赤色エレジー (小学館文庫)

著者 :
  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (367ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784091924711

作品紹介・あらすじ

▼第1話/赤色エレジー▼第2話/アグマと・息子と・食えない魂▼第3話/吾が母は▼第4話/赤とんぼ▼第5話/山姥子守唄▼第6話/花ちる町▼第7話/桜色の心
●あらすじ/マンガ家を目指しながらも上手くいかない一郎と、そんな一郎を愛し支える幸子。二人は共にしがないアニメーターとして仕事をしながら、どうにか日々を暮らしている。この二人のなんとも刹那的で行き場のない同棲生活とその破綻を、独特の前衛的なタッチで描いた、マンガ史に残る名作(第1話)。
●本巻の特徴/表題作の他、地獄にいる悪魔の親子の話「アグマと・息子と・食えない魂」、カエルの子供を主人公に戦争を描き、日本とアメリカの関係を暗示させる「吾が母は」など、ひたすらシュールな中・短編を全7話収録。
●各作品初出年度/▼「赤色エレジー」1970年▼「アグマと・息子と・食えない魂」1967年▼「吾が母は」1968年▼「赤とんぼ」1968年▼「山姥子守唄」1968年▼「花ちる町」1968年▼「桜色の心」1971年
●その他のデータ/「赤色エレジー」に強い感銘を受け、同名の自作曲が1972年に大ヒットしたあがた森魚氏のエッセイ「僕たちの暴力や殺戮(さつりく)がいつ止むとも知れぬ今しがた……」を巻末に収録。

感想・レビュー・書評

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  • 読んでいて、なんだか、ポカーンとしちゃった一冊(^^ゞ
    たぶん。ノスタルジー?
    なんだろーなーと思うんだけど……。


    例えていうならば、川瀬巴水の絵を見た時のような、記憶にない光景なのに、なぜか湧き起こってくる、あのなんとも言い難い感情とよく似ている。
    ただ、川瀬巴水の絵に描かれている情景というのが、記憶にありようがないくらい昔なのに対して、この『赤色エレジー』は微かにその情景を思い描ける時代の情景だ。

    と言っても、たぶん、直接記憶しているのではなくて。
    おそらく、子供の頃に見たテレビでやっていたドラマや映画、あるいはドキュメンタリー等の映像を介しての記憶なんだと思う。

    この本はある方の本棚に著者の別の本があったのを見て知ったのだが、やはり、その方の本棚にあった『俺たちの勲章』で出てきた当時の街の風景や、登場人物たちの心象と重なっているような気がする。
    (『俺たちの勲章』は、この本の時代よりも5、6年以上後だと思うが、それでも風景や心象は繋がっているように思う)

    あるいは、子供の頃、今のテレビ東京で土曜日の夜にやっていた日本映画のそれこそATGで描かれていた情景とか。
    あと、去年再放送していた『新日本紀行』のあのテーマ曲を聴いた途端、沸き起こってくる心のさざめきとか。
    そう。曲と言ったら、この本が描かれたのは「はっぴいえんど」があった時と重なっているが。
    この本で描かれているそれは、あの時代より後を向いている2ndの『風街ろまん』よりも、1stの「はっぴいえんど(いわゆる「ゆでめん」)」に近い。
    ていうか、「はっぴいえんど」よりは、『神田川』や『22才の別れ』の世界なんだろうけどさw
    ただ、その辺となると、ラジオから流れていたのを聴いたくらいなんで、よくわからない(^^ゞ

    そんな、たんに「昭和」って言うんでない、もっとピンポイントな“その時代”のノスタルジー(?)が、夜中に布団の中で外の豪雨を聴いている時のような何とも言えない安堵感をくれる。
    そんな本(^^)/

    ただ、1回読んだくらいじゃ理解出来ないのかなーとも思った。
    ま、“コンテンツ”なわけで、理解出来る/出来ないっていうのも変で、要は自分がいいと思うか/そうじゃないか感じれば、それでいいことなんだけどさ。
    とはいえ、「赤色エレジー」以外の話はよくわからなくて。
    なんだか、昔見た「ツィゴイネル・ワイゼン」を思い出した。
    読んでいて、ポカーンとしちゃったのはそういうこともあるのかもしれない。

  •  ちょうど『ひよっこ』と同じ時代が描かれていて、どちらも貧しくて慎ましい。時代の標準で、東京での大半の若者がこうだったのかな。

     中卒のアニメーターがアニメでは食えなくて漫画を描こうとしているけど才能があるのかないのか不明で、彼女がいて、気持ちがすれ違って、でもセックスはしていてというような物語が、とんでもないセンスで描かれる。主人公は横顔しか描かれない。最初から設計されたような美意識で一貫していた。センスに対する確信に満ちた傑作で、特に身もだえしてのたうちまわるところがすごい。やってる場面ものたうちまわっているように描かれる。見開きや大ゴマの鮮烈さがすごい。若さが苦しそう。

  • 子供のころに感じた漠然とした不安感でもって寂しい悲しいとかわんわん泣きたくなった


    後ろ向きな希望の強さというかこのままじゃないはずだっていうエネルギーも感じた

  • 難しい……!
    これをまた読んだ時に理解度が上がるように生きていきたい、と思った。

    私の親が生まれてない時代の作品で、もしかしたら祖母祖父なら何かわかるかもしれないが想像もつかない。
    だが、男女の情というものが少しだけわかった気がした

  • 感情移入出来なければただの不気味な漫画

  • 2011 5/22読了。Amazonで購入。
    アメリカの大学図書館で最も購入されている日本のマンガの一つ、と紹介されていたのを見て買ってみた本。
    ガロに連載されていた林静一のデビュー作に、短編5本をまとめて一冊にした本。
    なにがなんだかわからないうちに一気に読みきってしまった。
    そうしてあらためて適当にページを開いてみるとどのページも凄く印象的であらためて驚く。マンガってとんでもないな、とあらためて思った。

  • 四畳半生活男女。

  • 僕は天使ぢゃないよの原作。こんな漫画があるんだと衝撃。

  • 林静一の絵が好きで漫画と読んでみようと思った。
    ガロど真ん中でびっくり。
    小梅ちゃんとはまた違う世界だけど、この内面世界の毒っぽさや寂しさや怒りが色気を生み出しているのだなと、どこか納得した。

    赤色エレジーもすごくよかったし、赤とんぼもとても好きだった。

  • 人物とセリフが無いシーン、めっちゃ音聞こえてきそうやった
    終わり方エグい すごすぎる

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著者プロフィール

1945年に満州で生まれる。62年東映動画に入社、「狼少年ケン」などの制作に参加。67年「ガロ」にてマンガ家デビュー、 70年に連載を開始した「赤色エレジー」があがた森魚のヒット曲のモチーフともなり、一大センセーションを起こした。テレビCMやNHK「みんなのうた」のアニメーション、絵本など、幅広いジャンルに表現領域を広げ、74年アートディレクターを務めたCF「ロッテ小梅」で数々の賞を受賞。

「2021年 『林静一コレクション 又吉直樹と読む』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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