- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093865470
作品紹介・あらすじ
心に美味しい、人生応援小説全5編!
★「お願いおむらいす」 音楽への夢を捨てきれないまま、追い詰められて就職した太一。音楽雑誌の出版社に就職したはずが、全然違う仕事に就くハメに。それでも頑張ってしまうマジメな太一が気づく大切なこととは。
★「キャロライナ・リーパー」 久しぶりに会う大好きな姉と疎ましい父親。突然聞かされた姉の悲しいニュースに、心は乱れる。対照的に歩んだ女性の生き方、悩みをホロ苦く描く。
★「老若麺」 ラーメンの名店「紅葉」ぐるフェス店を任された天翔と崇。だが、どうしてもあの味を出せず客は集まらない。そんなとき事件が起こり、ある秘密が解き明かされることに。
★「ミュータントおじや」 美優は自他共に認める崖っぷちアイドル。大ファンだという女子中学生と出会い、行きがかり上その子の面倒をみることに。自分を押し殺して生きてきた美優の思いとは。
★「フチモチの唄」 50代後半にしてまさかのリストラになってしまった浩。大切な家族を守り切れない自分に苛立つ。最愛の母の命が長くないことを知り、彼が下した決断とは……。
秋のある日、「ぐるフェス」に集う人々の人生模様を生き生きと描く。心がほわっと温まる全5編。
【編集担当からのおすすめ情報】
人物描写が生き生きとして、台詞が冴えている。今回の作品では、その中澤さんの魅力が全開です。
人間の「生きる」ことへの葛藤や課題がぎゅっと詰め込まれ、登場人物たちのキラキラした瞳が見えるようです。
仕事、家庭、健康、介護……悩み、傷つき、葛藤を続ける登場人物の中には必ず共感できる人物がいるはずです。
ポップで明るくて熱い!でも、そこには確かな人間の息づかい、想いがあります。読後、元気になれる、人生の応援歌をお届けします。
感想・レビュー・書評
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「ここで、この場所でせいいっぱい生きることが、きっと確かな明日へと繋がっていく。」
とあるグルメフェスティバルを舞台に、様々な世代の男女達が自分の生き方について悩みもがきながら、進むべき道を模索する連作短編集。
誰もが感じるであろう「こんなはずじゃなかった」という思い。燻る気持ちをどうにもできず、自分の居場所はここじゃないのに、思うように飛び立てない。そんなジレンマを、通称「ぐるフェス」に集う人々に重ねて描くのがうまいなぁと思った。連作短編形式だから、次はどんなキャラが主役なのかなというワクワク感。挫折する姿に胸が痛くなったり、根拠のない自信に青臭さ(と懐かしさ)を感じたり、読む世代によって共感ポイントはそれぞれ異なるだろうけど、こちらもちょっと元気とやる気をもらえる。
一番心に響いたのは、書き下ろしの最終章「フチモチの唄」だ。高齢の母を後悔なく見送りたい…介護のリアルさも伝わり、家族についてものすごく考えさせられる内容に胸がいっぱいになった。
生きていれば色んなことがあるよなぁ…当たり前だけど。それぞれの人生が、ぐるフェスでちょっとずつ重なり、お互いの知らないところでさり気なく影響を与えていたり。自分の周りにも、そんなことがあるかもしれないよなと思える、心がじんわり温まる一冊だった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
食をテーマにしたほのぼのとした物語。
読み終わると前向きな気分になれますね。
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いい話だった
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オムニバス形式で楽しく読めました。
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悪くはない、最後まで読めた。
既視感。
なんかこういう話ってありがち。
最後の話では、どこにそんなお金と余裕があるんだろうか?と学費にきゅーきゅーとしている当事者てきには、ぽかーん。
まあ、いい話でした。 -
中澤 日菜子さん、初読み。
「お願いおむらいす」「キャロライナ・リーパー」「老若麵」「ミュータントおじや 」「フチモチの唄」
5話収録の連作短編集。
物語の舞台はあらゆる食のお祭り<ぐるフェス>。
そこに集う人々の人間模様が描かれている。
夢を諦めきれないまま、自分の意志とは異なる会社に入社した青年、突然4歳違いの姉の病気を知らされた女性、崖っぷちアイドル、リストラされた50代後半の男性など、年齢も性別も様々な人達の葛藤だが、いつ誰に起きてもおかしくない事柄だ。
「食」を慈しみ、前へ歩み出す登場人物達に光を感じた。 -
フェスを巡る連作で、最後の話とさいしょのはなしが輪っかのようにつながる構成。
気負わず読める作品。 -
3.3
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B級グルメフェスティバル、通称「ぐるフェス」を舞台に繰り広げられる群像劇。5話からなる。
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各話とも主人公と、その主人公に関わる人たちの悲喜交々の人生が軽快なタッチで描かれていて読みやすい。
もちろん彼らが抱えている問題には大小様々あり、2話目と5話目は少しばかり深刻です。
それでも自分なりに折り合いをつけ、何とか前を向いて生きていこうとする人たちを描くラストは微笑ましく元気づけられました。
ただ第1話のエアギターは展開としてナイと思いました。無理感半端なし。