- Amazon.co.jp ・本 (120ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087718317
作品紹介・あらすじ
「会社の不利益になる人間を採る」
不当辞令に憤る人事部採用チームの小野は、会社への密かな復讐を始める――。
(株)Kエンジニアリングの人事部で働く小野は、不当辞令への恨みから、会社の不利益になる人間の採用を心に誓う。彼女が導き出した選考方法は、顔の縦と横の黄金比を満たす者を選ぶというものだった。自身が辿り着いた評価軸をもとに業務に邁進していくが、黄金比の「縁」が手繰り寄せたのは、会社の思わぬ真実だった……。
ボディ・ビルを描いた『我が友、スミス』で鮮烈なデビューを果たした著者が、本作では「就活」に隠された人間の本音を鋭く描く!
【著者プロフィール】
石田夏穂(いしだ・かほ)
1991年埼玉県生まれ。東京工業大学工学部卒。2021年「我が友、スミス」が第45回すばる文学賞佳作となり、デビュー。同作は第166回芥川龍之介賞候補にもなる。他の著書に『ケチる貴方』がある。
感想・レビュー・書評
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主人公である人事担当が新卒採用における黄金比率の顔にこだわる理由は本の帯どおり会社の没落を狙ってのこと。黄金比顔のなにが、どうなって、没落に繋がるかは作品を読んでいただくとして、その信念で徹頭徹尾突き進む主人公の暴走は読んでいて清々しいほどだ。後半の妙にミステリーライクなまとめ方も面白かった。
相も変わらずへんてこな設定をベースに、読者を物語引き込む展開づくりのうまさ、程よくウィットに富んだ文章など、才能溢れた石田夏穂さんの次回作も今から楽しみ。すっかり石田ワールドに嵌まっている。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
入社した会社に夢や希望を抱く新人女子が理不尽かつツマラナイことで事実上左遷される。
その後、彼女は常軌を逸している行動をとる。
鉄仮面の如く感情を表さず 自らの定めた規範にのみ従い続ける姿はおそろしい。
そんな事にエネルギーを使わず素直に転職して前向きな人生を送った方が良いのではと思うのも当然だが、それは本人も分かっている。それが恐ろしい。
そしてとある事から、鋼鉄の矜持が揺らぐ事態になるのだが果たして…。
短篇で一気に読めるがとても満足できた。
石田夏穂さんにハマりそう。 -
なにこれ、面白っ。
「ずるずると勤続年数を重ねる凡人」の一人である私にとって、小野さんの考え方は斬新だけどめちゃくちゃ共感できた。
『会社に対し、一介の従業員が与え得る最大の損害は何か。自己都合退職である。』笑える。ほんとそう。
会社勤めされてる方、就活中の方、ぜひ読んでみてください。肩の力が抜けるはず。
薄い本なのであっという間に読めちゃいます。
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なんたる執念!
凄すぎる……。
Kエンジニアリングの花形部署で働いていた小野は、ある事がきっかけで、会社にとって不利益な社員とされ人事部に左遷させられ、新卒採用担当となる。そして十年……。
納得のいかない小野は、会社にとって不利益な人間、まさしく自分が会社から言われたのと同じ、不利益な人間を採用して、何年もかけてジワジワと復讐しようとしているのだ!
その不利益な人間とは、どういう人のことか?
そして不利益な人間と見極める方法とは?
小野の頭の中で繰り広げられる理詰めの理屈がもう凄すぎる。
ものすごくシュールなコメディとしても読めますが、仕事とは?会社とは?就活とは?となかなかに考えさせられる作品でもあります。
一度も就職したことがない人が読むのはオススメしないなぁ、と思ってしまう。
私自身、いくつかのバイトや仕事を経験してみて、外からではなく中から見てみると意外といい加減なことしてるんだなぁ、なんて小野と同じようなことを思ったことはしばしばw
そして、職場での評価も結構個人的な好き嫌いが影響してること多いですよね、実際問題w
そんなことが赤裸々に小野を通して呟かれてしまってるので、これから就職する若者たちの耳には入れたくないかもw
それにしても、小野さんと結婚したらケンカしないことをオススメします。恨まれたら離婚は許されずに毎日少量ずつ毒を盛られそう……こわ。 -
「会社の不利益になる人間を採る」
この逆説的な採用方法が、これからの時代、会社存続のための正しい戦略になる、と本気で考えさせられるビジネスパーソン必読の文芸作品です。
本書は、新卒採用において、顔の黄金比を評価軸として可否を判断する採用担当者が主人公だ。
しかも、本人が会社に復讐するためにそんな出鱈目をするのだという。
就活中の方からすると、「とんでもない」と憤らずにはいられないだろうが、屁理屈を捏ねくり回すと、そんな採用方針でも一定の合理性を帯びてくるところがおそろしい笑
大笑いしながら読んだ。
石田さんの作品は、掛け値なしに面白い。
芥川賞候補作の「我が手の太陽」も早く読まなくっちゃ!
♪黄金の緑/UA(2007) -
プロセス部から不当な辞令で人事部の新卒採用チームの一員になって十年。
会社への密やかな復讐として、「顔の黄金比」を評価軸に一次面接で推し、入社後とっとと辞めてくれることを願う小野。
そもそも一次選考で「公正かつ客観的」を期するのは無理だと、評価軸は自ずとフィーリング、もとい「経験値」とか「勘」に頼らざるを得ないと声に出さずに思ってる凄さ。
とにかくシンプルかつ、ある意味的を得てることをさらりと言うので納得し、すっきりしてしまう。
ここでも「縁」という言葉が出てくる。
すべて「縁」で説明可能なところに逆に使いたくないな、とさえ思ってくる。
就活に限らず、人との縁、恋愛でも結婚でも縁。
使い勝手が良すぎ。
そしてこの本は「黄金比の縁」である。
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ボディ・ビルを描いた小説『我が友、スミス』の著者です
筋トレをテーマにした小説って珍しいなとワクワクしながら読みましたが、なんだか読みづらく、うぅ〜ん…って感じだった記憶が(^.^;
本作は就活面接をテーマにした作品
不当な辞令を受け憤る人事部採用チームの小野は、面接で「会社の不利益になる人間を採る」ということを行い会社への密かな復讐を始める
100ページちょっという短い小説だがやっぱりなんだか読みづらい…
あまり相性が良くない作家さんなのかな…w
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2023/10/27
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1Qさんえらい!ᕦ(・ㅂ・)ᕤムキムキ
一時期 きんに君の「世界一楽な筋トレ」やってたけど やめちゃった笑
そかー!レンガ本 借りてくればい...1Qさんえらい!ᕦ(・ㅂ・)ᕤムキムキ
一時期 きんに君の「世界一楽な筋トレ」やってたけど やめちゃった笑
そかー!レンガ本 借りてくればいいのか!2023/10/27 -
2023/10/27
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壮大な笑える復讐劇。
理不尽な人事異動で主人公の小野さんは人事部へ。そして新卒採用チームの一員に。その時点で会社を辞めてしまいそうだけど、根性をみせたのが小野さん。辞めないで復讐を思い付く。優秀な人材を会社から逃がし、代わりに会社に不利益になる人材を採ろうと。人事部だからできる復讐方法。そういう発想が面白い。小野さんの採用基準は顔の黄金比。これは理系女子の小野さんらしいな。小野さんの顔の黄金比で採用した人はやはり優秀。でも3年で会社を辞めてく。離職率が高いと会社は大変。会社の評判にも影響するし。新卒者がすぐ辞めるのは、こういう時代だから仕方ないよね、と言い訳ができるけど、会社ではその処理が大変みたい。
人を雇うって難しい事なんだと思う。やっぱり、人間だから好みがあるし、平等ってなかなかできない気がする。男女平等は大切だけど、学歴や性格なども考慮するから、だんだん分からなくなるだろうな。完璧にはできないと思う。
最終的に小野さんの顔の黄金比によって会社はどうなってしまうのか?気になるところで終わっちゃった。こういう終わり方はモヤモヤする。
"縁”という言葉が作中で使われてる。"縁"、私は素敵だなと思うけど、この作品を読んで"縁"は便利な言葉でもあるんだなと思った。 -
会社に恨みをはらすため、人事部にて着々と「すぐ辞める」素地をもつ顔が黄金比の志望者ばかりを推す、主人公。淡々とした文体にぞくぞくしました。そして淡々と自らの仕事を実行する主人公にも。本は薄く、とても読みやすかったです。石田さんのほかの作品も読んでみたくなりました。