さよなら、日だまり

著者 :
  • 集英社
3.03
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本棚登録 : 55
感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087748635

作品紹介・あらすじ

用意周到な占い師(♂)と、ミステリアスな友達(♀)。浮気性の夫と、占いなんか信じないはずだった「わたし」。4人が仲よくなればなるほど、どこか不安になる-。ある晩をさかいに、それは現実のものとなった。野間新人賞受賞後の最新小説。

感想・レビュー・書評

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  • 170603
    1時間ほどで読めた。

  • 読む前にちょっとレビューをみてしまってやるせない感じの話なのか・・・となかなか読み始められずにいたけど読み出すとあっさり最後まで読めた人の心にするりと入り込みいろいろなものを奪っていく人達「だまされた」というより「巻き込まれた」といったほうがピッタリかも確かにこんな終わり方しかないのかもしれないなすぐ隣にある不幸 みたいな感じでゾッとする

  • まるで(スカッとジャパン)を見ている様な内容。
    違ったのは終わり方がスカッとしなかっただけ。

  •  平田俊子「さよなら、日だまり」、2007.7発行。この小説の狙いは何だろう。変な占いや詐欺にだまされないようにとの警鐘であろうか。矢野律子36歳が、占い師の牛島ユカリ34歳と須貝明夫33歳の2人によって夫である矢野昌彦34歳を奪われ、家を奪われ、離婚させられ、破滅の道に追いやられる物語。まさに「さよなら、日だまり」。読後感はやるせなさだけが残ります。私の一番苦手な小説です。悪は滅びることを期待して、最後まで読んでしまいましたが・・・。

  •  救いがなくて読む手が止まらなかった。じわじわと、しかし確実に侵食されていく日だまりのある生活。いちいち気に障る自分の心が狭いのだろうかと自身を責めそうになる、最初はそんなさじ加減で忍び寄ってくるユカリと須貝が心底怖い。もっともっと早く食い止めておかなければ、ふと気づいた時には引き戻れないほど深みにはまってしまうのだなぁ…と、改めて人間の怖さ、不気味さを感じた。

  • 結婚して7年目の律子と矢野は子供はおらず互いの仕事の忙しさもあるせいかすれ違いの毎日だったが
    律子が仕事関係で知り合ったユカリと須貝は、表上は人当たりがいい感じだが、
    言葉巧みに律子と夫の矢野を言いくるめて、彼女たち夫婦の生活を壊していった。

    ユカリと須貝に言いくるめられてどんどん豹変していく夫矢野。
    おかしいと思いながらも律儀に対応してしまった律子の落ち度は、何もかもを失ってからその過ちに気づくのだった。

    人の弱さにつけこんで
    ありもしない話をでっちあげ嘘に嘘をかため人を騙す詐欺師。
    こわいこわいこわい。冷静にかんがえれば気づくけど、当の本人になったとき、その冷静さを保てるのかと思うと自信ないよね。

    洗脳話を読み続けられるか不安だったけど、一気に読めた)^o^(

  • コワイと思った。身近にある恐怖というか・・・
    あり得ないことじゃないと思えるからコワイ。
    人をだますのにそこまでやるかと思うけど、
    ありそうな話だと考えてしまう。

  • 最後が物足りない〜!
    ここで終わり⁈って感じ。
    でも読み出したら止まらなくて一気読み。

  • 冒頭にはバスが出てきて、やはり平田俊子のバス好きは筋金入りだと思う。
    ▼阿佐ヶ谷駅の北口でバスをおりると風が強く吹いていた。(p.3)

    「わたし」は、ユカリに紹介された占い師にこれから会うことになっていたが、バスを降りてもまだ迷いがあった。会ってからも気味悪さを感じ、その言動にも不審を抱いた。私も読みながら、こんなん詐欺師ヤロと思いながら、「わたし」がユカリやその占い師との関係にはまっていくのを、なんでなんでとツッコミを入れながら読んでいた。

    こわーい小説だった。こわいというか、きもちわるかった。「なんでこんなことになってしまったのだろう?」という話を1冊かけて書いてある。「何が起きたのかわけがわからない」という話だが、ふとしたことで、そういう道を選んだつもりもないのに、その道を歩いていたというようなことが起こるのかもしれない、と思わせる。たぶん、そこがこわくて、きもちわるい。いったい、どこが分かれ道だったのか。

    読み終わって、そのままではとても眠れそうになく、中村うさぎの『私という病』を続けて読んで、やっと落ち着く。

    図書館の書誌の「内容紹介」には、こう書いてあった。

    ▼用意周到な占い師と、ミステリアスな友達。浮気性の夫と、占いなんか信じないはずだった「わたし」。4人が仲よくなればなるほど、どこか不安になる。ある晩をさかいに、それは現実のものとなった-。▲


    「わたし」は、夫と離婚することになった。「わたし」には理解できない理由を並べて、夫は慰謝料まで請求してきた。裁判所で調停をうけ、和解することになった「わたし」は、それまで住んでいた部屋を出る。立ち会ってくれた弁護士が、「いい部屋ですね。静かだし広いし」と言う。「わたし」も気に入っていた。できればずっと住みたかった。

    ▼ベランダから入る冬の日差しでリビングの床が白く輝いている。それは見飽きることのない光景だった。幸せが日だまりになってこの部屋を守ってくれている。夫と暮らしているとき、わたしはそんなふうに思った。日だまりの中にいると気持ちが安らいだ。日だまりは優しくわたしを抱きしめてくれた。この部屋の一番いいところは、広さでも静けさでもなくて、南に面した大きな窓辺に日だまりができることだった。
     日だまりをわたしはここに置いていく。この先、わたしの前に日だまりは二度と現れないだろう。(p.144)

    表紙カバーの絵は、「わたし」が置いていく日だまりなのだろう。

    (9/22了)

  • 決して良い話ではないし、終わりも見えない。しかし、とてもリアリティがあり身近に起きそうな事で読んでいてわくわくしました。

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