- Amazon.co.jp ・マンガ (194ページ)
- / ISBN・EAN: 9784088903255
作品紹介・あらすじ
息を吐くように殺す!! 脱獄死刑囚にして殺人鬼・辺見が見初めたのは…不死身と呼ばれた元軍人・杉元。彼を殺りたい。殺られたい。辺見の歪んだ殺意と愛情が杉元一行に降り注ぐ…。そして、土方歳三の暗躍、第七師団内部の抗争!! 急転! 二転三転四転五転!! 試される大地・北海道で金塊を求め激突する正義と大義の第5巻ッ!!!!!!
感想・レビュー・書評
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感想
シャチ、子持ち昆布、巨大イトウどれも美味しそう。
あらすじ
入れ墨のある辺見とは知らずにニシン漁について説明を受ける。
第七師団、土方たちと辺見を巡った戦いになる。
谷垣は第七師団の同僚に見つかるが、なんとか返り討ちにする。
アシリパの母親と父親の情報が分かる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
年末くらいから読み始めた「ゴールデンカムイ」ですが、早くも5巻まで読み進んでしまいました。
事情がよくわからないまま巻き込まれた闘争に次ぐ闘争、戦闘に次ぐ戦闘、そして次から次へと登場する変態キャラクターや襲い来る羆などの野生生物と厳しい自然。そんな疾走感にあふれる展開に熱に浮かされたように頁を繰る手が止まりませんでした。
その疾走感が4巻後半から徐々にスローダウンしたら、猛スピードゆえに見えなかった車窓の景色がくっきり見えるてくるように、舞台である北海道の風物や歴史、アイヌのコタンの様子と文化風習、そして何より、実はプロットが相当練り込まれていたことなどがはっきりと見て取れるようになってきました。
さて、この巻冒頭を飾るのは辺見和雄との闘争。
辺見はシリアルキラーでサイコパス…のはずで、彼は杉元の顔を知っている一方杉元は彼の顔を知らない状態。これは、いかに杉元が辺見の魔の手を逃れるのかのホラー展開…になるのだと思っていたのですが…。
辺見は自らが殺されるところを想像してエクスタシーに浸る変態で、相変わらず過激なシーンが多いにもかかわらずドタバタにまとめられていて、1ページぶち抜きで辺見の最後が描かれたコマなんて…やっぱり笑わざるを得ませんよね。
北海道のニシン漁をめぐる風俗が、ニシン御殿に加えニシン加工に使う道具や加工方法、そしてソーラン節までもつぶさに紹介されています。
ニシン御殿は銀鱗荘や小樽貴賓館など観光の対象となっていることもあって、一度はこの目で見てみたいと思わされます。有田焼の便器は今でも見ることができるようですね。
アシㇼパさんは辺見戦では基本的に蚊帳の外。オソマを我慢して脂汗を流している変顔と、シャチの竜田揚げを食べたくて理屈をこねているところがクローズアップされています。
男くさいこの漫画の中の紅一点のはずなのに作者は容赦しませんw。
続いて、アシㇼパのコタンで傷を養う谷垣と、尾形・二階堂の闘争。
いずれも訓練された兵士でライフルの扱いに長けています。遠距離からの狙撃合戦は辺見戦のドタバタ風味とは一線を画した迫力です。
なお、尾形は最初に杉元を襲った第7師団の兵士、谷垣は尾形に続き杉元を追ってきた4人組のうちの1人。いずれも1巻で杉元達と争っていた事情がここに来てようやく明らかになりました。この巻の終わりで大きく物語が動くこともあわせ、勢いよく走りだした物語ながら、どこを向きどういうルートを通って走るのかが予めしっかり予定されていたことに(ようやく)気付きました。造反組は杉元チーム、第7師団、土方チームに次ぐ第4勢力になるのでしょうか。
そして巻末近く、杉元達は偶然アシㇼパの父の友人だったというキロランケに出会います。
アシㇼパからはキロランケニㇱパと呼ばれ、日露戦争に従軍経験もあるという彼は、いつ訪ねてもコタンにいないアシㇼパを待っていたのだと言います。
そして、「アシㇼパに伝えること」として彼の口から出たのは驚くべき言葉でした。
「小樽にいる小蝶辺明日子」を探しているという和人が彼のコタンに来たというのです。
それはアシㇼパの両親しか知らないはずの彼女の和名。のっぺらぼうは自分の外の仲間に刺青人皮の囚人が接触できるヒントとしてそれを教えていました。
ということは、のっぺらぼうは、アイヌを殺して金塊を集め、刺青人皮の囚人の脱走を助けた「のっぺらぼう」は、アシㇼパの父ではないかというのです。
のっぺらぼうと会って事実を聞くために、杉元一行は、網走監獄を目指すことになりました。
ああ、網走監獄。我が憧れの地よ。
「網走番外地」などでその名を轟かせた刑務所なのに観光地。「オホーツクに消ゆ」には網走刑務所の受刑者が作ったニポポ人形が重要アイテムとして登場しましたっけ。行ってみたいんだけど…あばしりへ行きたしと思へども あばしりはあまりに遠し。道東って遠いですよねえ。
あ、ちなみにこの巻に登場した料理関係は、シャチの竜田揚げと子持ち昆布の串揚げ、そしてイトウの塩焼きでした。
シャチはともかく、クジラの竜田揚げは今でも普通に食べられますよね。
子持ち昆布の串揚げも。こちらは食べたことがない…。串揚げ屋、久しぶりに行ってきたくなりました。
あと、4巻のハゲワシ以来巨大生物で見開き2ページを使うのが恒例になってきました。
4巻のフンペ(クジラ)、この巻ではレプンカムイ(シャチ)とイワン・オンネチェプ・カムイ(巨大イトウ)。
でかい生き物もロマンです。今後も何か出てくるかしら。
いずれにせよ、ストーリーが大きく動き出し、舞台も小樽を離れて網走に向かうようです。待て、次巻。
第39話 ニシン漁と殺人鬼
第40話 ニシン御殿
第41話 煌めく
第42話 レプンカムイ
第43話 シンナキサㇻ
第44話 狙撃
第45話 マタギの谷垣
第46話 刑罰
第47話 イトウの花
第48話 キロランケ -
海のモノとの闘いだったり、独特な癖を持つモノとの闘い。恩を感じたからこその行動だったりが染みる、他の巻同様に興奮と驚きと笑いで読み進んでいたら、あっと言う間に時間が過ぎていた。
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杉元と死刑囚・辺見の戦い。「それじゃあとことん煌めこうか」からのアクションへの落差が好き。辺見は極悪な殺人鬼ではあるんだけど、そのキャラクター性と生い立ちのせいで憎めないところもあるね。「僕はあくまで必死に抗わなきゃいけないんだ 弟のように」という言葉。助けられなかった弟への罪悪感で、自分も同じように苦しまなければならないって気持ちが、倒錯した拡大自殺的な殺人という狂気に変わったのかなと感じた。
あと、「命の煌めき」はゴールデンカムイの作品自体のテーマでもあると思う。長く生きるかよりもどう生きるかって部分を強く描こうとしてるところが好き。アニメのエンディングテーマ・THE SIXTH LIE『Hibana』でも「一切の現実も 燃え尽きれば美しい」という歌詞がまさにそのことを歌っていて印象深い。
中盤からは谷垣と尾形のバトルも熱い!射撃の達人との戦いの切り札が、二瓶の遺した単発の村田銃というのがいいよね。「この勝負…最初の一発で決められなかったことを後悔させてやる」という谷垣の言葉。二瓶の魂も受け継いで戦う姿がカッコいい!フチやオソマのやり取りからも、彼が誠実に村で生きてきたことが伝わってよかった。
最後に、杉元たちとキロランケの出会い。そこで明かされた衝撃の事実。アシリパを巡るドラマが大きく回り始めていく。 -
以前、仕事で行った北海道でニシン御殿見たことがあったな~。6巻はそのニシン漁が盛んな町が舞台。
息をするように人を殺す殺人鬼・辺見。
命を助けてもらった杉元に「殺されたい」と願う辺見。
って、もうホントすごいラストで…笑った。
でもって、杉元、白石、アシリパに接触する土方。
一方、アシリパのチセを尾形上等兵と二階堂が襲撃。
狙いはマタギの谷垣。
でもって、のっぺらぼうの正体が判明!?
まさかの正体はホントかウソか!?
いや、ちょっと尾形とか二階堂とか登場してきて造反組とか…話が複雑になってきて頭の整理ができん…
もうすでに登場人物が多すぎて誰が誰と戦っているのかよくわからなくなってきたよ。
よくわかったこと…
それはイトウとシャチとクジラはヒンナ! -
2-5まとめ読み。
何これ面白すぎ。
戦闘と知識については1巻から際立っていたけど、笑いもとても上手。と言うか好み。下品な感じがしなくて、絶妙。カワイイ。
キャラクターに結構時間とコマをかけてるのがわかるし、その分皆の個性が出ている。
ストーリー規模が大きくなってきてるけど、主人公達が巻き込まれてきてる感じ。今後の展開に期待。 -
これはひどい(褒め言葉)。
谷垣の主役級の活躍。
いかれた鶴見中尉のもとにいるが、受けた恩をむげにはしないし、なによりマタギとしてアイヌの人々に親近感を持っているのだろうな。根っこは善人。
逆に、杉本は善人らしく振舞ってはいるけれど一皮剥がしたら凶暴な顔を見せそうな不気味さがある。白石は気付いている。
アイヌの伝統を大切にしつつ「イマドキの若者」らしくちょっとしたルール違反をしてみせるアシリパさんがリアルで可愛らしい。
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