紳士の名品50 (小学館セレクトムック)

著者 : 中野香織

• 小学館 (2016年5月19日発売)

作品紹介・あらすじ

紳士の必需品カタログの決定版

雑誌『サライ』に連載された「紳士のもの選び」の単行本化です。
服飾史家である著者の中野香織氏は、東京大学大学院修了後、イギリスのケンブリッジ大学で研究員として過ごし、帰国後、ファッション史から最新のモード事情まで研究、執筆を行っています。その中野氏が本に収載したのは、全部で50アイテム。ジャンルの幅は広く、スーツやタキシード、靴などの定番品から文房具、手袋、ハンガーやねじ回し、ガーデニング用品、そして、タオル、ガラス食器、ルームフレグランスに花束などもあります。紳士、ダンディズムという観点からイギリスのものが多く取り上げられていますが、宮本商工の銀製品、宮井の風呂敷、竺仙の浴衣に桃太郎ジーンズなど、日本産のものも10アイテム紹介。ジャンルは、「外見をつくるもの」「必携の小道具」「愛と休息を彩るもの」「日本の粋と心意気」という4章立て。
そして、この世界を体現するイラストレーターとしてファンも多い、綿谷寛さんの描き下ろしのイラストがカヴァーの表裏ほか計6点掲載されていることも注目です。
この50品、実際に購入すればもちろん、読んで知るだけでも、心が豊かになるのは間違いありません。また、男性だけでなく、女性から男性へのプレゼントカタログとしても充実の内容です。



【編集担当からのおすすめ情報】
著者の中野氏は、女性で男性ファッションを、その背景も含めて語れる唯一無二といえる方です。その中野氏が、なぜこの一品が優れているのか、それを持つと、所有した人に何をもたらし、どのような意義があるのかなどを、文化史的な視点も取り入れ、かつウイットを利かせたわかりやすい文章で解説しています。

感想・レビュー・書評

[123456qazさんの感想 · 2021年5月15日]

バブアーのジャケット　オリーブグリーンのオイル引きの防水仕様のアウトドアジャケット　悪天候での狩猟、釣り　見た目はもっさり　20年ほど前ニューヨークや東京の中心部でディナージャケットの上にこれを羽織って一流レストランに行くのが流行った　英国王室御用達・チャールズ皇太子☆五郎さんのドカジャン

女性の化粧に相当する男性の習慣がグルーミング（肌、爪、髪、体表面の手入れ）　groom　政界へ出馬の意あり

P22例外は常にあるけれど、男は服ひとつ着るのに、小物ひとつ選ぶのに、権威の裏付けや物語を必要とすることが多い。買うための理由、着るための根拠など、歴史からでも権威の一言でも、何でも使おうとするところがある。それがいけないと言っているのではない。そのような心理に支えられているからこそ、男のファッション文化が豊かな物語に満ちているのである。そもそも、そんな心理が働かなかったら、本書は存在すらしていなかった。

1666年10月７日英国王チャールズ２世衣服改革宣言　上着、下衣、ベスト、シャツ、タイの基本構成要素→スーツシステムの元祖　ベストは生地節約の意図あり・安価な薄い生地の理由

フェアフォックスのネクタイ　シルクは洗ってはいけない・年月と共に空気を吸ってしっとりしてくるので、10年後の方が美しくなることもある。シミが付いたら捨てる潔い覚悟
三谷幸喜　紅白でポケットチーフ忘れ　コシノジュンコがキッチンペーパーで代用（機転と度胸のカッコよさ）

ホーズ　膝下までの長い靴下

ジョンスメドリーのＶネックセーター

ブリッグの傘　ワンギー（68,000円）→ハンドルに寒竹と呼ばれる竹の地下茎☆傘は一生ものの考えは欧州のシットリ降る雨だからか？今の日本のゲリラ豪雨、強風も多い

帝国繊維→明治期の殖産興業で消防ホースを開発、消防車本体の製造

ヨーロッパ　チョコレート文化　自販機のチョコレートバー、ショコラ専門店で紳士が２、３粒買って店出て食べ歩き、ホテルの就寝前のチョコレートサービス
14、15Cメキシコ高原のアステカ文明ではカカオは滋養強壮の薬

1901年エスプレッソマシン発明　７ｇのコーヒー豆、９気圧、90°の湯、25秒の抽出時間、30ミリリットル抽出したコーヒー
肉厚で内側に丸みのある白いカップ（落ちたコーヒーが対流攪拌、きれいなクレマ（茶色い気泡））
基本的に砂糖を入れて飲むのが正しい

うすはりビールグラス　松徳硝子

ヤマギワのデスクライト　89,500円☆ストーリーが興味を引かなければムダ・パナソニック製で満足

カトラリーcutlery→フォーク、ナイフ、スプーンなどの食卓用金物の総称

白山眼鏡店　ジョンレノン→死去後のアルバムジャケット写真に血の跡のあるメガネ

桃太郎ジーンズ　ジンバブエコットン100％　14.7オンス

[おおしまさんの感想 · 2020年6月27日]

紳士になるためには、紳士として扱われるのが一番の近道、つまり見た目から入ってみようということで、本書を手にとってみました。紳士の条件の一つがゆとりを感じさせることで、その場その場の間に合わせではいけないと肝に命じて生活しようと思います。自分の中では、金銭的なゆとり以上に、時間のゆとりがないのが一番の問題。時間のゆとりがある生活をおくるべく、仕事の仕方を見直し、集中力を持って仕事をこなしたいと思います。

著者プロフィール

服飾史家/作家。
東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得後、英国ケンブリッジ大学客員研究員を経て、明治大学特任教授、昭和女子大学客員教授などを務めた。イギリス文化を起点とし、ダンディズム史、ファッション史、モード事情、ラグジュアリー領域へと研究範囲を広げる一方、新聞、雑誌、ウェブマガジンなど多媒体において連載記事を執筆。
著書に『「イノベーター」で読む アパレル全史』（日本実業出版社）、『新・ラグジュアリー文化が生み出す経済 10の講義』（共著、クロスメディア・パブリッシング）など多数。

「2022年 『時代を変えたミニの女王 マリー・クワント』 で使われていた紹介文から引用しています。」