レッドゾーン

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  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093866477

感想・レビュー・書評

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  • ・ヒーローとは本来なら縁遠い、一介の凡百の内科医の話し。だからこそ深い。
    ・コロナを診ないと声を上げることが、今の日進はどうしても難しい場所にいる。本来の自分とは異なる小さな状況がある。ひとつひとつを挙げれば、小さな問題かもしれない。けれどもひとつひとつを合わせたものが、日進の人生というものである。それらをすべて投げ出して、家族は守ったぞと胸を張っている姿も、どう考えても自分とは思えない。
    ・知らないことが多すぎる。できないはずなのに、理解ていると思い込んでいる人の多いこと。を伝えるための第二話。
    ・「コロナの人、助けてあげなくていいの?」困った人がいたら手を差し伸べる。それは医師としてのつとめではなく、人間のつとめ。
    ・何が正しいのかはわからない。ただ先生方が間違っているとも思えない。

    ・映画化した時のキャストを妄想してしまう。楽しい。
    日進先生は、SPの松尾諭
    富士先生は、白い巨塔の品川徹



    信濃山病院
    敷島 消化器科医師
    四藤 看護師
    日進 肝臓内科医師
    三笠 内科部長
    常盤 小児科医師
    春日 神経内科医師
    音羽 内科医師、女性医師
    富士 循環器内科医師、最高齢
    龍田 外科医師、ラガーマン
    千歳 外科科長
    高千穂 麻酔科医
    吾妻 整形外科科長
    南郷 病院長

    筑摩野中央医療センター
    朝日遼太郎 呼吸器科責任者、敷島の先輩

  • 臨床の砦の続編かと思ったら、あれより前の話。
    これだけ絶望的な状況で踏みとどまった登場人物達の未来があれかと思うと涙を禁じ得ない。無力な自分が不甲斐ない。

  • 長野の公立病院のコロナ医療を受け入れ開始当初の物語。

    未知のウィルスによる診療の苦闘が見事に描かれていると思います。
    本当に医療従事者の方には感謝と尊敬しかありません。
    本書は第三波を描いた「臨床の砦」の前日譚とのことですので、「臨床の砦」も読んでみたいと思いました。

  • 未知の感染症に立ち向かう医療関係者。現在も広がる。感染患者にならぬよう、あの頃を忘れずに予防に努めたいと思う。

  •  得体の知れないものに出会った時に人はどう感じ、行動するのか?

     これは現代においては物語や小説の中でしか体験できなかったが、このウイルスの現実への登場により、我々も本を読むことなく直面することになった。

     この本はあくまでも物語であるが、かなり実際の時系列に沿って人の心の動きの例を示している。ある意味小説としてよりもよりリアルなものである。

     個人的な感想として、自分も同様な会話を家族としていたのも懐かしい。このように懐かしむことができるのも、生き延びたからであり、初期は隣に死がありうるということを意識した。

     また、大衆の心理の描写もあるがまさしく当時はその通りであり、皆自分の正義のもとに行動していた。ただその正義の基準は時に曖昧であり、更新すべきものであったのだが、頑なにこだわり殻に閉じこもる者、時間と共に正義の軸が不安定になり精神が潰れた者、闇落ちした者、なんとかしがみついている者、享楽的に生きている者など、様々である。

     真実は人の数だけあるが、過去となった事実は一つである。

     これからも、悩み考え生きていく。

  • 新型コロナ感染症に挑む医師の葛藤

    第一話 肝臓内科医師 日進が新型コロナ診療(レッドゾーン)に加わるまでの葛藤

    第二話 外科医 千歳が新型コロナ診療に加わるようになるパンデミック
     旅行で新型コロナに感染した患者さん:どこに行っても、私の居場所なんてないと思っていた

    誰も診たことのない疾患なら、普段は頭を使わない外科医でも、なんとかなるでしょう


    第三話 ロックダウン状態となり病院全体の医師で診療をおこなっいく

    沈黙の壁を越えるのは難しい

    病める人がいるのなら、我々は断るべきではない。たったそれだけのことかもしれません

    これは誠実さの問題なのだ


  • コロナの対応に追われる医師たちの姿が描かれている。医師の覚悟がとても伝わってきた。長野の片田舎にある救急センターで急遽コロナを受け入れることになり専門でも無い医師たちがコロナに怯えながらも勇敢に治療をしていく様は今後自分も見習うべき姿だと感じた。今となってはコロナを軽視しているが発生した当時は未知のウイルスで治療も確立してない中で患者を診るのはとても勇気のいることだったんだろう。当時の医療従事者たちの疲労すごかったんだろうな。誰も診ないという判断をした中誠意という理由で診ることを判断した敷島が凄い

  • コロナの中では、どの立場の人も判断に迷いながら、自分にできることを考えて最善を尽くしてきたと思う。
    ただ本当に命をかけて戦ってきた人たちの過酷な日々を知ることができた気がする。
    「代替案のない反対は意味がない」というセリフに共感した。

    ハードカバーで重かったけど、読んでよかった。

  • 小説というよりもドキュメンタリーのように書かれている

    新型コロナ患者を受け入れるか否か、葛藤の中、この病院は受け入れるが、家族から拒否されたり、子供がいじめられる心配などからその決断は簡単ではない

  • クルーズ船でクラスターがおき、新型コロナウイルスの流行の兆しが見え始めた頃の医療現場の話である。まだその正体もはっきりとわからぬ、コロナ感染症の患者を受け入れる、と決めた地方病院の闘いが、その深刻さ、悲惨さとは裏腹に、爽やかに綴られている。それだけに、全体に軽い印象を受けるが、私にはこのくらいでちょうどいい。不幸すぎる物語は好きではないので、希望の持てる終わり方でほっとした。

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著者プロフィール

1978年大阪府生まれ。信州大学医学部卒業。長野県にて地域医療に従事。2009年『神様のカルテ』で第10回小学館文庫小説賞を受賞しデビュー。同作は10年に本屋大賞第2位となり、11年には映画化もされた。著書に『神様のカルテ2』『神様のカルテ3』『神様のカルテ0』『新章 神様のカルテ』『本を守ろうとする猫の話』『始まりの木』『臨床の砦』『レッドゾーン』など。

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