ネンドノカンド -脱力デザイン論-

著者 :
  • 小学館
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感想 : 44
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  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093460897

感想・レビュー・書評

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  • 【フツーの人だからこそ活かせるデザインの視点】

    デザイナーの著者が2010年から『DIME』で各週連載していたエッセイを書籍化したものとのこと。世界的にご活躍するデザイナーとのことで、世界各地を飛び回り、特にデザインの先進地域と言われるヨーロッパからも話を持ち入れている。



    デザインの視点みたいな理論的なものから入り、その具体例のような形で著者のデザインした作品、商品が写真と合わせて紹介されている。読みやすく親しみやすい内容だった。



    __フイルターになるベくいろんなものをひっかけるためには、「脱力」することが一番幼果的です。「脱カ」が必要なのは、やみくもに「当たり前のこと」を遮断してしまわないようにするためです。なぜなら、「当たり前のこと」からいいアイデアが生まれることがあるのです。
    俗に言う「アーティスティックな人」や「個性的な人」はどうやらダメっぽい。どっちかというと、フツーの人。これがいい。フツーの感覚があるからこそ、わずかな「差異」に気づけるのかもしれません。(本文より)

    デザインって、何にでもあてはめられるけれども、利用者の存在するデザインの実用性を考えると、たしかに一般的な人々がどのような利便性や楽しみを求めているか、その感覚は欠かせない。



    __デザイナーは何かを「作る」ことが主な仕事だと思われがちですが、どちらかというと何かを「見る」ことのほうが多いのが現実です。(本文より)

    著者は本文で、作るのは職人さんたちで、その技術に大変感謝している、と言っている。そうだ、ウェブデザインでも、デザインをもとにそれを実際に設計するエンジニアがいる。その技術あってのものなのだと改めて。

    では、デザイナーは「見る」ことを通して、解決策を「見つける」らしい。その方法が大まかに二つあると言い、

    一つは、見ないこと。

    ここにあるはずなどの思い込みで見えなくなっているものがあるとし、

    「対象物をできるだけ凝視しないようにして、その周辺ににじみ出てる要素や背後に隠れている情報にも意識を広げる」こと。


    もう一つは、「第一印象を何度でも繰り返せる」ように毎回リセットして見ること。これも、できるだけ利用者の視点を失わないようにすることだなーと思う。

    受け手がいて、受け手に伝わるデザイン。役立つデザイン。

    人間中心のデザインの実践週でもあると思った。

  • コンセントカバー「socket-deer」が良い感じ。非売品なのがもったいない。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「非売品なのがもったいない。」
      あれ、そうだったかしらん?
      「非売品なのがもったいない。」
      あれ、そうだったかしらん?
      2013/08/02
  • タイトル「脱力デザイン論」通りのユルい雰囲気で、
    且つ業界の慣習的なものも味わうことができて
    楽しく読み進められた。

  • 757

  • ロジカルだけど意外性もある文章構成が、デザインのうまさを物語ってる。

  • この人の感覚がとにかく面白く感じる。面白がっているところが同じなのかな?

  • デザインで世界を飛び回る筆者のさまざまな観点からの手記をまとめたもの。面白い。
    人を育てるのは、飛躍型かだんだん型か。小さな成功体験、成長を感じさせてあげる。
    竹で町おこしを使用とした台湾。竹の製品を作る技術を利用して鉄の椅子を作る。
    藤子不二雄の言葉。sfは少し不思議という意味。平凡な日常がベースで体温を感じさせる人物を作る。裏から物事を見て新しい視点と驚きを与える。

  • 某雑誌で隔週連載された佐藤オオキのコラム集。

    佐藤オオキといえば世界的に幅広い分野で活躍しているデザイナー。そんな彼の考え方・日常のお話が、ほとんどの場合自分の手がけた1つの作品に帰結していく。

    結構な分量があるのに、1つ1つのコラムが非常に面白いので次へ次へと読んでしまった。
    デザイナーというとどうしてもカッコつけているという印象があるが、彼に関してはまったくそれがない。
    足がすぐ群れて臭かったり、ガラスの腸のせいですぐトイレに走ったり、彼の使用後のトイレがものすごく臭かったり……。
    もとの連載が男性誌なせいもあるだろうが、普通の人が隠したいと思う部分もおおっぴらに語っている。(もちろんそういうものばかりではないが)

    真面目なデザイン論も、面白い日常の話も、すべてひっくるめて彼の素直さ、率直さ、正直さが伝わってくる。

    スペシャルコンテンツとして、彼の手描きの年表・オフィスの間取りも良かった!

    かなり満足した一冊。

  • 読了

  • 小ねた豊富なドラえもん派の几帳面な巨漢デザイナー。
    日ごろのちょっとしたエピソードから始まる、「すこしふしぎ」なデザインの紹介。

    「デザインの鮮度」
     デザインはあまり熟成させないほうがいい。
     アイデアには鮮度があるから。
     素材の見極めと、手際の良い包丁さばき、最小限の調味料による表現。

    「スンドメの美学」
     一見するとデザイナーが関わっていないように見える印象なのに、
     よくよく見ると細かいディテールにこだわっている「狙いすぎていない」デザイン。
     スレスレの際どさ。

    「巻き込み力」
     センスなどと一般的に呼ばれているものは、
     トップデザイナーもちょっと気の利いた学生もそう大差がない、
     プロジェクトを牽引していく「巻き込み力」にこそ大きな差がある。
     常に自分が感じている「楽しさ」を包み隠さず相手に伝えるようにしている。

    「見つけかた」
     解決案は目の前に。
     1.対象物を見ない。
        意識の絞込みが邪魔をする。
        周囲ににじみ出ている要素や背後に隠れている情報にも意識を広げる。
     2.常にリセットする。
        貴重な第一印象を何度でも繰り返せるように。
        いろんな人の第一印象とそれに伴う行動をイメージし、
        ひとつのストーリーを紡いで空間デザインを作り上げる。

    「量と質が反比例していた時代は終わり」
     コンスタントに量を生み出す土台があって、
     そこから生まれたノウハウを養分にすることで
     はじめて質の高いデザインが開花する。

著者プロフィール

デザインオフィス nendo チーフデザイナー
1977年カナダ生まれ。2002年早稲田大学大学院修了後、デザインオフィス nendo設立。建築・インテリア・プロダクト・グラフィックと多岐にわたってデザインを手がける。作品はニューヨーク近代美術館(米)・ポンピドゥー・センター(仏)・ヴィクトリア&アルバート博物館(英)など世界の主要美術館に多数収蔵されている。TOKYO2020の聖火台をデザインし、現在は2024年稼働予定のフランス高速鉄道TGV新型車両のデザインに取り組むほか、2025年大阪・関西万博 日本政府館 総合プロデューサー/総合デザイナーを務める。

「2022年 『半径50メートルのセカイ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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