- Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093567466
作品紹介・あらすじ
韓国発ベストセラー、傑作Kヒーリング小説 ソウルの下町。亡き夫の遺産で建てたコンビニ「Always」を細々と営む元教師のヨムさんは、駅で無くした財布を拾ってくれたホームレスの男「独孤(トッコ)」と知り合う。記憶を失い言葉はたどたどしいが、誠実そうな独孤を見込んだヨムさんは、彼を深夜シフトの店員として雇う。近隣のコンビニに押され気味で品揃えが悪く、近所住人からは「不便なコンビニ」と呼ばれている「Always」の店員や客たちは、謎だらけで怪しげな独孤を警戒しつつ、一方でそれぞれに問題を抱えていた。 韓国でシリーズ累計140万部(2023年4月現在)、世界各国で出版され、舞台化、ドラマ化も進行中の大ベストセラー。誰もが生きづらさを抱えて生きるコロナ前夜のソウルを舞台に、人と人との関わり、罪と赦しを優しくユーモラスに描いた、8篇からなるKヒーリング小説の傑作。 【編集担当からのおすすめ情報】 本書は2021年春に韓国で刊行された小説の邦訳版です。著者は2013年の『望遠洞ブラザーズ』で世界文学賞を受賞しながらも、その後はずっとヒット作に恵まれませんでした。そんな中で細々と発表された本作は、電子書籍プラットフォームから火がつき、またたくまに大ベストセラーとなり、2022年には大型チェーン書店「教保文庫」と大型電子書籍店「YES24」でもっとも売れた「今年の一冊」に選ばれました。2022年夏に刊行された続編『不便なコンビニ2』と合わせて140万部(2023年4月現在)を売り上げ、本書に似せた装画の本が次々と刊行され、「Kヒーリング小説」という新たなジャンルを生むなど、社会現象となっています。 そのような華々しい道を辿っている作品ですが、描かれるのはむしろ普通の人々のささやかな営みと、痛みや優しさ、人との関わりから生まれる何かです。それぞれに小さな生きづらさを抱えている登場人物にも、どこかしら共感していただけるのではないかと思います。本書を読むことで、ひとときの癒しや救いを感じていただければ幸いです。
感想・レビュー・書評
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初めての韓流ノベルに手を出してみました。「不便なコンビニ」ってタイトルに不穏を感じるこの響き、店員と会話することなく軽く頷くだけで買物できるのが便利なコンビニ。クレーマーや万引き少年のほうが積極的に店員と会話してる気がして、コミュニケーションって相手を攻撃したり不快をもたらすだけのツールになってやしないかと他山の石をみながら考えてました。
世知辛い世の中で孤独を感じている人の多いこと
そんななか、闇を抱えた店員が繰り広げる人間劇がたどたどしくも心地よい違和感を運んできてくれて暖かい気持ちになれました。
元教師のオーナーが経営するコンビニで、夜間働くことになった実直な記憶喪失のホームレス、二人までなら勝てるとか。夜勤って交代制じゃなく専属シフトなとこで働くってキツくないって思ったり、公務員を目指す親日派のアニメオタクの女子バイトに親しみ覚えたり、品揃えのパッとしない個人経営のコンビニの不自由さに飽きもせず訪れる人々。劇作家とか、冴えないサラリーマン等々。
おそらく笑いのツボがそこらかしこにあるんだろうと思いながらもツッコめない異国情緒に温度差を感じながらも結構溶け込めました。
後半すぎると面白さも増して、一つ一つのピースが埋まっていく毎に大切なものを取り戻していく思いがしました。
また、聡明に記憶を取り戻していく元ホームレスの店員、結構いいキャラ出してて親近感湧いてたのに。
最後の章で自分語りはじめて急にシリアスになり身バレしたときは人格まで変わってて、なんだかテンション下がってしまいました。
もう一度記憶をなくして欲しいって思ってしまった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
コンビニオーナーが落とした貴重品の入ったポーチを拾ったホームレス。
入っていた手帳から連絡して繋がりを持ったことからオーナーのコンビニで働くことになったホームレス。
彼にはお酒が原因で記憶がなかったのだがコンビニで働くにはお酒をやめることが必須だった。
彼は公務員試験を目指すアルバイトの若者から仕事を教えて貰い、短期間で習得し教え方が上手だからユーチューブに上げればいいと言う。
クレーマーをうまく追い払ったり、ゲーム浸りの息子に悩まされる初老の女性店員の話を聞いて、アドバイスする。
毎夜コンビニのテラス席で酔い潰れる営業マンにも親切に話しかけたり、それを見ていた近くに住む劇作家も奇妙なやりとりからスランプを脱する。
コンビニオーナーの息子が、自分の事業のためにコンビニを売り払うのに邪魔だという理由で探偵をつけて店員として働く男の正体を突き止めようとする。
彼がコンビニで働く人やお客さんと繋がっていくうちに思い出していく自分の過去。
思いだすたびにやはり自身を許せないわけで。
最後は、コンビニを辞めるのだか…。
結局、生きることは人間関係であり、人間関係とはすなわちコミュニケーションだった。
幸せは遠くにあるのではなく、自分のそばにいる人たちと心を交わすところにある。
そう気づき学んで身につけていった彼。
不便なコンビニでも誰かを結びつける役割を担っている。
悩みと困難を分かち合い、まだ生きるのに値するんだなと気づかせてくれる物語だった。
ゴマラーメンとトウモロコシひげ茶、買ってみたい。
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湖永さん
こんにちは。湖永さんのレビューを読んで図書館に予約して早数ヶ月…年末にようやく順番が回ってきました。韓国の小説は初めてでしたが、じ...湖永さん
こんにちは。湖永さんのレビューを読んで図書館に予約して早数ヶ月…年末にようやく順番が回ってきました。韓国の小説は初めてでしたが、じんわりと心に残る物語でした。紹介して下さって有難うございます♪2023/12/28 -
koalajさん コメントありがとうございます。
心に残るコンビニの話でしたよね。
共感できて嬉しいです。koalajさん コメントありがとうございます。
心に残るコンビニの話でしたよね。
共感できて嬉しいです。2023/12/29
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ブク友さんのレビューから気になって手にとりました。ご紹介ありがとうございます!
韓国の小説は初めてだと思います。韓国は行ったことがないし、ドラマや映画にもあまり馴染みがなく過ごしてきたので、受験が大変らしいというイメージくらいしか持っていませんでした。
この小説に出てくる人々の家族関係や就職先にまつわることなどから、韓国のお国事情がぽろっぽろっと垣間見えて、それは単に一例に過ぎないとしても、韓国ってどんな国なんだろ?と興味がわきました。
話の舞台はソウル中心部からは離れた、品揃えもあまりパッとしないコンビニ。客も店員も頻繁に入れ替わる場所。ここを訪れる客や働く店員、みんな何かしら悩みや過去の出来事を抱えて生きている。それがもどかしくもあり、悲しくもあり。人と人とが交わりながら変化していく人間模様が見事に描かれています。
ラスト近く、コンビニのオーナーの一言が心に響きました。「だけど、世の中ってもともとそういうものよ。生きること自体が不自由で不便なことなのよ」 -
“Kヒーリング小説”っていうジャンルを知っていますか?
コンビニを舞台にした小説のことです!
(ウソです…)
ホームレスを主人公にした小説のことです!
(ウソです…)
心が温まる小説のことです!
(たぶん正解です)
“Kヒーリング小説”というジャンルを確立した作品が本作『不便なコンビニ』
記憶喪失のホームレス「独孤(トッコ)」
彼はあることがきっかけでコンビニの深夜シフトのアルバイト店員として働くこととなる
独孤はアルコール性認知症だけでなく精神的トラウマで過去の一部を失っている
独孤という性か名前かもわからない名前
なぜホームレスになったのか
目を閉じて背を向けた過去に何があったのか
過去の自分が何者なのかわからないまま深夜のコンビニで仕事を続ける
仕事しながら気づき始める
生きることは人間関係であり、人間関係とはすなわちコミュニケーション
幸せは遠くにあるのではなく、自分のそばにいる人たちと心を交わすところにあることを
そして、記憶が蘇る!
独孤という名前について
過去の自分が何者なのか
全てを思い出した彼がとった行動とは・・・
記憶を失ったホームレスの店員と、癒やしや救いを感じたいとそこに集う人々の笑いと涙の物語
それが“Kヒーリング小説”!-
2023/11/07
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2023/11/07
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2023/11/07
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─── じゃあ……トウモロコシひげ茶を飲みなさい
とあるコンビニで働く人やそのコンビニに訪れる者たちを描いた物語。
最終章ALWAYSで描かれる独孤の過去やこれからはオーナーと共に背中を押したくなるようなそんなじんわりとあったかい気持ちになり、また少し勇気が貰えたような気もする。
1番印象に残っているのは4つめの「ワン・プラス・ワン」。最後の数ページでハッとさせられた上にとても心が温まった。
夜に外を歩いている時コンビニを見ると何を買うつもりでもないがとりあえず入ってしまうこの気持ちが少し誰かに共感して貰えたような気もした1冊。 -
帯に「Kヒーリングの傑作」とあり、いつもはしんどい韓国文学ばかり読んでるので。タイトルも秀逸だと思う。お客もまばらなコンビニに集まる風変わりな人たち。あるあるだなぁと。
『人生とは人間関係だ。人間関係とはコミュニケーションだ』と独孤さんは言う。
そのとおりだと思う。 -
ひょんなことからコンビニの深夜アルバイトをすることになったホームレスの男性と、深夜のコンビニに買物に来るお客さんたちの出会いの物語。
性別や年齢を問わず、誰もが受け入れられる幅の広いお話で、挫折した人たちが再起する物語。
結局、生きることは人間関係であり、人間関係とはすなわちコミユニケーションだ。幸せは遠くにあるのではなく、自分のそばにある人たちと心を交わすところにあるということを気づかせてくれる。
「不便なコンビニ2」が早く日本語訳されてほしい! -
冴えない人ばかりが出てくる、韓国のヒューマンドラマ小説。挫折した人々が、ある意味勝手に元ホームレスのコンビニバイト店員に救われているのが面白い。人は、意図せず人を傷つけ傷つけられ、また意図せず人を救い救われる。そんなよくある人間模様や都合の良い展開と並行して、世知辛い韓国社会も同時に描かれていることで、ビターな現実とささやかな希望のバランスが良い。
思わず個人的にぐっときたのが、『ボブ・ディラン自伝』からの抜粋文だ。
”ボブ・ディランは子どものころ、母方のお祖母さんからこう言われたそうよ。幸せとは、何かを目指して歩く道の先にあるものじゃない、道そのものが幸せなんだって。続けて、こう言い聞かされたんだって。誰もがつらい思いをして闘っているんだから、人に会ったら親切にしてあげないといけないよって”
ボブ・ディランのことは不勉強でよく分からないけど、この考え、なんか今の自分にすごい刺さった。。
読みづらい・分かりづらい・内容もつらい韓国文学も好きだが、たまにはそうじゃない本と思い手に取った結果、良質な韓国ドラマの群像劇を鑑賞したような読後感。韓国文学初心者におすすめ。 -
大事な物がたくさん入ってるポーチを落としてしまったコンビニのオーナー。
拾ってくれたのはホームレス。
そして人情深いのかオーナーはホームレスを自分の店に雇う。
彼が来てからのコンビニの悲喜こもごも。
コンビニで働く人やお客さんの思いがいろいろ変化していく。
その中で彼もちょっとずつ記憶が戻ってきて・・・
最後の章は、その前の章と一変して彼の苦悩の人生が語られいろいろ考えさせられる。
とても面白い内容だった。