところもよかった。その分裏切られた時の怒りも。
    樹くん、ここからまた信頼を取り戻せるようにがんばれ。

  • スパイ物の、ミステリーというふれこみで読んだら想像とはかなり違っていました。
    人と人との信頼関係を描いた作品だと思いました。


    全日本音楽著作連盟(全著連)に勤務する橘樹は、中学一年時まで8年間チェロを習っていたことがあります。
    その経験を買われて上司の塩坪にミカサ音楽教室ニ子玉川店に生徒として二年間、潜入して、ミカサでの著作権のある楽曲についてどう使用されているか、調べてくるように言われ、生徒となって潜入します。

    ミカサでは、講師の浅葉桜太郎が好人物で、橘はチェロにもう一度向き合いたくなります。
    浅葉の他の教室の生徒たちとも交流し、持病の不眠症が少しづつ改善されてミカサを去るのが淋しくなってくる橘。

    けれど、橘の潜入期間である二年間が過ぎようとするとき皆の前で、橘の秘密が暴露される破目になってしまい絶対絶命のピンチに陥りますが…。


    「音楽は人を救う」
    「講師と生徒のあいだには、信頼があり、絆があり、固定された関係がある。それらは決して代替のきくものではない」
    「無数の信頼の重なりの上に、人間関係は構築される」
    などの言葉が印象的でした。


    そして、後半の物語は橘のとある決心により、ハッピーエンドです。
    「ラブカは静かに弓を持つ」というのは映画のタイトルで映画音楽にチェロの伴奏が使われているという設定です。

    • yyさん
      まことさん

      こんにちは。
      この本、7月の始めに図書館で予約をしてあるのですが
      手にするのには、まだしばらく かかりそう。
      まこと...
      まことさん

      こんにちは。
      この本、7月の始めに図書館で予約をしてあるのですが
      手にするのには、まだしばらく かかりそう。
      まことさんのレビューを読んで、ますます楽しみになりました☆彡
      2022/08/15
    • まことさん
      yyさん。こんにちは♪

      この作品のレビュー、ちょっとネタバレかな~と、思って、以下ネタバレをつけるべきが迷ったのですが、大丈夫だったでしょ...
      yyさん。こんにちは♪

      この作品のレビュー、ちょっとネタバレかな~と、思って、以下ネタバレをつけるべきが迷ったのですが、大丈夫だったでしょうか。
      私のレビューは、忘れて読まれてくださいね。
      yyさんの、いつもながらの、確信をついた、素敵なレビューを楽しみにしています♥️
      2022/08/15
  • スパイ行為が目的で通い始めた音学教室で、思いがけず講師や周りの人たちとの絆が生まれ、迷い始める主人公の橘。
    長年悩んでいた不眠や悪夢にも悩まされることが少なくなり、読んでいるこちらも、何の企みもなく普通にこの音学教室に通えていたなら‥‥と潜入調査を命令した上司を何度恨んだことか。
    でも、この小説の醍醐味はまさしくそこ!
    橘の感情の揺れ、気持ちの変化の表現が秀逸で、中弛みなく最初から最後まで物語に没入して一気に読むことができました。
    楽しければ楽しいほど、自分の裏切り行為に苦しくなり、自分を正当化しようとやっきになる。
    こういう物語を読んでいると、人に言えないことを抱えている生活を送るのは本当にしんどいことだな、それを抱えていないだけで充分だ、と思ってしまいます。
    想像の何倍も面白い本でした!
    2022年最後の読書がこんなに夢中になれる本で良かった!
    来年もまた読書を楽しむぞー!
    皆さま、今年もお世話になりました。
    来年もよろしくお願いしますね。
    良いお年を。

  • 2023年度の本屋大賞2位の作品
    この作家さんの作品は初読み、帯や前情報から得たストーリーのテーマは密偵と思ったけど、それよりは自己再生と友情がメインの作品。

    女性が描く繊細な表現力が文章から伝わり、本来聞くはずの音楽が表現力と文章力で作品を読むことでも綺麗な音を想像する事ができる。
    不思議な感覚で、作中出てくる曲はタイトルを聞くばかりでは知らない曲ばかりなのに凄くいい曲なのだろうと想像できた。

    この主人公の橘もそうだったが、音楽にはヒーリング的な物が確かにあると自分にも経験上の認識がある。
    それは聞くのもそうだけれど触って弾くのもそうだと思う。
    中学生~高校生の頃はずーとギターを触っていた、感情と行動の起伏が激しく人との関係を上手く出来なかった時期でギター弾いたりラジオ聴いたり一人でいる時間を和やかにしてくれた。今にして思えばヒーリング的な物があったのだと感じている。

    この作品を読みながら、そういう自分の過去も併せて感じていた。

    • アールグレイさん
      NSFMさんo(^-^)oこんにちは

      “ラブカ・・・・”お読みになったのですね!
      あの本は良かった!本屋大賞2位、2位だって凄いと思います...
      NSFMさんo(^-^)oこんにちは

      “ラブカ・・・・”お読みになったのですね!
      あの本は良かった!本屋大賞2位、2位だって凄いと思います。凪良ゆうさんも良かったからねぇ~
      あの本にはチェロの曲が何曲か出て来ましたね。私はどんな曲か知りたくて、YouTube で調べて聴きながら本を読みました。クラシックになんて詳しくはありませんが、就寝前に少し聴くと落ち着いた気分になれていいです。もちろん、読書中も。
      暑さはまだ続くようですね!夏の方が好きな私ですが、読書の秋も待ち遠しいです!
      2023/08/31
    • NSFMさん
      アールグレイさん、こんにちは

      自分にとって音楽といいで読書といい、年を重ね以前とはまた違い深い価値観に変わってきています。
      色々と自分の深...
      アールグレイさん、こんにちは

      自分にとって音楽といいで読書といい、年を重ね以前とはまた違い深い価値観に変わってきています。
      色々と自分の深みに繋がるような作品を読んでいきたいです。
      これからも宜しくお願い致します。
      2023/09/01
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