- Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087754438
作品紹介・あらすじ
父から小さな映画館を継いだ俊介は、創業者の祖父の前半生を調べ始める。祖父は若い頃、脱出不可能と言われた場所で働き、その密林の中には映画館が…。驚きと感動の長編小説。
感想・レビュー・書評
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2021/8/9
最後まで読んで良かった、ありがとうザビさん。 -
素晴らしいストーリーだ
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岩崎さん演出のピッコロ劇団「波の上のキネマ」を観てから、この本を読んだので、いろんなシーンがオーバラップしている。グーグルマップで炭鉱を検索したら、その跡地を見つけた。まさにマングローブが残された煉瓦の柱を覆い尽くしていた。炭鉱村の地図の案内板もあり、「映画館」ではなく「芝居小屋」と記された場所があった。おそらく小説とはあまり変わらない牢獄のような悲惨な環境で、命を落とした方が多かったのだろうと想像する。また「街の灯」のDVDも家にあったので久しぶりに観た。演劇に映画に小説。一粒で3度美味しかった!
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写真でしか見たことのない叔父がフィリピン沖で戦死してる。人間らしく亡くなっただろうかと、この本を読んでると心がギューッとなってつらい
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48-8-5
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祖父の興した映画館「波の上キネマ」が存亡の危機を迎え、安室俊介は「まだ映画館があるうちに、波の上キネマがこの世に生まれた証を残す」と、祖父が映画館を始めた理由を調べ始める……。うーん、前半の映画館の裏事情やら歴史やらは興味深く読んだが、祖父編(笑)はまるで別の話になってしまい残念だった。事実を元にしているらしい西表島の歴史は知らなかった。すべて会話で説明しようとする手法が煩わしく、そのために必要な人物が都合よく出てくる展開もなんだかなあ……。オチも思わず突っ込みたくなる安易なもので、読了後放心してしまった。わりと評価が高く期待していたが、ぼくには合わない作家だった。
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著者は『勇者たちへの伝言』でも史実と仮想を巧みに織り交ぜた物語を記した。そこでは史実が仮想に彩りを添え、仮想が史実に力を与えている。
『波の上のキネマ』も同様に、沖縄・西表島の炭鉱を舞台に映画に情熱をかけた男たちの物語が描かれているのだが、多くの設定が史実そのものに基づいていることが分かる。炭鉱の苛酷な労働環境。連行される台湾人たち。沖縄に滞在していた藤田嗣治……。
映画を題材に示される、登場人物達の人間性と、思わず引き込まれる物語に魅了された一冊だった。