<あらすじ>
時代設定は恐らく江戸時代くらい。舞台は貧しい農村と、その農村近くにある森(灰積み森)
この貧しい農村にのある家には両親を失った姉弟が住んでいた。(姉:糸乃、弟:織春)
両親を失ってからは、彼らはお互いを支え合い、お互いの生を自分の生きる理由として、生き(合っ)てきた。
ある日、この貧しい農村の食糧庫が家事になり村の蓄えの食糧がほとんど焼けてしまう。
この事件を受けて村の長老が「焼け残りの食糧在庫では村人全員が生きていくことは難しい。口減らしが必要だ」と判断する。
ここで村長は次のような行動をとる。「村人全員が致命的な病気にかかったが、お前はその病気に効く薬を一つだけ持っている
それを誰にあげるか?」と村人全員に質問してまわり、誰からも名前を言ってもらえなかった人を
「誰からも必要とされない人物」と判断し、口減らしのために村から灰積み森へ追放する。というもの。
織春は長老からこの質問を受けた時「姉にあげる」と答えたが、その姉は「荘一郎(婚約相手)にあげる」と答える。
最終的に、織春は誰からも名前を言ってもらえず、その他6人と一緒に灰積み森へ追放されてしまう。
追放先の灰積み森で織春は、姉から名前を言ってくれなかったことにショックを受けて何度も自殺を図ろうとするが死に切れず
そのあと、自身を必要としてくれる3本足の狼とともに支え合って、あたかも以前姉の糸乃との生活と同様に
お互いの生を自分の生の理由として生きていく。
が、最終的には生きる理由を自分以外の誰かに預けること、つまり「お互いの生を自分の生の理由とする」ことでは
真に生きていくことはできないと悟り、狼と織春は離ればなれになって生きていくことになった。
<感想>
書店でブラブラしてる時に衝撃的なタイトルと陰鬱な表紙が目に入り、衝動買いしてしまいましたw
古谷実チックなのかなと思いながら読み進めたわけですが、その予想は外れました。
弟・織春の成長物語です。(古谷実の漫画は成長物語ではないと思います。)
「必要としない」=「死ね」ではなく
「必要としない」=「誰かに生きる理由を預けることから脱却し、真に生きてほしい」
「必要とする」というのは「自分の生の理由を、相手に預ける」ということになり、
これでは自分が自分として生きることにならない。
大事な人には一人でも生きていてほしいから、大事な人には自分の生の理由を誰かに預けてもらいたくない。
一人でも生きるために。「必要としない」ことが必要である。
というのがこの漫画のスタンス。
そう判断した結果、終盤では糸乃も3本足の狼も織春のことを大事な人だと判断し「生きてほしい」と願った結果
別れることにしました。
多くの漫画では「仲間と支え合い生きていく」という展開があるかと思いますが、この漫画はそれとは違う方向に行ってます。
終わり方がなーんか急だなと感じたのは気のせいではなく、どうやらこの漫画連載打ち切りになってたようですね。
もうちょっと続きを読みたかったのが不満ですが話は面白かったので星4つで!