となりの百怪見聞録 1 (ヤングジャンプコミックス)

著者 :
  • 集英社
4.20
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本棚登録 : 248
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784088925776

作品紹介・あらすじ

怪異に好まれる男・片桐甚八と、“オバケ先生”と呼ばれる好事家・原田織座。“あちら側”に縁ある男ふたりの、不思議と恐怖と好奇心の見聞録、はじまり、はじまり。

感想・レビュー・書評

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  • 深夜のコンビニで買い物をしてた中年の装丁家の片桐甚八。偶然にもうっかり入り込んでしまった異界で
    慌てた拍子に財布を落としていまうがその瞬間目が覚める!!
    あれは夢か現か幻か?
    行きつけの喫茶店で甚八は著名な日本画家で
    "オバケ先生"のあだ名を持つ原田織座と出会う。
    財布がないと気づいた甚八は織座の助言の元、
    財布を取り戻しに異界へ向かうが…!?

    ここから怪異を引き寄せる"誘蛾灯"となった甚八と
    怪異の蒐集家である織座の交流が始まる。

    巻き込まれた甚八、
    日常の裏に潜む怪異とどう折り合いを付けるのか?∑(; ̄□ ̄A アセアセ

  • 過去作『オリオリスープ』を読んで、他に作品があるかを調べて知った……ものの、『叢の市』はネットで読んだことがあった(Xがきっかけだったかな?)。絵柄に癖はあるがうまいし、オリオリと共通するキャラがいるし、和風怪異を扱っていることから気にはなった。けど、購読してる漫画雑誌があるしコミックス派のタイトルも複数抱えているから、これ以上増やすのは…と悩んだ。漫画、めちゃくちゃ高くなってるから…。
    購入に踏ん切りがつかないままでいると3月某日、テレビ番組『王様のブランチ』で人気俳優・中村倫也がオリオリを紹介したことで、中古市場からオリオリが消えた(電子版はあるものの紙版は絶版)。中村倫也ファンがこぞって狩り尽くしたものと思われる。「人気芸能人に紹介されたら一瞬で狩り尽くされる」「ここから作家のファンができて、他の作品にも手を出す人がいるかもしれない」と考えると恐ろしくなり慌てて入手した…という経緯。とな百は連載中だからそうそう入手困難にはならないだろうけど、それでも、あの一瞬で消えた様が怖すぎた。

    オリオリ同様、表紙にPPもマットPPも加工がされてない。出版社が違うのに。絵や題材にアナログ感があるから、紙の手触りも楽しんでほしいのかな?(でも、とな百はデジタル作画だったような) 加工ありのものより汚れや傷がつきやすいから、悩ましいところ。
    奥付ページが黒地に白字なのも珍しい。こだわりを感じる。(「中古購入品の不備には対応しない」と書いてあるのが、なんか、泣かせるね…)

    表紙をめくったらいきなり漫画が始まって、びっくりした。「中表紙も目次もないんだ!?」と思ったら、これがアバンタイトルの役割を果たしている様子。
    ジャンルはホラーだけど読者を怖がらせるのが目的ではない(と思う)からそこまで怖くはないものの、ホラーらしく「これで一件落着だと思った? 残念でしたー☆」みたいな落とし方もある。主人公は助かるけど、それ以外は不明で終わるのがちょっとモヤモヤ。そりゃ他の人も助かっちゃったら主人公の九死に一生感が減るけどさぁ。

    オリオリでは《主人公の職場の所長》と《主人公の祖父(故人)》だった甚八(まだ若い)と織座(生きてる)が怪異に遭遇する話だけど、パラレルとかスターシステムという認識でいいんだよね? 甚八の若い頃にスマホもノイズキャンセル機能付きのイヤホンもないだろうし、ボディバッグの形状も今の流行りのものだし。

    オリオリもそうだったけど、綿貫先生の漫画から受け取れるものは「面白かった」だけじゃない気がする。セリフとキャラの顔を追うだけの読み方をせず、ほんの少しでも背景に目を向ければ、それぞれの季節に咲く花、旬の食材、行事、ものの由来なども一緒に吸収できる。
    一人暮らしの甚八が帰宅時に「ただいま」と言うこと(たでぇま、だけど)、食べるときに手を合わせること、引っ越しといえば蕎麦……さりげなく描かれる礼儀、日本らしさ、奥ゆかしさが魅力だと思った。《漫画を読む》という行為以上に内面が豊かになれるというか。

  • 好奇心は猫を殺す、という諺はありますが恋心は何を殺してしまうのか。

    装丁家の片桐甚八が、不意に触れてしまった現世とは違う世界。こちら側とは違う世界から抜け出すきっかけをくれたのは、日本画家の原田織座、おばけ先生なんて呼ばれ方もしています。
    その異名は幽霊画の精妙さにあるのですが、なぜ魅了する怖さを描けるのかというと、あちら側との縁があるから、といういわくつき。
    あちら側から救い出してくれた恩を着せ、己のために使おうとする織座から甚八が離れられないのは、懸想しているからなんですなぁ。ついでにいうと、装丁という仕事でも、付き合いができてしまいました。
    ひょんなことから、公私共に繋がりができてしまった甚八と織座の二人。あちらとこちらの世界と関わりながら、二人の人生はどんな模様を描くのか。

    怪異譚でいうと、笑い乙女も隣人も桃源郷もどれも絶妙に怖くていや。人の想いが執念に変化して、つかれたら逃れられない、というのがいやですね。
    今後、甚八はこういう手合いに遭遇し続けるのかもしれない。それは甚八が自分自身に縛られているからかもしれないなぁ。

    怪異の怖さと、主人公二人の関係性が気になる「となりの百怪見聞録」。青年と老人の恋物語という簡単には報われないであろう恋路の行末も気になります。

  • なんとなく不思議な話が寄ってくる体質のわたしは、書店でふと目を上げたら、本書と目が合った。カバーイラストもおじさん二人。これは余計な色事描写もなさそうだ、と安心し購入。
    開いてみればまあ、微妙な心情の描写はあったが、許容範囲だったので微笑ましく読めた。
    織座先生の佇まいは、なんとなく、あくまで“わたしの中の”泉鏡花に重なるところがありとても好ましい。甚八のライフスタイルにはとても共感した。わかる、余計なこと考えたくないから、食べるもの着るもの買うものは固定したいよな!ただわたしはご飯硬め派だ。
    久々にドンピシャ好みの作品に出会えた。紙の本として出会えて嬉しい。

  • 【さいわ Episode Saiwa】なんの音?
    第○話 叢(くさむら)の市
    第一話 怪異、好事家、誘蛾灯
    第二話 隣は何をする人ぞ
    第三話 遥か遠けき桃源郷

    カバー裏にも解説あり。

  • カバーイラストだけ見たらモジャメガネのおっさんが体術で異形のモノと戦いそうな雰囲気だけど、ぜんせそんなことはなく。乱暴に例えると大仰な展開にならなかったxxxHOLiCのおっさん版といった味わい。(カバーイラストのモジャメガネが四月一日で爺さんが侑子さんの立ち位置)そして、小さな違和感は第一話の終盤に連れ大きくなり、いやそういう話かよ!!!となります。どう言う話かは読んでみて(^ω^)
    画面や語り口に作者特有の癖があるためか少々読みにくい感も無きにしも非ずながら、仕掛けも構成もよく練られてて面白かった!!
    冷蔵庫のシーンはあそこほんま「ん?」てなったな

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著者プロフィール

6月29日生まれ。長野県出身。第64回ちばてつや賞一般部門にて『ヘミスフィア』で佳作を受賞。『師匠シリーズ 師事』(ウニ著)などの装丁画を手掛ける。ピアス集めが趣味。

「2017年 『オリオリスープ(4)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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