カラフル

著者 :
  • 集英社
4.45
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感想 : 32
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087901528

感想・レビュー・書評

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  • とても良かった!
    車椅子ユーザーの女子高生と、あることが原因で斜に構えるようになった高校生男子の恋。

    一つ一つの言葉が深く突いていて、あと差別とか考え方などにも色々と共感できる部分があった。これは学校図書とかで読んでほしいなぁ。

  • 夢を追い続けられなくなった伊澄と車イスユーザー六花を中心とした青春ストーリー。
    高校生達の会話でこんなにも色々考えさせられると思っていなかった。また、読みやすくあっという間に読み終わっちゃいました。
    ストレートに交わされる会話が心に響いた。ユーモアたっぷりの会話も良かった。
    そして登場人物皆、魅力的でした。この人、微妙なのかな?と思ったら違う面では素敵だったり、成長していたり。
    目の前にいる人の気持ちを想像して、その誰かに自分の力を少しでも貸せるように成長していけたらなっと思えた1冊でした❗
    駅員の長谷川さんの言葉も素敵だった。

  • 「カラフル」と言ったら、自分が小中学生時代に森絵都さんの「カラフル」にハマりましたが…!
    こちらの「カラフル」も、伊澄と立花の視野が広がり、だんだんとまさにカラフルになっていってとても面白かったです。

    車いすユーザーの気持ちや状況を、まっすぐと立花に向かい合って理解しようとする伊澄の姿勢はなかなか真似ができなくてかっこよかった。
    分からないから避けるのではなくて、
    きちんと向き合って、分からないことを分かろうとする。
    そんな、当たり前だけどとても大切なことを改めて教えてくれる本でした。

  • #読了 #カラフル #阿部暁子
    高校入学式の朝、駅のホームでひったくり犯を捕まえた伊澄は、犯人を足止めしようとした車いすユーザーの少女、六花と出会う…

    『神様は扉を閉める時、別のどこかで窓を開けてくださる』という言葉を心のお守りにする車いすユーザーの少女。彼女を見守る少年。青春だ。

  •  森絵都さんの『カラフル』もよかったのですが、本作も青春小説に深みを与えた秀作と感じました。大人はもちろん、多くの中高生におすすめです。

     本作の中心人物は、車いすユーザーの渡辺六花と怪我がきっかけで陸上を辞めた荒谷伊澄。ある出来事がきっかけで、高校入学式の朝に出会い、さらに偶然にも同じ高校の同級生になります。

     障がいがありながら言葉が明晰で勝気な六花、誰とも競わない、何も目指さない、本気にならないと決めている伊澄。そんな伊澄は六花にたじろぎながら、2人の関係が変化していきます。でも、本書の肝は淡い恋心ではなく(いや、それもある!)、伊澄の再生、人が社会で共生していくために何が必要かを考え、成長する高校生たちの姿です。

     他者の気持ちを理解しようと想像し、努力すること。そして、わかり合えない状況から始まり、コミュニケーションをとり認め合うことで、周囲の人や世界の見え方や感じ方が変わる、そんな世界はカラフルなんだよと、著者のメッセージが伝わります。

     少々終盤が道徳っぽい印象ですが、行き違いや衝突があっても、互いに良好な議論ができていることで、成長につながっていますね。現実社会ではなかなかこうはいかないでしょうが、合意形成が成立する望ましい人間関係があってこそと思います。

     人間は、悪意がなくても人を傷つけてしまうこともあり得る厄介な生きものなのだと自覚し、自分の当たり前や言葉を内省したいと思える作品でした。

    • かなさん
      本とコさん、こんばんは!
      この作品の良さを網羅した素敵なレビューです(*^^*)
      思わず、うん、うんと頷きながら読ませてもらいました。
      ...
      本とコさん、こんばんは!
      この作品の良さを網羅した素敵なレビューです(*^^*)
      思わず、うん、うんと頷きながら読ませてもらいました。
      この作品、たくさんの読書家さんに読んでもらいたいと
      思っていたので、本とコさんが読んでくれて
      そしてレビュー上げてくれて嬉しかったです。
      2024/05/07
    • NO Book & Coffee  NO LIFEさん
      かなさん、コメントありがとうございます♪
      かなさんのレビューも後押ししてくれたお陰で
      読了できました。
      爽やかさと温かさと深さ‥いい作品でし...
      かなさん、コメントありがとうございます♪
      かなさんのレビューも後押ししてくれたお陰で
      読了できました。
      爽やかさと温かさと深さ‥いい作品でした。

      余談ですが、「六花」と書いて「りつか」って、
      きれいな名前ですねー。六花の読みは「ろっか」
      「りっか」「むつのはな」とあるようですが、
      雪の異称だそう‥。いい子のはずだなぁ。
      北海道の『六花亭』のお菓子、大好物です!
      (なんのこっちゃ!)
      2024/05/07
  • 昨年読んだ「金環日蝕」が意外と面白かった阿部暁子氏の最新作。本書も期待以上に面白かった。

    「金環日蝕」は社会派ミステリだったが、本書は高校生が主役の青春小説。車いすユーザーの少女・渡辺六花と夢を追い続けられなくなった少年・荒谷伊澄を主役に据え、障がい者と健常者の関わり方や障がい者から見た公共インフラや学校行事のリアルとその是非を問う社会的テーマも内包。

    「障がいを個性とは言わないで」
    「本当は誰にも迷惑なんてかけたくない」
    六花も友人達も本音でぶつかり合う。ぶつかり合いは軋轢を生むリスクがある一方で、互いを理解する気づきにもなる。特に六花とのやりとりを通して、伊澄がポジティブ思考へ移り変わっていくのが印象的。
    《精いっぱいの力と誠意を尽くすことは、たとえ骨に食いこむ痛みを負うことになっても、きっと何かを残す》うんうん、わかる。

    何をもって差別というのか?考えさせられたし、多様な相手の立場に立って物事を考える大切さを改めて学んだ。
    心に残ったセンテンスもちらほら。登場人物も読者も前向きな気持ちになれる名言だ。
    《神様は扉を閉める時、別のどこかで窓を開けてくださる》
    《過去のことを思い返してもそれはもう絶対修正できないし、まだ来てもない未来のことを考えても絶対にそこに手は届かない。今からの一秒間だけが自分でどうにかできるものだ》

    私は世代的に駅員の長谷川や家事代行の町子目線で読んだが、主人公ら青春真っ盛りの高校生達が織りなすやりとりが時に面映く、甘酸っぱさもあってよきかな。六花と伊澄の率直な会話のキャッチボールは直球勝負で気持ち良い。脇を固める友人達も個性派揃いでキャラクター造形も巧み。映像化しても映えそう。

    文章で言えば、比喩表現も素晴らしかった。
    《カッターできれいに切り抜いたような鮮明な言葉を紡ぐ》
    《彼女の虹彩は赤みを含んだ薄茶で、氷をたくさん入れたグラスに注がれた上等な紅茶のような色をしている》
    こういったセンスあふれる言い回しは、情景が目に浮かぶし、心地よい読後感にも寄与する。

    おそらく老若男女問わず多くの読者のハートに響く小説だろう。ちょっと気が早いけど、来年の本屋大賞にノミネートされるのではなかろうかと勝手に予測。

  • 高校入学式の朝、荒谷伊澄は駅のホームでひったくり犯を捕まえた。
    その際に、犯人の前に出て足止めをしようとしたのが、車椅子に乗った少女だった。
    その後の事情聴取で判明したのだが、渡辺六花というその少女も、伊澄と同じ高校の新入生だった。
    弁が立ち気の強い六花に、伊澄はヤな女だな、と感じたのだが……?
    夢を追い続けられなくなった少年と少女の挫折と再生の恋物語!
    (アマゾンより引用)

  • 最初の出会いから衝撃的。
    何かを感じる予感…それは良い意味での。

    高校の入学式の日、駅のホームでひったくり犯を足止めしようとした車いすユーザーの渡辺六花とそれに気づき走り出した荒谷伊澄。

    中学時代は走る事に全てを賭けていた伊澄が、足の故障で推薦高校も取り消しになり、自暴自棄の状態のなかで、気の進まない高校生活になるだろうなと…
    だが、中学2年で病気のため車いすユーザーとなった六花の存在が出会った日から気になりだして…。

    彼女と接するうちに閉ざしていた心の扉が開いたようで、徐々に自分の思いにふたをすることがなくなる。


    車いすユーザーだということで、学校行事は制限されるのかという問題。

    物事を問題なく進めるために、誰かが犠牲になっていることを『仕方ない』で済ませようとすることが差別ではないか、という意見。
    大人が自信満々に言うことでも間違っていることが往々にしてあること。
    情報があふれるこの世の中で、それについて自分はどんな立場を取るか、どう行動するのか、あるいは何をしないのか、自分で考えて選択しなければならない。

    何気ない言葉で傷つき、傷つけてしまうこともあって、それでも意見を言ったり、聞いたりすることで改善していけば何かが変わるはず…だと。

    挫折を知ったものは、その後どうするかでそれ以降の生き方も大きく変わるだろうと思う。

    単に高校生の恋バナというよりもそれ以上に若者たちの夢と希望を応援したくなるような物語だった。



    • かなさん
      湖永さん、こんばんは!
      この作品、たくさんの方に読んでほしいと思ってました。
      この作品の登場人物、みんなスゴイですよね。
      自分の考えを...
      湖永さん、こんばんは!
      この作品、たくさんの方に読んでほしいと思ってました。
      この作品の登場人物、みんなスゴイですよね。
      自分の考えをしっかり持っていてそれをみんなが
      どうすればより良い方向性をもたせられるか…
      討論する場面なんか、読み応えがあって
      ストーリー上なのに、この子達に将来を担ってほしいとか
      思っちゃいました(*^^*)
      2024/05/01
    • 湖永さん
      かなさん こんばんは。

      そうなんですよね。
      みんな凄くしっかりと自分の意見を言ってるんですよね。
      きちんと考えてるってところ、大人でもそう...
      かなさん こんばんは。

      そうなんですよね。
      みんな凄くしっかりと自分の意見を言ってるんですよね。
      きちんと考えてるってところ、大人でもそういないと思うので、将来もっと生きやすくなるのでは…と期待しちゃいますね。
      2024/05/01
  • 24/04/27読了
    知らないから怖い、と自覚するの、意外と難しい。田所によい加点をあげてくれてよかった。

  • 登場人物の言葉がストレートに響いて、とっても清々しい読後感。
    障がいや差別という重たいテーマだけど、それぞれの立場での考えや思いを、みんながしっかり考えてそれを相手に伝えていて、すごくいい。
    個人的には
    「障がいというジャンルでくくるのではなく、前にいる人がどう思っているか聞いて、話して、よく考える」という伊澄の言葉が心に残った。
    知らず知らずのうちに先入観で人を見てしまうことはあるけど、ちゃんとその人と対話して理解するって大事なことだなと改めて思った。
    好きな映画「サウンドオブミュージック」から引用された言葉通り、新しい窓が開いてよかった!

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著者プロフィール

岩手県生まれ。『陸の魚』で雑誌Cobalt短編小説新人賞に入選。『いつまでも』で2008年度ロマン大賞受賞。集英社オレンジ文庫に『鎌倉香房メモリーズ』シリーズ(全5冊)、『どこよりも遠い場所にいる君へ』コバルト文庫に『屋上ボーイズ』、ノベライズ『ストロボ・エッジ』『アオハライド』シリーズ、他の著書に『パラ・スター 〈Side 宝良〉』などがある。

「2022年 『読んで旅する鎌倉時代』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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