- Amazon.co.jp ・マンガ (164ページ)
- / ISBN・EAN: 9784091436313
作品紹介・あらすじ
宿命のライバル娘と仰天初試合! 週刊コロコロコミックで連載中の「炎の闘球女ドッジ弾子」のコミックス第二巻が早くも発売!。主人公は弾平の娘”弾子”!立ちはだかるのはドッジボール超強豪校の聖アローズ!リーダーは弾平の宿命のライバルの大河の娘”二階堂平子”!父親の墓とプライドを背負い、戦う美少女2人。そして個性豊かにもほどがある仲間たち。この勝負は伝説となる! 【編集担当からのおすすめ情報】 マッチョ、ドS、野生児、天才、ワイルド、ありとあらゆる”個性”をもった闘球女が登場!
感想・レビュー・書評
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球魂を交わし合い、信頼が生まれるその先には――愛だ!
私個人の主だった所見については一巻のレビューで申し上げました。
もしよろしければそちらもご参照くださいませ。続くこの二巻の内容について簡潔に触れてみます。
予告された通りに、主人公「一撃弾子」の親世代から繋がる宿命のライバル――、二階堂平子率いる「聖アローズ」戦、決着一歩手前までを収録です。
半端なようですが、ここで完全燃焼してしまうと次に続かないという判断もあってのことかもしれません。
ちなみに試合前のお膳立てとしての特訓パートは一話でまとめ、早々に試合へとなだれ込みます。
その辺は一巻の延長線としてのテンポ重視のあらわれでしょうか。
もっとも、特訓場所がプールということもあって弾子の母と祖母のサプライズ出演もあったりします。
私自身は間接的に聞き及んだだけですが、さっそく往年のファンを驚かせてくれたようです。
主人公の母あらため現:祖母の「一撃はるか」さんの、絵柄は今風にリファインされてますけど「若々しい(祖)母」なるキャラクター・コンセプトが力強い。令和の今、いっそう注目されるだけのことはあります。
と。それはそれとして、試合について論じていきますか。事前の顔見せで期待値を上げていましたが、本番では主人公以下メンバーのレベルの高さを実証し、迫力あるドッジバトルを実現していただいた。
けれど同時に課題も浮き彫りにされたので、完全燃焼するにはまだまだ早いといったところでしょうか。
現状のことと断っておきますが、結束や連携の面で相手チームは確実にこちら側の上を行きます。
結論を言えば、今回の試合はタイマン勝負として最上であってもチーム戦としては途上という感じでした。
絶対に聖アローズとの再戦が行われると思うので、その辺と絡めて感想と書き連ねてみますね。
三巻以降、作品がどのような形で新展開を迎えるかはまったくの未知数ですが、アクションのレベルの高さは圧巻の一言。次から次へと繰り出されるハッタリが効いた必殺技を追っていくと息つく暇さえありません。
ここ聖アローズのメンバーが繰り出す必殺技にしても、父親から受け継いだ相伝の技の必殺の意気込みも然り。他方では女の子らしいモチーフに乗せて放たれる連携技もあったりと実にハイセンスでした。
お嬢様に仕える従者ならメイドだよねってことで服装で統一感を生みつつ、個性をみせます。
一巻で顔見せしたふたりのみならず、この子たちが親世代の「六魔天」の娘たちであることを知るとも知らずとも関係なしです。ビジュアル、口調、必殺技などを紐づける形でこの子たちこそが新世代の「聖アローズ」メンバーだ! と読者各人の脳内に超高速で刻み込んでくれるわけなのですね。
元気っ子とクール系、女王様系とオラオラ系などといった形でペアを組み、大・中・小といった形で等身や身長帯を揃えてくれるのはわかりやすいうえに、様式美だと思います。
新キャラを一挙に出したところで、あんまり考えなくても、すらすら読めることもまた、ベテランの巧みの技ってことなのでしょうね。短いセンテンス、ページ数でキャラを立てられるって実に素敵なことですよね。
一方で、平子お嬢様、その一の臣を自任している筋肉系美少女の「五十嵐柔里」、あと諜報などを一手に担うちびっ子「楠木萌愛」の三名に注目すれば試合の流れを抑えるに問題なしなのが巧みなところ。
冒頭で述べたようにあえて描き切らず完全燃焼させない部分を残しながら、見せ場を三名に譲るわけです。
とはいえ、今後への布石を打つことは必須なのか。
聖アローズメンバーの日常と関係を描いた幕間を置くことでキャラの掘り下げもしっかり行っています。
本編の邪魔をしないよう分量として控えめだったところは、情報のバランスを取る上での工夫でしょうか。ちょうど試合のターニングポイントで挿入されたというのも大きい。
そうして、今回の大本命である「弾子VS平子」のマッチングバトルにつなげるわけです。
なにせ平子お嬢様は、宿命のライバルである(と勝手に)認定した弾子との一対一の勝負にご執心です。
よってお嬢様のオーダーに従う形で、聖アローズのメンバーたちはそのお膳立てに動くわけです。
手を抜いてこそいないのですが、チームとしての勝ちは積極的に狙ってこない。
反則失格を指摘するのも野暮として、相手方に花を持たせてくれた局面もありました。
結果、勝敗は抜きにしても、聖アローズとの対比でまだ主人公のチームは完成していないことを示すことに。
なにせ主人公チームは秀でたタレント揃いであるものの、戦力になるメンバーは五名留まり。
まだ七名揃ってのフルメンバーではありません。
どう考えてもまっとうな手段で強さを表現できそうにない子もいますし、先が気になるところ。
一応、電子書籍版で名前は公開されたとはいえ、数合わせ感が否めない男子二名は光るところは見せたといえモブキャラ以上サブキャラ未満の存在感から脱却はできなかったのが残酷なところでしたね。
さらなるレベルアップと仲間集めが急務になるため、まだまだ終わる気配は感じないといったところです。
以上。
漫画としてあまりに隙が無いため、感想を述べようとしてもすごかった、すばらしかった、などと通り一辺倒なものになりそうでした。ゆえに理屈をこねりこねりとしてみたわけですよ。
まぁ小難しいところを抜きにして、こざっぱりと「面白かった」と申し上げておきますのでどうかよろしく。
それはそうと、下ネタにジャストミート気味なネーミングセンスだったり。
女の子が絶対しちゃいけないだろう顔芸・変顔が平子お嬢様の顔から放たれたり。
などといったコロコロスピリッツは少女を相手取っても健在でしたね、すごいですね。
ただ、コロコロ的なセンスと熱き心を宿す少女の麗しき闘いをダブらせるのは交通事故気味な気もしました。
その辺について指摘されて、困惑される方の意見もわかる気がします。
けれども、あくまで児童および童心を忘れない大人に向ける以上、あんまりアダルティにするのもどうかという判断あってのことなのかもしれません。
お嬢様の服装がエロいとかいう発想はあの顔を見れば吹き飛ぶので、きっとこれはこれで正解なんでしょう。
とまれ、平子お嬢様周りの奇行についてさすがに流れではフォローしきれないのか、とうとうガヤからツッコミを入りました。お嬢様の突き抜けっぷりが看過できない……というのは控えめな意見かもしれません。
私個人は二階堂平子の魅力は麗しさだけにとどまらないのだと、好意的に考えることにしてみましたが。
まぁそんなこんなで細かい技巧も光りますが、そういうパワフルさで愛を貫き通す作風こそが今後の『ドッジ弾子』の世界を駆け抜けるのかもしれません(平子お嬢様が格別パワフルなのかもしれませんが……)。
あと、主人公の覚醒シーンに大人になった前作主人公「一撃弾平」が回想で顔を見せるのですが、前作を知らない自分でも雄々しく、かっこいいと思えました。父であり大人である男の肖像っていいですよね。
父の残影の後押しを受けて打ち込む必殺シュートはまさしく約束された王道というものですよ。
そんなこんなで三巻以降も、また違った破天荒さやハチャメチャさがやってくるでしょう。
もしかしたら新たなる変態が弾子たちの前に姿を現すかもしれません。
けれど、作者先生はそういった要素を大事にされつつも、それ以上に王道や父への思いを胸に将来の再戦に、決戦に挑んでいくことを確信したことも事実だったりします。
これで終わりたくないと願われるほどの、毎回惜しまれる試合がやってくるよう祈って。
このレビューを閉じさせていただきます。やっぱり試合本番は違いますね、燃えました!詳細をみるコメント0件をすべて表示