- Amazon.co.jp ・マンガ (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784088914879
作品紹介・あらすじ
集団と個人の軋轢──“いじめ"を考えるべく「倫理」の授業でディベートが開始される。各々の主義の違い、人間の抱える善悪、そして自己を顧みて見えてくること──。教師・高柳が語る“変えるべきもの"とは…?
倫理を通し“正しさ"を考える教師物語第4巻!!
感想・レビュー・書評
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前巻からの『切っちゃおうかな』はリストカットという行為だけでなく、それに対する教師の立場や倫理の無力感まで描いていて苦いエピソードだった。「教えてくれなければ一生分かりませんよ 我々は他人なのだから…」「今 彼らが戦うべきは“自分自身” 私たちが無理に入り込んだら─戦う相手が増えてしまう」という高柳の言葉が胸に刺さる。
ぼくは元々おせっかいな方だったのがいろいろ反省して、今は高柳の考え方に近い方にいるけれど、大切なのはこのバランスなんだなと考えてる。相手を助ける時はそれが自分のエゴだと自覚することと、相手の戦いをあくまでサポートするってことを忘れないようにしたい。
『マン・イン・ザ・ミラー』でのいじめに関するディベートも、これまでの締めくくりとしてとてもいいエピソードだった。「『本当の事だから』は何でもしゃべっていい理由にならないと思う」って言葉に共感。正論を言えば間違ってる相手を非難してもいいと同じ感じというか。思いやりを放棄していることがぼくは嫌なんだろうな。
反省は自覚することから始まる。そして、相手の気持ちを考えることで視野が広がって、自覚できる世界が大きくなっていく。「倫理を終わります」という響きが切ないね。その後に「倫理がとても大事な事で それがたとえ分かってもうまくなんて生きられない」という卒業式のエピソードは心から苦しかった。
先生との二人旅の過去エピソードもよかった。「人間は何ひとつ変わってねえのに“正義”だけが変わってく」の一言は響くね。だからこそ、自分の中に“正義”を考えて持っていなければただただ流されてしまうんだと。「まあ愛だけじゃないからきっと面白いんだろうな」という言葉も好き。過去話はこのまましばらく読んでいたかったな。高柳の過去や内面もそろそろ掘り下げていってほしいところ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
あんまり魅力のない小話が続き、ここで切ろうかなと思ったところでの、高柳の過去編が面白かった。
学年も変わり、話も社会化、深化してきて、化ける予感もする。 -
卒業式が辛かった…。
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とりあえずファーストシーズン終了といったところ。
様々な悩みを持つ生徒たちも、何だかんだで、高柳先生と心を通わせているのが不思議なマンガ。 -
大学時代の高柳先生、今よりかは表情柔らかい。
生徒たちも入れ替わった。 -
全体主義と個人主義のディベートは中々興味をそそられた。
しかし、初期メンバー15人をもう少し掘り下げて欲しかった。 -
相手を変えたければ、自分も変わるしかない。自分のことも見直さないとダメ。
自己理解がいかに大事かを学んだ。 -
正義が変わったというか、今までもずっとあったわけで、ただそれが表面化しただけの話。
時代が変わっていくのについていけないと感じる人は気づいていなかっただけで、その重みを抱えて生きてきた人はいっぱいいたわけで、本質的にはその負担の比重をフラットにしていこうよってことかと。逆側の人の気持ちは流行なんかじゃなくて日常だ。 -
高柳の闇が深く、彼自身に迫る話が多かった。自問し、悩み、矛盾を抱えていると自覚しているところが、人として、主人公キャラクターとして、とても好き。第3巻までで登場してきた生徒たちの、話し合いと卒業。そして新たな学年。
リストカットした生徒の根本的原因を探ろうとすると、彼らにとって敵になってしまう。「正しいこと」を説き続けてきたけど、「報われない」と感じる高柳。
いち子の告白を断って、扉の前に座り込むラストシーンが印象的だった。
高柳「教えたい 倫理がとても大事な事で それがたとえ分かってもうまくなんて生きられない そんな愚かな人間の愛し方を... 自分自身の愛し方を...」
恩師との2人旅。
恩師「”正義”には流行がある。「流行に乗る」ってのは「流れに乗って流されてる」だけ。」前時代的な性差の話と、高柳の恋人の話。恩師曰く、教師は「話さなくちゃいけない。自分なりの考えをしっかりと決めて人に触れ、教え、教えられる仕事...」「確固たる自分を見つける為に」この仕事をえらんだのか?
ネクタイをつけたくないXジェンダーの生徒も出てきて、これからジェンダーと倫理のことも扱ってくれるのかな?高柳の過去も気になるし、ますます面白くなってきたと思う巻でした。
“信念を持った一人の人間は、自分の利害にしか興味のない99人の人間と同等の社会的力を持つ”ミル