機動警察パトレイバー 1 (少年サンデーコミックスワイド版)

  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (362ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784091247216

感想・レビュー・書評

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  • 「ロボット技術を応用した歩行式の作業機械「レイバー」が活躍する近未来の東京を舞台に、新設された警視庁のレイバー部隊「特車二課」の活躍を描く。OVAを皮切りに、漫画連載や小説、映画・ゲーム作品などを並行展開するという当時としては珍しいメディアミックスを展開した先駆的作品であり、現在もなお関連作品・グッズが数多くリリースされ続けている。
    作品は発表された1988年当時は近未来だった1998年の東京を舞台としており、時間軸は媒体ごとに若干異なるが、概ね21世紀初頭(2002年ごろ)までが描かれている。」

  • 近未来的で何度も読んだ記憶

  • パトレイバーは少年サンデー連載中に全話読んでいるのですが、単行本は買ってなかったのです。久しぶりに買って読んでみました。しかし何とやはり面白いではないですか。
    マンガ版パトレイバーは 1988 年連載開始ですが、今読んでも古くない。素晴らしいです。(ブロッケンは「西独」製軍事用レイバーなんてところもありますが。笑)
    このワイド版第1巻では、特車2課の発足から初出動、シャフト登場と続きます。そして熊耳さんが登場します。熊耳さんってもうちょっと後から出てきたような印象があるのですが、初期から居たのですね。

  • 全11巻(ワイド版) ワイド版が一番読みやすいのでお勧め(とはいっても絶版臭い?)架空の産業用ロボット「レイバー」による犯罪に対抗するために組織されたパトレイバー小隊。様々な思惑が重なって深くなっていく物語、パトレイバー小隊の活躍が丁寧に描かれている傑作

  • 全巻所持

  • もう何回よんだんでしょうねぇ。セリフも大分おぼえてます。今読んでも充分な面白さだとおもいますよ。押井守系も好きですけど、ゆうき系だってどうしてどうして。仲代達矢が強く意識された後藤隊長の存在感、希代の敵役内海課長はスゴいですね。この二人のやりあいの後半はかなりな見所。二課の日常は押井守が上かもしれませんが、内海課長は荒川や柘植に勝るとも劣らない。空飛ぶグリフォンに批判が集中しましたが、もういいんじゃないですかねぇ。あの当時の当時にブツクサ言ってたひとは居なかったでしょうよ。
    イングラムはこのぐらい、出渕のオモチャでいいじゃない。ジェガンでいいじゃない。このデザインだから人気になったんですよ。今の奴はねやりすぎです。
    面白いです。人生を変えちゃったこのマンガ、僕の本棚からなくなることはないでしょうね。

  • 「パトレイバーほど泥臭いロボットモノを僕は他に知らない」

     「パトレイバー」という作品があります。レイバーと呼ばれる人型機械が台頭しはじめた1990年代後期。その機動性を利用した犯罪者も現れるようになり、対応するために警察が特殊車両として配備したパトロール・レイバーと、それを運用する特車二課の活躍を中心に描かれた近未来SF作品です。書いていてすでに過去となっていることに気づき、近未来SFとは呼べないなと思いましたが、その議論はまた別の機会に(笑)
     色々なメディアで展開されていますが、今回はマンガ版に主軸をおいて話を進めます。アニメや映画は動画という特性を活かして色彩や動きを強調できるテーマやストーリーが主体となっていますが、マンガ版は長い期間だからこそ描きうる、理解と展開に時間のかかる内容を含んでいます。
     それはなにか? 自分は「レイバーという存在がある世界」そのものだと考えました。実在はしない「レイバー」の特殊性や特異な活躍だけではなく、それが当たり前に存在することでどのような社会が構築されるか。その可能性の一つを提示し、考えうる事件や事象を様々な視点から描くことで知れる変化、そんな「生きた世界」こそを描いていると感じました。

     「パトレイバー」は基本としてこれを運用する特車二課を中心に描かれます。彼らが、レイバーで暴れる犯罪者や破壊活動を行うテロリストや、経営戦略あるいは技術推進を目的とした企業を相手に活躍する様が、当初は多目に取り上げられています。
     しかし、話が進むと組織としての警察、経済活動を行う企業といった、大きな存在の思惑が影響を及ぼしてきます。それまでは背景として感じさせる程度であった深い部分に、ゆるやかに踏みこんでいくわけです。
     導入で示されているのですが、この世界においてレイバーは自動車を凌ぐ主要産業であり、関わる利権争いや情報戦が行われているのは考えてみれば当然のこと。存在が大きければ大きいほど、社会に与えてる影響も大きい。当たり前のことなのですが、それを意識して描き、ストーリーの中心として丁寧に描いている作品はなかなか珍しい。
     この段階になるとパトレイバーそのものの活躍はあまり描かれず、主体は搭乗者や関係者の心理的ドラマがメインになるのですが、それがまた細かく、無関係そうに感じられて巡り巡った影響を与えあいます。警察官、労働者、技術者、黒幕。隊員、隊長、社長の息子、黒幕の愛人。記者に、捜査員に、傭兵に、テロリストにと、それぞれの立場から自らの目的に対し、あるいは流されるままに、考え、選択し、状況を少しずつ動かしていく。その積み重ねの結果として、あるいはまったく無関係に、場面が新たに展開され、また個々人が判断し、行動し、企んでいく。この流れが主人公たちを中心に、時に大きく逸脱しながらも、マンガらしいコミカルさとわかりやすい対話により描かれていきます。ロボットモノとしてはかなり異端なのかもしれませんが、しかし考えられて然るべき背景と展開でしょう。この点に踏みこみ実際に描かれた作品があるというのは素晴らしいことだと思えます。

     このように積み上げられてゆく無数の思惑は、個々のキャラクターごとにそれぞれの物語を構築していきます。その中心であり象徴となる存在こそ、本題であるパトレイバーです。この機体はストーリーの都合に左右されることなく、警察組織の一装備として在り続けました。急に強くなることもなく、壊れれば時間をかけて直さなければならない。個性的な隊員に負けず劣らずの問題児として、技術的な転換期に存在する機体として、タイトルに相応しい在り方を貫いています。
     このパトレイバー、AV98式イングラムは、登場時点で当時最高の技術により造り上げられました。最新型のオートバランサーを具え、人型に極めて近いプロポーションを誇り、汎用と呼ばれるに相応しい多彩な運動性能を可能とするポテンシャルを与えられ、生みだされました。空こそ飛べないものの(笑)、パイロットやエンジニアのロマンを掻き立てる魅力に溢れた存在だったのです。
     しかし、それも開始時点での話。時が流れれば技術が進歩するのは当然であり、作中でもレイバーは進化し続けます。試験機として度外視されていたコスト面の改善、運動性能のため犠牲にしていた乗り心地の向上、バージョンアップするOSへの完全な適応、などなど。後継機候補はいずれもイングラムの欠点を補う性能を具えていきます。
     直接の敵も時間と共に強力になっていきます。人型のプロポーションに伴う運動性はイングラムだけの特徴ではなくなり、対する機体は違法改造や軍用、果ては「空を飛べる」謎技術のレイバーと、もはや性能差だけで対応することは難しくなっていきます。
     それでも、主役機であるイングラムの性能は初期から大きく変化しません。最大出力、反応速度、火力や機動力など、装備によって若干の差は生じますが基本的には登場時のままです。
     ではどのように対抗するのか? 基本的には数を揃えての力押しですが、個々の性能はパイロットの技量、および整備各所との連携・練度によってのみ向上します。意識の変革によるきっかけなどはありますが、特訓や修行によって一気にパワーアップ、などということはありません。これまたひたすら地味な積み重ねによってのみ成長するのです。

     メインパイロットの一人である泉野亜は警察官です。安月給でコキ使われ、基地が半ば住居になっている現場の人です。便利な機械を保有している特車二課は世間にその存在意義を認めてもらう意味もこめて、様々な作業に駆り出されます。時に暴走するレイバーを止め、時にデモ隊の動向を見守り、時に宇宙怪獣と戦い(?)、時に謎の集団と渡り合う。違法車両があれば持ち上げて運び、高速で牛に逃げられれば追いかけて捕らえ、吊り下げられた宇宙機械を落されればシートを広げて受け止め、大統領護衛の際には海に落して「そんなもんほっとけ」とのたまったりもします。メインの話として、つなぎのエピソードとして、変わりゆく状況の補助的に、コミカルに、真面目に、日々の仕事の様子が描かれています。
     物語の後半になると、レイバーの活躍自体が描かれる場面は少なくなり、人間関係を主としたサスペンス的な展開にシフトしていきます。それでも、特車二課の日常は絶えることがありません。描写自体は減りますが、変わることのない日々の業務は自然と知れます。事件が起これば出動し、解決しては基地で整備し、仮眠中に叩き起こされ、また新たな現場に向かう。本筋とは無関係にどうしようもなく続いている日常、そんな騒がしさがきちんと示されています。
     劣悪な労働環境にも負けず、特車二課の面々は警察官であることをまっとうしています。起き続ける事件の情報を整理し、わずかな経験からも得られるものを学び、失敗を悔いて拘りながらも職務に忠実であり続け、自分たちの本分を果たそうと邁進します。自覚がなくても彼らの本質が「正義の味方」であることは疑いようがありません。
     そしてそんな地道の積み重ねこそが、他に代えられない武器として機能します。

     物語ラスト、最大の敵機であるグリフォンとの戦闘を迎えた時、イングラムはもはや二世代ほど型遅れとなっていました。最新鋭機はすでに破れており、それらに比べればパワー、スピード、反応速度と、どれ一つとして勝るものはありません。対戦相手として残された理由は、最初の目標を潰すという趣味的な消化試合でしかありませんでした。
     しかし、イングラムはグリフォンと互角に渡り合います。頭部メインカメラは早々に吹っ飛ばされ、腕部端末装甲は一撃ごとに引き剥がされ、もっとも頑丈な胸部装甲を半分切り裂かれても、変わらぬ動きで食らいつきます。受けるダメージを逐一把握し、失われゆく運動性能を考慮し、中枢ユニットへの致命傷を避け、動く部位を確認しながら、明らかに自機を上回る一つ一つの挙動・機動に対応してみせます。
     それは、毎日使い続けることで熟知した特性の活用であり、整備し手をかけることで築き上げた信用であり、自分とイングラムにならばできると確信した成果でした。パワーの限界、加速のクセ、反応の鈍さをも計算しつくした、否、体に沁みこませた結果でした。
     激闘の果て、最新技術をもってしても敵わなかったグリフォンに、イングラムはスクラップ同然の姿になりながらも「圧勝」します。万人に天才と認められるパイロットに、一介の警察官は業務として勝利するのです。こんなに地味な積み重ねで、しかし最も重要な要素で決着がつくロボットモノを、自分は他に知りません。

     そして「パトレイバー」のいいところは、この「結果」も要素の一つとして処理しうる、という点です。主人公にとっては人生最大に近い戦果であり、物語全体としてもっとも重要なポイントではありますが、社会構造と総合的なストーリーとして考えた場合、ここで勝利できなければすべてが崩れ去る、というほど大きな事態ではありません。
     確かに、ここで負ければ首謀者が逃げのびてしまいます。が、それだけです。他の手段によって追いつめられる可能性も残っていますし、結果次第ではそういう方向で進めたでしょう。一つの作戦だけにすべてを賭けるような方針は組織的ではなく、この世界の警察はその点において実にシビアです。だからこそ特車二課の異質さ、あるいは末端としての矜持が際立ったのかもしれません。その点を最大限に魅せる、そんな構成の意図も感じられました。

     世界の中心でありながら脇を固めるレイバー、そしてストーリーの核でありながら基礎を務めたパトレイバー。描きたいものを、描くべきものを最後まで貫き、一つのドラマを美しく完結させたこの作品が、自分は今でも大好きです。

  • モビルスーツが闘う!
    というと、少年向けのような気がするけれども、主人公が女の子だからか、とっても親しみやすい。
    全体的にとくに真新しいことはないのだけれど、あんまり生臭くなくて、殺伐としていないのが◎。

    ワイド版4巻まで読破。続きが気になる~。

  • 第1-22巻
    完結

  • 相変わらず、後藤さんのキャラいいおね。

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著者プロフィール

漫画家。1957年北海道生まれ。80年デビュー。『究極超人あ~る』で星雲賞マンガ部門、『機動警察パトレイバー』で小学館漫画賞少年部門受賞。近作『白暮のクロニクル』『でぃす×こみ』『新九郎、奔る!』。

「2019年 『ゆうきまさみ 増補新版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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