ぼくたちのP(パラダイス) (創作児童読物)

  • 小学館
3.53
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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784092897632

作品紹介・あらすじ

とんでもない弱点を持つユウタの成長物語

主人公の少年ユウタは、人には言えない弱点を持っていた。そのせいで、ちょっと人が苦手で、あまり友だちがいない。
そんなある夏休み、おじさんの別荘に行くことになった。
でも、そこは想像していたのとはぜんぜん違った。
5時間ものつら~い山登りの末にたどりついたのは、電気も通ってない山小屋だったのだ。
おじさんは、大学の先生で、山の保全について研究している。この山で、おじさんたちは、生徒たちとフィールドワークしているのだった。山で出会った若者たちの、どろどろになりながら作業をしている姿が、あまりに楽しそうで、ユウタもつい引き込まれてしまう。最初は、こんなはずじゃなかったと、さめていたのだが、一緒に作業するうちに、自分の居場所を見つけてしまったようだ。
「山にのぼると、人が変わるってことがよくあるけど」って、おじさんが言うとおり、ユウタもそうなのかもしれない。
学校では、あまり人とは関わらないように、一人でいることが多かったユウタも、山での生活で、少しずつ変化していく。
何がユウタを変えたのか? ユウタは弱点を乗りこえられるのか?

とんでもない山小屋での予想を超えた体験物語。





【編集担当からのおすすめ情報】
前作品『川床にえくぼが三つ』で小学館児童出版文化賞を受賞したにしがきようこさんの新作。
本作品は、山のさわやかな、すがすがしい情景が目に浮かぶような作品。山の自然と生き物が生き生きと描かれています。

感想・レビュー・書評

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  • [墨田区図書館]

    江東区図書館の「ぶっくなび(2019年3月)」にて紹介。
    友達がいなくて憂鬱な夏休みを過ごすはずだった中学生の主人公が、「涼しい高原でのゲーム三昧」を夢見てついていった叔父さんとの別荘生活は、電気も通っていない避難小屋での山生活。
    それだけならよくある少年の成長小説と思って流したが、「自分の弱点だと思っていたことが、山では武器になる!なんてこともあり、~」のフレーズが気になってしまった。

    "ぶっくなび"は粗筋や魅力を的確に伝えるだけでなく、多少の謎を提示する形式の紹介が多く、推理やなぞ解きが必要な自分としては、読んでいるとその本を読みたくなる。

    そして読んでみると、本書は思った通り、あさのあつこや遠藤~などのような"中学生を主人公とした同世代向けの成長?自分見つめの話"だった。けれども内容も一本筋で読みやすい上に文調が予想以上に軽く、ざっと3時間、あらすじ追いのために読むなら2時間もあれば読めるような内容だったので、一見厚めだが他の著名人(作)よりも本が苦手な子には読みやすいかも。5泊6日の山での経験を日=章で分けているし分読もしやすい。

    ちなみに、主人公の弱点とは、「苦手な雷の予知」だった。しかも読んでみると的中するだけdなく、物凄く実用的な能力(笑)!途中で表題の「P」は出てきて、私は「プレイス」メインのひっかけ意味での「パラダイス」と読んだが、表紙に書かれた小さなふりがなに最後気づいたら、パラダイスだったな。そっちがメインだったのかー。てっきり途中からそれ(主人公の成長)以上に「湿原保全」をメインテーマとして中学生の成長を絡めたのかと思ってしまったけれど、、、どうも他作の紹介を見てみると、この著者は男女問わず若者を主人公としたこの手の話を、同世代内での話でも親世代でもない、いわばお兄さん/お姉さん的な年長世代との絡みで描くスタイルみたいだな、それも"職業"がらみで。

    そういう意味では子供が小学生高学年の頃に何か読ませたいと思った際にこの人に出会えていれば良かった。あの時は同世代内での話ばかりみつけてしまい、逆に"物語(非現実)"感があったものなー。

  • 叔父さんと一緒に山小屋に行った雄太,カミナリが大の苦手だったぼくの欠点を逆手に取った大活躍など,山での生活でグッと成長する.そして山を大切に自然を守る活動も描かれていて,どこかにいるこのような人々に感謝だ.

  • 大学生たちと共に作業をするなかで、自分と向きあいながら、成長していく雄太の姿がストレートに描かれている。ちょっと年上の他人とのよい関わりは得難いものだ。大学生も雄太からすれば十分大人。

  • タイトルも表紙も地味だが面白かった。
    研究者のおじに連れられて、(勘違いから)山に登って数日間を過ごす話。
    山の上での活動や人間関係が(地味だが)面白い。
    後半は意外と大きな事件が起きる。



  • 私も山に行くので、登山ネタが色々あって楽しい。

    環境が変わると、視点も変わる。
    主人公ぐらいの年齢の子にはこういった、世界は広いんだよって気づくキッカケがあると、いいんだろうな。


    ユイさんとヒメさんの一悶着は、結局なんだったのか?そこがちょっと気になる。

  • めっちゃくちゃよかったわ。
    なんどもぐっとこみ上げるものがあった。
    確かに自分の心に残った。

    語彙力があれば、もっとこの本のよさが伝えられるかもしれないのに。
    そう思うくらい良かったってこと。

  • 読者は小学校高学年から中学生で書いてると思うけど、表紙が地味で子どもが手に取りたくなる感じではない。
     簡単に言うなら、学校で周りとなじめない中学生の少年が、山の環境保全活動をしている叔父に連れられて山で過ごすうち、生きる勇気と希望を見出すってところ。
     しかし、雷が怖いって人はいると思うが、人よりずっと早く予知できるというのは特殊能力で、雷が怖い人全てが持っている能力ではない。そこに希望を見出されても一般化はできない。
    山で出会う叔父さん(大学の先生)の研究室の大学生たちっていうのもあんまり魅力がなく、ラノベで強烈なキャラ立ちに慣れている子どもには物足りない。会話も特に面白くないのに「ワッハッハと笑った」って何度も書かれてもなあ。
    それに、学校で孤立していること自体は何も解決していないわけだし。もちろんこの経験が自信となって学校生活でも自分が出せるようになるって可能性はあると思うけど、だったらそこらへんも書いた方が読み手の子どもたちは納得したんじゃないか。というか、この物語にそういう学校生活がもうちょっとリアルに描かれていれば、小中学生の心にもっと届いたと思う。
     真面目な大人が書いた児童文学で、大人は子どもに読ませたいと思うかもしれないが、子どもが喜んで読むかは怪しい。子どもの世界はとても狭く、学校生活(成績、部活、友人関係)の比重たるや大人の想像以上なので、学校の外でいい経験したとしても、だから何ってところはあると思う。ピアノやってて合唱の伴奏したとか、サッカーやってて球技大会で活躍したとか、学校外の活動が学校とつながるとクラスや学年で認められて、前向きになれることが多い。
     さらに言えば、主人公の雄太くん、転校が多く、クラスになじめずってことは学力どうなんでしょうか。おじさんの大学に入れる学力があるのかも、気になりましたね。

  • 山に行ったおとなしめの少年。山はすばらしい、だけではない猛威を振るうクライマックスは圧巻。

  • 中学生の雄太は転校が多く、今の学校でも親しい友人はいない。夏休みの予定はなかったが、遊びに来たおじさんに誘われえて山の別荘へ行くことになる。静かな山の別荘でゲーム三昧と思っていたが、なんとそこは山の避難小屋。大学の研究室の仲間たちがボランティアで山道の修繕をしているのだった。想像したことのない山での生活に戸惑いながらも、少しづつ山の生活に溶け込んでいき、何もできないと思っていた雄太も少しづつ変わっていく。

    おじさんの山の仲間たちのペースに自分のこれまでの生活を少しづつ考えるようになっていく雄太。面白いけれど、中学生が読んで面白いと感動するのかと疑問が…。

  • 夏休み、おじさんの「別荘」で過ごすことになったぼく。涼しい高原でゲーム三昧と思っていたのに、いきなり登山!別荘って、山小屋のことなの? それでも毎日体を動かすうちに、ぼくの中で何かが変わり始めた。
    クラスに溶け込むことができなかった、ある「原因」が、山の上で仲間を救う。

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著者プロフィール

児童文学作家

「2021年 『イカル荘へようこそ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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