娼年

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 1155
感想 : 179
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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087752786

作品紹介・あらすじ

ぼくを、買ってください。リョウ、大学生、男娼。夜ごと誘う恋なきエクスタシー。二十歳の夏の、光と影を描く物語。魂の渇望と性愛の深奥。長編書き下ろし小説。

感想・レビュー・書評

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  • 大学生のリョウくんは御堂静香に見込まれて娼夫になる。
    彼を”買う”女性たちの嗜好は様々。話すだけで満足する人、自分がおしっこしているところを見られて興奮する人、細かな設定を作り上げてその世界のなかで行為に及ぶ人。彼女たちの欲望の種類は無限のように思えて、リョウくんは娼夫の仕事にのめり込んでいく。

    ”リョウくんのことを大切に想って”いた大学の同級生の女が警察に通報した結果、御堂静香は逮捕され、リョウくんが所属していた秘密の娼夫クラブは事実上なくなる。
    御堂静香が証拠を残していなかったので、リョウくんたち娼夫と客の女性たちが捕まることはなかった。
    自分のせいで御堂静香が捕まったと詫びるリョウくんに、御堂静香の娘、咲良はもう一度クラブをやろうと持ち掛ける。

    --------------------------------------

    この本を読むのは18歳の時以来で、前回読んだのは市立図書館の二階だった。どの席かも覚えている。だから本のあらすじもほとんど記憶していた。
    当時はリョウくんより年下だったのに、いまではリョウくんを買う女性たちに近づいてしまっていることに気づく。

    先日、中村文則さんの縄を使ったSMプレイがテーマの小説を読んだばかりだったからか、リョウくんの性行為の描写がとても綺麗なものに感じられた。
    性自体が綺麗とか汚いとかの類のものではなく、色んなやり方や感じ方があるから個人的な感想でしかないのだけれど。でもまあ、綺麗だと感じたことは事実だ。

    お金を払って行為に及ぶ、いわゆる売春はもちろん犯罪なんだけど、リョウくんみたいに綺麗でスマートな雰囲気で語られると、誰も損してないからいいじゃん、と思ってしまう。
    18歳だったころの自分はリョウくんをどう思ったのか。それだけが思い出せない。

  • 石田さんが描くと美しくさえあるエロスの世界。ある意味、カウンセリング的な役割も負っているように感じました。

  • 綺麗。
    性の描写がきわどいはずなのに、全然エロくない。
    人の生きる希望とか、気力とか、人それぞれだなって。
    いろんなコンプレックスを抱える女性を醜いって思わせない。
    とにかく、本全体が綺麗。

  • 娼婦ならぬ娼年の話。様々な女達の貪欲な欲望に応え、理解して尽くそうとするリョウは、慈悲深いマリアのようだ。

  • 面白かった。性の奥深さに触れらた。

  • 2021.08.28

  • 読了後に考えると、売春はもちろん犯罪なのだけどそれが頭から抜け落ちるくらい綺麗に感じた。

  • 人にはなかなか言えないようなことも、お金を払っている、客という建前があると、色々と話せてすっきりするのかも…普段抱えているモヤモヤを、登場人物たちが晴らしてくれているような気持ちになりました。
    性描写よりも心情描写が強く印象に残る作品です。

  • 原作小説は、映画版に比べるとさほど官能さはあまり感じられない。しかし、映画版とは違い、それぞれの登場人物の心情がより描けていたとは思う。

  • 映画化されているので原作は面白いだろうと期待したけれど、よく面白さがわからなかった。
    前半は良かったけれど、薄っぺらく感じてしまった。
    続編(シリーズ?)は読まないとおもう

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。成蹊大学卒業。代理店勤務、フリーのコピーライターなどを経て97年「池袋ウエストゲートパーク」でオール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。2003年『4TEEN フォーティーン』で直木賞、06年『眠れぬ真珠』で島清恋愛文学賞、13年 『北斗 ある殺人者の回心』で中央公論文芸賞を受賞。他著書多数。

「2022年 『心心 東京の星、上海の月』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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