Shrink~精神科医ヨワイ~ 11 (ヤングジャンプコミックス)

著者 :
  • 集英社
4.52
  • (14)
  • (10)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 132
感想 : 9
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・マンガ (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784088928753

作品紹介・あらすじ

解離性同一性障害の診断を受けた重森一葉。別人格「黒幕さん」が明かす苦しみの記憶とは…。「解離性障害」編、感動の完結──!!50歳を迎えたばかりの建築会社課長・昭川義文は、長年激務と厳しい指導に耐え続けてきたサラリーマン。時代が変わりそれらが当たり前でなくなった今、生意気な若手の言動についつい苛立ち怒鳴ってしまう。一方、部下の平野は、毎日感情的な上司とのコミュニケーションを避け、2人の溝は深まるばかり。昭川はパワハラ疑惑で人事に呼び出され!? 人生を壊してしまう可能性を持つ唯一の感情──「怒り」。その向き合い方を、精神科医・弱井が指南する。社会人必見「アンガーマネジメント」編、完全収録!!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 前巻から続く『解離性障害』編。重森一葉の別人格が語る苦しみの記憶とは?!さらに『アンガーマネジメント』編完全収録!怒りに悩む人はぜひ読んでほしい!

    とにかく単行本の厚さがすんごい!このページ数の分だけ、ドラマも厚みを帯びている。
    『解離性障害』編は、攻撃的な別人格「黒幕さん」が明かした過去がやり切れない。頼れるはずの人が見てみぬふり。自分のことを誰も守ってくれないとしたら、森に隠れるしかないよね。精神科医ですら信じるのが難しい解離性同一性障害。詐病ではないかと疑われるのは悲しすぎる。森に隠れた自分を見つけてほしいのに、誰も見つけてはくれない。心は悲鳴を上げているのに。

    「どの人格も重森さんが前に進むことを選び続けたからこそ生まれた人です」
    それでも、生き続けるために彼女たちは生まれたのだった。弱井だけじゃなく、一葉自身も彼女たちを知って仲間だと受け入れることで、自分のままで前に進む勇気を手に入れたというのが素敵だった。恋人の瓜木もやさしいけれど、自分を信じてくれた彼を信じようと決意したその一歩が尊い。

    続いては『アンガーマネジメント』編!内容として一冊でまとまっていた方がいいという判断がナイスすぎる!
    50歳の建築会社課長・昭川は、激務に耐え続けてきた生え抜きのサラリーマン。ただ、時代は移り変わる。部下である平野がする常識外の行動に怒鳴ってしまい、溝は深まるばかり。人生を壊してしまう可能性を持つ唯一の感情「怒り」について、弱井の下で向き合い始める。

    アンガーマネジメントの技術がギュッと詰まっていながら、人間ドラマも丁寧に描かれていて解説に終わらないのはさすが。怒りの感情に振り回されるぼくもやってみたいワークがたくさん!アンガーマネジメント自体が認知行動療法の要素を取り入れているので、怒りだけじゃなくいろんな感情に応用が利く内容でもある。

    怒りは必ず高いところから低いところへ向かう。そして、その先でさらに広がり続ける。怒り続けている人は自覚がないままに「怒りの連鎖」を生んでいる。昭川がSNSで正論を振りかざして怒りの溜飲を下げているところがリアル。怒りは自分も周りも困らせる。それを受容しつつも、怒りの原因である「コアビリーフ(自分にとっての常識)」をいかに取捨選択するか。

    マジメな人ほどコアビリーフって多くなるよね。
    「~すべき」「~のはず」「常識」「普通」
    ぼくも縛られがちだから痛いほどわかる。でも実はこれって自分や社会的アイデンティティを守るための鎧であり首輪なんじゃないかと感じた。大切な人とコアビリーフ、どちらが本当に大事なのか?コアビリーフこそシンプルかつ最低限でいいのかもしれない。

    昭川が自分のコアビリーフを見つめる内にたどりついたのが、これは父親のコアビリーフだったのでは?というのもハッとさせられたシーン。親は頼れないが、怒りの連鎖はここで止めなければならない。自分が築いてきたものすら信じられなくなる戦い。また、それを見守る家族のことにも触れられている。謝ることが怒りの成功体験になってしまうということ。こういうプロセスをマンガで客観的に読めたという体験もよかったと思う。自然と自分や周りはどうだろう?って俯瞰できる気がする。

  • アンガーマネジメントに挑戦するお父さんの話、とても良かった。自分や夫に投影して読んだら涙止まらなかった。自信も発達障害疑いで心がとても幼稚なのですぐ怒ってしまうけど、必ず一次感情があり、怒ってる理由とは違う元の感情を探るという方法はとても目から鱗。また、やはり親から受けた影響は50代になってもずっと残るんだなと。子育てしてるので身が引き締まった。何度も繰り返し読んで私もアンガーマネジメント身につけたい

  • 改めてこんな精神科が近所にあったら…と、思った。1人で気づかないことのお手伝いする場所。羨ましいです。

  • 医学部分館マンガコー : WM075/NAN/11 : https://opac.lib.kagawa-u.ac.jp/opac/search?barcode=3410170774

  • 『解離性障害』が完結。重森さんにいい人がいて良かった!続いて『アンガーマネジメント』編へ。怒りのコントロールから見えてくるものは……? クリニックの看護師、雨宮さんの『苦しむ心を持つ人の多くは性別年齢関係なく親に対する複雑な思いを心の奥に抱えていますね』の言葉に本当にその通りだなと思った。

  • 最も大切なのは安全で安心できる環境を整えることです。
    自身が自分の言葉で心の奥の苦しみを語れるようになれば、現実を自分を受け入れる覚悟を持てる時が必ず来るはずです。
    心を飛ばしたの、そしたら苦しい怖いって感じなくなった。でも、嬉しい楽しいって気持ちも全部一緒になくなっちゃった。それからずっと私は私じゃなくなった。
    どんな人になろうと作り上げてきたその日々は絶対に消えたりなんかしない。必死に頑張ってきた時間を信じるよ。
    何より信じ続けてあげてください。
    どの人格もあなたが前に進むことを選び続けたからこそ生まれた人です。
    どんなに苦しくてもあなたは決して生きることを諦めなかった。その強さを知っていますよ。
    人は誰でも理解されることを望んでいるのに。

    職場でのコミュニケーションだって立派な仕事でしょ?
    怒りは客から店員へ、上司から部下へ、親から子へ。必ず高い所から低い所へ向かうんです。そしてその先でさらに広がり続けます。
    怒り続けている人は自覚がないままに「怒りの連鎖」を生んでいるんです。
    「怒り」は決して悪いものではありません。大切なものを守るために我々に備わっている本能ですから。昔から人間は怒りをもって危機を回避したり、文明を発展させたりしてきたんです。
    怒りは人間が持つ感情の中で唯一、人生を壊す可能性を持っています。
    動物は身の危険を感じたらまず逃げるでしょう?
    人間だって苦しい時は逃げていいんですよ。
    自信がないから彼らは怒っているんですよ。
    自己肯定感が高ければ、他人に対して攻撃的になる必要はありません。自信が持てないからこそ傷つけられまいと心にトゲを生やして臨戦態勢でいるんです。
    変化を受け入れることは、自分を否定することそのものだから前にも後にも進めない。立ち止まったまま怒りをため込んでいるんです。
    脳は思考や経験によって神経構造を変える「神経可塑性」という性質を持っています。ネガティブな言動を繰り返せば性格もどんどんネガティブになっていくんです。脳はいつもあなたの言葉をしっかり聞いているんです。
    仕事のストレス三大要素って業務量と周囲のサポートの有無、あと裁量権の大きさらしい。「自分で選ぶことができる」仕事をすればリスクもあるけどストレスは減るのかもしれないね。
    長い目で見て自分や周りの人間がつらい目に遭う原因となりうる独りよがりな常識。
    大切な人や時間を思い浮かべて天秤にかけながら「これは本当に大切なものなのか?」「手放すことは出来ないのか?」と自分に問いかけるんです。
    自分にとっての当たり前を疑っていくのは大変な作業です。認識の修正は痛みを伴うでしょう。でも、取り組もうと決めたその瞬間からあなたは変わり始めているはずです。
    人間は皆、一生誰かの子どもです。常識は時代背景や経験、特に育ってきた環境で形成されます。そして人は誰しも自分が歩いてきた道こそが正しいと信じたい。だから親は子どもに自分の考えを唯一の正解として教えることがある。その影響力は絶大です。怒鳴られ、ダメ出しされてばかりの子どもが減点主義の大人に育つこともよくあります。ただ「なぜ」を考え過ぎると袋小路に入ってしまいます。前に進むために今できることを考えましょう。
    普段、話さない相手、行かない場所、知らない文化に触れる。いつもの日常に小さな変化を増やしていけば「自分の常識は実は狭い世界のものだ」と体感できて許容量も次第に増えるかもしれません。
    時間ん区切って感情がどうであれ穏やかに行動する。
    あなた自身が「楽しい」と思えることが一番楽に世界
    を広げてくれるはずです。
    そして「楽しい」はきっと子どもの頃からの「好き」の中にあります。
    許すことは負けることてまはありませんよ。
    私もできないこと沢山。でも、ないものよりあるものを数えるほうが好きだ。だって、どんな自分でも変わらずそばにいてくれる人はいるでしょ?
    不完全な自分を認め、自分とは異なる誰かを受け入れること。
    感情に左右されなければ、やりたいことに集中できる。

  • 今回も自分にとって勉強になった

    黒幕さんが、すべて身代わりに引き受けてくれていた

    何の得がなくても そばにいて 心と体を心配してくれる人


    怒りは必ず高いところから低いところ向かう
    そして その先でさらに広がる

    怒り続けている人は、自覚がないままに 『怒りの連鎖』を生んでいる

    怒ることを選んでいるのは、自分自身

    ネガティブな言動を繰り返せば性格もどんどんネガティブになっていく(神経可塑性)

    コアビリーフ(自分にとっての常識)→一次感情(不安、落胆、悲しさ、虚しさなど)→ニ次感情(怒り)

    不毛なコアビリーフが存在しないか、自分に問いかける(認識の修正は痛みを伴う)

    人間は皆 一生 誰かの子供
    自分の常識は、育ってきた環境で形成される

    普段 話さない相手 行かない場所 知らない文化に触れる
    いつもの日常に小さな変化を増やしていけば、『自分の常識は、実は狭い世界のものだ』と体感できて許容量も次第に増える

    たとえ家族でも 人と全て分かり合うことは難しい

    誰かを裁こうとするとき人は、自分も許されていることを忘れている

    不完全な自分を認め、自分とは異なる誰かを受け入れる





全9件中 1 - 9件を表示

著者プロフィール

5月14日生まれ。岩手県出身。
2000年に「別冊ヤングマガジン」にてデビュー。その後「モーニング・ツー」にて『彼女とカメラと彼女の季節』を連載。現在「ハツキス」にて『バツコイ』、「月刊!スピリッツ」(小学館)にて『最果てにサーカス』連載中。

「2015年 『つるつるとザラザラの間(4)<完>』 で使われていた紹介文から引用しています。」

月子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×