さよなら、ムッシュ

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 228
感想 : 37
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  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093864671

作品紹介・あらすじ

話すぬいぐるみと出版社校正男子の友情物語

愛しい涙がとめどなく流れた。この本はきっとみんなの宝物。
--池田エライザさん(モデル・女優)
松本大洋氏がカバー装画が描きおろした、話すコアラのぬいぐるみと出版社校正男子の切なさMAXの友情物語。

小さな出版社で校正の仕事をしている森星太朗は、幼いころ他界した作家で母の文子が残してくれたコアラのぬいぐるみを大事にしていた。
そのぬいぐるみは、母が亡くなったその日、しゃべりだし、以来、無二の親友になっていたのだ(もちろん、世間には内緒にして)。
そんなある日、しゃっくりがとまらなくなった星太朗に大きな転機が訪れる。

感想・レビュー・書評

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  • トイストーリー3で泣いた人は泣いちゃうと思う。
    お母さんが作ってくれたコアラのぬいぐるみムッシュ。
    そのお母さんが亡くなった日に喋り動くようになったムッシュ。
    それから20年。ずっとムッシュと一緒にいたのに、余命半年宣言でムッシュをおいて先立たねばならない。せつない。
    死んでしまうということは大事なものを守れなくなる事。そうか、そうだよね。
    思い出作り、それぞれの思い、、せつない。
    私は思い出す。手放してしまったうさぎのぬいぐるみ、それが大人になる事だと思ってたけど間違いだった。

  • しゃべれるぬいぐるみムッシュのお話し
    サラッと読みやすく結末が何となく分かってたかど悲しかったです

  • 「20年間隠してきた、喋ったり動いたりする古いぬいぐるみの話」「泣く話」という情報と、優しく可愛い松本大洋の表紙だけで即買いした本。Amazonで届いたその夜読みはじめて、いっきに読み終えた。

    子供のようで、ときどき唐突に大人びたことを言うぬいぐるみの「ムッシュー」を好きにならずにはいられない!読んでいる間、脳内でいきいきと動き、喋っていた。

    そして、泣く件。そうか、この手のテーマの話(主人公が余命半年)だったのか… と気付いてからはちょっと構えてしまって「とはいえ泣かないのでは?」と思ってたけどやっぱ泣いた。あのシーンはずるい。そりゃあ、泣くよ。

    ぬいぐるみなんていなくて主人公が1人で生きていたら、こんなに死ぬのが辛かっただろうか。

    猫とか恋人とかじゃなくて「ぬいぐるみ」っていうのがミソだよなぁ〜。

  • 昔からずっと一緒のぬいぐるみがいる人は、姫ちゃんのリボンとかTEDとかトイ・ストーリーで泣くと思うんだけど、その類のお話。
    主人公の星太朗くんとコアラのぬいぐるみのムッシュはお互いだけが友達。ムッシュがとにかくかわいい。「せいたろ」って呼ぶとことか、本読んだり歌歌ったりAmazonで勝手に注文したりとか。二人が何回かけんかするんだけど最後の喧嘩でボロボロ泣いてしまった…二人は、離れていても、もう会えなくてもずーっと友達なんだと思う。

  • 「小さな出版社で校正の仕事をしている森星太朗は、幼いころ他界した作家で母の文子が残してくれたコアラのぬいぐるみを大事にしていた。そのぬいぐるみは、母が亡くなったその日、しゃべりだし、以来、無二の親友になっていたのだ(もちろん、世間には内緒にして)。そんなある日、しゃっくりがとまらなくなった星太朗に大きな転機が訪れる。」

     命と孤独と友情の話。星太郎いいな。私も星太郎に似ている。というのは、めっちゃ魅力的でキラキラした主人公・・というわけではなくてね。地味なんだけど、彼がホッとするもの、ちょっと好きなものに、なんか共感する。ムッシュの存在を知らない周りにとって彼は孤独で独りぼっちな男だったのかもしれないな、でも、ムッシュいたから彼は幸せそうだったな。どうかこの物語が彼の妄想ではなく、ファンタジーでありますように・・。
     この本を読んで泣くことはなかったが、いいなと思ったシーンや言葉、考えさせられることはたくさんあった。

    ーーーーーーーーーーーーー
    「どうしてお母さんがぼくをつくったのかは、わかるよ。」
    ムッシュは腕の中からぴょんと飛び降りて、庭に転がっていた軽石を拾った。それを使って、コンクリートの地面に文字を書く。

    子守熊

    とても大きくて、それに力強い字だった。
    「こもり、ぐま。コアラって、こう書くんだよ。」
    ムッシュはそう言って、星太朗を見つめた。
    「これからは、ぼくがせいたろを守るから。」

  • また逢う日まで。

  • 喋れるコアラのぬいぐるみ・ムッシュ。大人になっても相棒のふたり。唯一の家族で親友でもうひとりの自分自身のようでもあって。大事な人と過ごす時間はかけがえのないもの。何にも変えられないもの。大事な人との大事な時間を大事にしたい。そして松本大洋の絵がたまらない。

  • だいぶ前に読んだもの。登録もれ。母が死んだ日からしゃべるようになったコアラのぬいぐるみムッシュと死を間近にした主人公の別れまでの物語。

  • いつも近くに、こんな心の支えが居てくれたら嬉しいね。
    タイトルから 2人の別れがあることは予想できるけど、わかっていても、切なく、悲しい。

  • 終わりに近付くにつれて、涙が止まらなかった。
    主人公の2人がお互いを思い合う気持ちが痛いほど伝わって、温かい気持ちになれる。
    思わず微笑んでしまう2人の素敵な日常と2人に突きつけられる悲しい現実が絶妙に描かれていて、さらっと読むことができる。
    読み終わるとこの2人がとても愛らしく感じる。

  • 大人になってもぬいぐるみを手放せない。
    恥ずかしいこと、大人になりきれていない証拠。
    そう思われるのが怖くて人には言えませんでした。
    家族の一員だから。
    星太朗の気持ち、とても良く分かります。
    私もいつか決断するときが来るのだろうかと考えてしまいました。

  • 読んでる間、ずっと穏やかな時間が流れてた。

  • 絶対映像化するやん〜!っていう印象。ムッシュが愛くるしくて、主人公が頼りないくせにやる時やるやんって感じで好きになってしまう。
    コアラのマーチを食べたくなってスーパーに走りました。

  • これ、絶対!泣くやつやん!て本

  • 星太郎はずっと亡き母の作ったコアラのぬいぐるみと暮らしていた。
    ぬいぐるみの名前はムッシュ。
    話せて動く不思議なぬいぐるみ。…

    話せるぬいぐるみの話、と知って、素直に読めるかしらと世の中の色々を知る大人の私は心配してました。
    そんな心配はよそに、ぐっと胸を捕まれ、純粋にその世界に身を置く時間を過ごしました。

    人が余命を宣告され、時を受けいれるまでの時間が、とてもリアルに、でもムッシュのおかげで、夢のように描かれています。

    守るものがあれば人は強くなれる、でも守れなくなることが一番怖いこと。

    ムッシュのおかげで、星太郎は最後の時間を強く生きたのだと思います。
    優しいお話でした。

  • 子守熊。「こもり、ぐま。コアラって、こう書くんだよ。これからは、ぼくがせいたろを守るから」母のお通夜の日に、母が作ったコアラのぬいぐるみがしゃべり出した。それから、コアラのムッシュが星太郎の友だち。20代という若さで余命を宣告されてしまった星太郎に、ムッシュは寄り添い続ける。死ぬまでにやりたいことを壁にマジックで書き、1つずつやっていく。バカらしくて笑ってしまったり、切なくなったり。私もムッシュが大好き!涙くんさよなら。さよなら涙くん。「見えなくても、星はそこにあるんだよ」

  • 小さな出版社ろば書林で校正として働く森星太郎。母、祖父が亡くなり1人で暮らす団地に帰ると「おかえり」とムッシュの声がする。母が作ったコアラのぬいぐるみムッシュは星太郎の妄想でもなく他人にも声が聞こえ、動けば見える、それを隠して20年生きてきたがー

    ◆生きてるぬいぐるみムッシュ、それでタイトル「さよなら、ムッシュ」て何それ、出落ち?と、どんなパターンのさよならか考えてドキドキしながら。
    小生意気な子守熊がなかなか深いことを言う。
    お母さんエピソードが可愛い…。
    うおぉぉ!!⑤、ちょっとやってみたい…ww

    パピプペポにしか付かない〇、考えたこともなかった。

    「大人になるのはいいことばかりじゃない、だいたいの人は体が大きくなるぶん、心は小さくなっちゃうからね」

    死や病苦を扱う作品には斜に構えるけど、こんなにも悲壮さを感じない日常と、反対に「死ぬのが怖い理由」をこんなにハッキリ具現化されての本心と、ムッシュの行動に涙が出てしょ-がない(T_T)

  • 母が亡くなった日からしゃべりだした、ぬいぐるみの〈ムッシュ〉。
    ふたりはずっと友だちだった。
    幼いころからずっと一緒だったふたりの、ほのぼのしたやりとりがよかった。
    時にけんかをしながらも、おたがいに対する友情と愛情がある。
    せつない別れだけど、それまで積み重ねてきたふたりの時間が感じられ、読後感はあたたかか。

  • 母の手作りのコアラのぬいぐるみムッシュ.母亡き後共に育った20年の絆,思いが昭和のヒット曲を静かに響かせながら,心に届く.死ぬことよりも,別れることでお互いをもう守れなくなることが悲しいという気持ちが心にせまってくる.ムッシュが本当にかわいくて素敵だ.

  • どこか懐かしくて、あたたかい。 出版社で校正の仕事をしている星太郎と亡き母が残したぬいぐるみのムッシュ。幼い頃からいつも一緒にいた2人に別れが近づいたとき、「ひみつノート」に書いたリストを実行していきます。「死ぬのが怖いのは、どうしてだろう。それは、大好きな人と、別れないといけないからだ。」今を、周りの人たちを大切にしたいと思える、最初から最後までページをめくる毎にうるっとしてしまう本でした。
    OPACへ⇒https://opac.musashino-u.ac.jp/detail?bbid=1000109549

  • ムッシュが愛らしくて仕方ない。

  • お互いが、相手のために何が最善か考え続ける姿にグッときた。

  • 最初はあんまり…と思っていたけれど、終盤ぼろぼろ泣きながら読んでた。
    こんな本だったって人に説明しようとしたら、また感極まって泣いてしまった。
    文章が特別うまいとは思わないけれど、ムッシュと主人公の関係と、ムッシュの生まれたときを思うとなんだか泣けてくる。

    コアラって漢字でどう書くのか知ってる?

  • 2017/10/19 10:48
    ムッシュと星太郎の優しい話。
    残されたいのちの使い方。生きることをあきらめない。
    松本大洋の装画に一目惚れして買った本。

  • 主人公・星太郎の前でだけ喋って動くコアラのぬいぐるみ・ムッシュ。
    作家の息子であり、校閲者である星太郎は母と同じ癌に侵される。
    自分の余命があとわずかであるとわかったときに、何が一番嫌か。
    すごくあったかくてよい本。

  • 読みながら何度も泣きました。
    大事な人のことを考えるって素敵なこと。

  • 読み終わっても涙が止まりませんでした。
    生きるうえで大切な何かを、改めて気付かせてもらった気がします。

  • 優しい言葉で紡がれていて、読んでいて本当に心地が良く気持ちがほっこりする。
    言葉ひとつひとつが、じんわりとしみこんでくる気がする。
    でも、ときおりクスっと笑わされムッシュのおっさんなんだか子供なんだかよくわからない人となり(コアラのぬいぐるみだけど)に癒される。
    星太郎も心の優しい青年で、ムッシュを大事にする気持ちがとても伝わってきて良かった。

  • 小さな子どもがぬいぐるみと「会話」をすることで心が成長していく物語、なのかと思いきや。
    「ドラえもんとテッドを足しで2で割ったような」と書いてあるけれど、ドラえもんよりテッドよりずっとずっとムッシュが好きだ、はるかにムッシュが好き。
    誰もが小さいころに持っていた「心の友だち」を、こんな形で肯定してくれてありがとう、とまずは言いたい。そしてそんな「心の友だち」をこういう形で残してくれて、本当にありがとう、と。
    生きていることやこらからも生きていくことが苦しくなったとき、例えばそばにムッシュがいてくれたらきっと救われるだろう。ムッシュがこの世のどこかにいる、苦しんでいる誰かのそばにいる、そう思うだけで少し心が楽になる、そう思った。

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著者プロフィール

1982年北海道生まれ。2014年に映画『1/11 じゅういちぶんのいち』で商業監督デビュー。脚本家として映画『きいろいゾウ』『町田くんの世界』『ノイズ』『線は、僕を描く』、ドラマ『ネメシス』『消しゴムをくれた女子を好きになった。』等に参加する他、小説も執筆。著作に『さよなら、ムッシュ』『あなたの右手は蜂蜜の香り』『ひとでちゃんに殺される』があり、『その殺人、本格ミステリに仕立てます。』が刊行予定。

「2022年 『この子は邪悪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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