- Amazon.co.jp ・マンガ (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784088932163
感想・レビュー・書評
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弱井の研修医時代と陽美との出会いのエピソードが描かれる過去編。
そして時間は現在へと戻り、「薬物依存症」編が開幕。狐島唯人(こじまゆいと)はショーパブでボーイとして4年間働いていた。ある日、バイトの後輩に大麻を勧められたことから、薬物依存へと引きずり込まれていく──。
弱井がまだ研修医1年目だった頃。総合病院「面影橋メディカルセンター」の救急専門医・不破の下で初期研修を受けていた。そこは日常的な疾患から3次救急まで多くの救急患者が運び込まれる施設!弱井は精神科研修の前に、臨床の経験を積むつもりだった。しかし、野戦病院のごとく運び込まれる患者に対応しなくてはいけない現実と直面することになる。
夜間に訪れる患者が抱えている不安。それでも、病院のリソース的に帰さざるを得ない現実がある。自分の足で帰れる患者であっても、精神症状に苦しむ患者をそのまま帰していいのか?ちなみに、ぼくの父は自分の足で帰れない患者だったけど帰された苦い思い出がある。「脚の痺れはどうしようもできない。首の痛みは私にもありますよ。整形外科にかかってMRIを予約して待ってください。手術も今は二か月待ちで──」なんて言われたけど、急激に歩けなくなってこの状況なんだが?!と呆然とした。あの人は助けるためじゃなく、追い返すために来たのだと。
この後、地域包括支援センターやケアマネさんと連携しながら対応し、頸椎の手術を整形外科の受診から3週間後にすることになる。さらに並行して母の手首粉砕骨折の手術付き添いをこなして、伯父の介護をし、ぼくは限界が来てうつ病と不安障害になったという地獄の月に。弱井と不破が会話していた通り、日本の救急医療は整形外科や精神科との関わりが不十分なんだろうね。また、救急ではすぐ処置できないとしても、介護や福祉と繋げられるような体制が組めればいいのにね。
「薬物依存症」編はこの巻では導入回となっているが、かなり読み応えありそう。特に啓蒙ポスターに描かれた、いかにもな薬物中毒者像を否定する弱井先生の言葉が刺さる。
「…実際の薬物使用者はこんな姿をしてませんよ 誰もが憧れるくらいかっこよくクールな人気者で──優しい顔をして『仲間になろう』と誘ってくるんです」
真面目なバイトの後輩かと思いきや、その毒牙にかかってしまった狐島。そこから一気に転落していくのが恐ろしい。
日本と欧米との薬物対策の比較も勉強になった。厳罰化するほど、闇市化していく。だから、司法問題ではなく、医療・保健・福祉の問題として捉える必要がある。通報される恐れがあるから医療に繋がらず、手を加えた危険ドラッグとのいたちごっこを繰り返す。規制ができればより毒性が強いドラッグが生まれて命の危険も増していく。また、現代では市販薬乱用患者も増えている。その背景には孤独や心の問題が隠れているのだ。薬物依存は意思で止められるものじゃなく、適切な治療が必要なものだということがもっと浸透してほしいなと感じる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
話の進行とは関係ないけど、今の研修医は遊びに行ける休日があるんだな〜、とちょっと羨ましかった。
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知識が足りない分は身体を動かして覚えるんだ。
後ろめたいことは何ひとつないと私は知っている。だから、傷つくこともない。
どれだけ「気づく」かが勝負だ。
心あっての命のはずです。
自分を大きく見せようとするから緊張するんだ。ありのままぶつけろ。準備だけはしっかりな。
「気づく」チャンスを逃すな。
そしてあの一言こそ「助けてください!」一番大事な言葉なんだ。
よく見て気づくことが大事だ。 -
組織の中では、自分の信念が通りにくいこともあると思いますが、努力したり人間性を磨いたりすれば、いつか誰かが力になってくれる人や仲間に出会えるのだと思いました。誰かにそっと寄り添い、助けてと発信があったとき、力になれるよう邁進していきたいです。