- Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
- / ISBN・EAN: 9784092906341
作品紹介・あらすじ
モノマネが得意な少女の成長物語
クラス一のお調子者ジェリーは、人のモノマネが得意で、いつも先生のモノマネをしてクラスメートを爆笑させていた。
そんなジェリーの悩みは、トドのような太った体型。男の子たちからは毎日のように、からかわれたり悪口を言われたりするが、いつもギャグでかわして、笑い飛ばしていた。
でも、家に帰ると、本当の気持ちをノートに書き付けていた。
この秘密のノートにつづった詩が、真のジェリーの姿だ。
学校恒例のタレントショーで、ジェリーは代表となり、コントを披露することになる。今年こそ優勝間違いなしと噂されるが、いつもの悪ふざけが過ぎて、出場できなくなってしまった。
そんなとき、母親の新しい恋人のミュージシャンと知り合うことで、ジェリーの中で、少しずつ変化していく。
ジェリーは、タレントショーに出場できるのか?
少女の心の成長を描く爽やかな学園物語。
【編集担当からのおすすめ情報】
『レモンの図書室』のジョー・コットリルの新作。前作は、お母さんが亡くなって、お父さんの面倒を見ていた健気な少女の感動物語で、多くの読者を獲得しました。少し悲しい物語でしたが、今回は、底抜けに明るい少女の物語です。
思春期に誰もが抱える悩みを爽やかに描きます。
本当の自分をどう表現するか?普遍的なテーマです。
感想・レビュー・書評
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ママとふたりで暮らす11歳のジェリーは、大柄で強く、スポーツも万能。モノマネが得意で人を笑わせることが大好き。学校で開催されるKファクターという発表会にモノマネで出場して優勝を狙っているが、密かに、自分自身の体型や人目に傷ついていた。彼女は、お調子者のキャラを演じるために、傷ついた心は表に出さず、「秘密のノート」に詩として書き連ねていた。ママから紹介されたママの新しいボーイフレンドは、以前カフェで相席した楽しいギタリスト レノンで、彼といると、ママもジェリーも自然体でくつろげた。彼女はレノンに秘密のノートを見せ、彼はそのセンスに感嘆し、曲に仕立てたいと申し出る。Kファクターのクラスオーディションで選ばれ、決勝に進むことになったジェリーだが、太って試着した服が入らなくなったり、悩みは尽きない。彼女の秘密のノートの詩を歌に仕上げたレノンは、それを一緒にKファイクターのステージで発表しないかと持ちかける。
思春期の悩みをひた隠しにしてきた少女が、周囲の励ましを得て、自己開示し前進する様子を彼女の視点で描いた物語。
*******ここからはネタバレ*******
自分自身の肥満、それを見る周囲、美しいママ、意地悪なママの元カレ、高慢な祖父……、たくさんの悩みを抱えながらも、元気で明るい自分を演じるために、心の内を詩に託してノートに書き連ねるジェリー。自分自身の、若くて繊細だった頃(あったのか?笑)を思い起こしながら読みました。
でもね、こういう体験は、辛いものではありますが、若さの特権でもあり、必要な体験でもあると思うので、私は否定しないんですよ。だって、こんなことで悩んでばかりじゃなくて強く生きないといけないと思えたり、辛いのは自分だけではないと周りを慮ったりできるのは、こういう経験があるからじゃないかと考えられるから。
気になるのは、ママの自己評価の低さと、娘ジェリーへの態度。
美容を気にしてスイーツは一切取らず、飲み物は緑茶。おしゃれにも関心が高いが、自分自身に愛される価値がないと信じて、良い人とは自分で縁を切り、悪い人とくっつこうとする。
ジェリーに対しても、一見優しい母親だけど、彼女の口に入れるものには無頓着。年頃の娘が太っていっていても、「子犬はコロコロしているもの」と意に介さず、自分は決して食べないファッティなお菓子を常に用意し、勧めている。いや、それでジェリーが太って、試着の服が入らなくなって、それを驚いて慰めようとハグするなんて、ひどすぎませんか?
また、恋人との付き合いに、子どもを巻き込みすぎ。
ボーイフレンドを自宅に招くのはいいですけど、その恋人が思春期の娘の部屋に入るのを許すとか、娘がいるのに、婚約もしていない彼を自分と同じ寝室で泊まらせるとか、デリカシーなさすぎに感じます。いやこれ、娘、家に居場所ない感あって当然ですから。
ママ自身が、父親から理不尽な扱いを受け、恋人に恵まれない辛さを、明るくてへこたれない娘に甘えているように感じます。
ジェリーの友だちにも、多様性が配慮されていますね。はっきりとは描かれていませんが、ファッション誌に載っている女性に偏りがあることを書いた箇所から、サンヴィはインド系、カイマは黒人系のようです。そして、大きなセミディタッチドハウスに住むカイマは、父親を事故でなくしていて、妹もその事故で腕の半分を失っています。これは、物語全体に影響を及ぼす要素ではないですけど。
授業中に、「わたしの仮面」というタイトルで、生徒に自分自身の仮面を告白する詩を書かせる場面があって、ジェリーは茶化した作品を書いて皆を笑わせ、自己嫌悪に陥りますが、私は、無理に自己開示させるほうが危険だと思う。心の秘密は、本人が秘密にしたい限り、秘密にする事ができないと、安心できないじゃないですか。開示することが立派だと先生は褒めていましたが、自分自身を守れることのほうが大切ですよ。
思春期の人に言えない悩みに寄り添う物語はいいと思いますが、キャラ変したほうが居心地が良いのであればすればいいし、そうでないなら殻はかぶり続けてもいい。そんなメッセージを与えて欲しかった。
残念だったのは表紙の絵とタイトル。原作の、Jellyが重いJellyを持っているのがとてもわかりやすくてよかった。日本語のJelly(ゼリー)に英語のような、恐怖や不安を表す意味がないから仕方ないのでしょうけど。
英文学らしい?ノックノックジョークが出てきましたね。
「トン、トン」「どなたですか?」「ああ……さあ、こんなん……どういえば……」が、アーサー・コナン・ドイルとはうまくやったもの。でもこれ、原文はどうだったんだろう?翻訳、すごいと感心しました。
主人公は11歳ですが、親の恋愛やら結構ハードな話題も出てきます。しっかりした高学年から中学生以上にオススメします。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
みんなを笑わせることが好きな11才のジェリーは、いつでも明るいからからかわれても平気と思われている。けれど本当は傷ついているのだ。特に太めの体のこと。
そんな本心は、ママにも親友たちにも隠して秘密のノートに詩にして書いていた。
ママの新しいBFレノン に秘密のノートを見せたことをきっかけにして、明るさで隠していた心の叫びを人に伝える勇気を持つことができた。
抑圧的で偏見の固まりのおじいちゃんに間違いを指摘できるジェリーの強さに拍手。
ママもジェリーから勇気をもらい、父親にやっとNOを言えた。レノンという理解者を得て、ママもジェリーも変わっていく。
理解者がいると、人は勇気と自信が持てるのだろう。私は身近な人の理解者になれているのだろうか。 -
前半はとにかくつらかった。
でも、レノンの登場以降、主人公ジェリーの気持ちが救われたことに安堵し、また悪い流れになったときは涙が出そうになるなど感情移入して一気に読み終えました。
この本に出会えてよかった!
これも、日本語のタイトルと表紙がよかったと思います。原書はちょっと重すぎる…。
中学生に読んでほしい。
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モノマネが得意で、ふざけて皆を笑わせるのが大好きな女の子ジェリー。でも、ホントのジェリーは違う。太ってるのがコンプレックスだし、傷つきたくないから笑って仮面をかぶっている。つらい気持ちはノートに詩を書くことでしまい込んでいる。それはママにも親友にも秘密…。
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絵が綺麗!
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ぽっちゃりの主人公のママは美人。いつも道化役に回っているけれど心の中では違うことを考えている。その気持ちは秘密のノートにこっそりと詩として書き溜めている。思春期の入り口に立つ子供たちに読んでほしい良書。
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ジェリーはモノマネが得意で、クラスの人気者。でも本当は、太っている自分を笑われたくなくて、わざと笑いをとるようにしているだけ。本当の気持ちは詩にして秘密のノートに綴っている。ジェリーのママは、すごい美人なのに、男運がなくて恋人に振られてばかり。でも、今度の相手はちょっとちがうみたい。ママのことを「美しい人」ではなく、「美しい魂の人」という。そして、ジェリーの詩を読んで、「すごい」というし、なんと「曲を付けさせてほしい」と頼むのだった。