- Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
- / ISBN・EAN: 9784093885676
作品紹介・あらすじ
ある日、太平洋を越えて種豚がやってきた
本書は食をめぐる本格ノンフィクションであり、同時に日米の貿易問題を理解する解説書です。
「侵略する豚」は、小学館のWEBマガジン「ブックピープル」で57回にわたり連載されました。その間誕生したトランプ政権はTPP離脱を決め、それに代わる日米交渉はさらに厳しくなると予想されています。また、中国国家主席の習近平は米国との距離を縮め、著者の分析通りなら食料戦略で足並みをそろえようとしています。
その米中の意図と日本が抱えるリスクを、著者は豚肉を題材に徹底取材しました。
日本が豚肉の市場として米中の草刈り場になるのではないか、いやそれどころか食料自給率がどんどん下がり、日本は米中に胃袋をつかまれ身動きが取れなくなるのではないか―。取材を元に著者はそう警鐘を鳴らします。
幕末の日本を皮切りに、アメリカへ中国へ。緻密な資料調査と丹念な取材で、時空をまたぐ物語となった本作品。1960年代、アメリカの種豚が援助の名の下に日本に送られたエピソードは圧巻です。
【編集担当からのおすすめ情報】
関連する著者の作品『食料植民地ニッポン』が小学館文庫になりました。アメリカをはじめ南米、東南アジア、中国の「日本向け食品」の製造現場を取材した一冊です。
https://www.shogakukan.co.jp/books/09406448
感想・レビュー・書評
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養豚に関わってた人間なら絶対面白い(interesting)な本。
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表紙の絵は、1960年にアイオワ州(米国)から山梨県に送られた35頭の豚に基づくものです。まあ、言いたいことは理解できないでもないけど、全体としてまとまりの無い文章です。
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戦後の日本の食料自給率は、最高点の79%から年々低下し、今や37%に滑り落ちている。食料はほとんどアメリカなど外国からの輸入に頼り切っている日本。本作は、国のこうした状況に警鐘を鳴らしている。
主に「食肉」という観点から、日本がいかに海外の畜産農家に頼りきっているかを読者に示す。
食肉や関税などを巡る様々な現状ももちろん興味深かったが、後半に語られる習近平国家主席の半生エピソードに一番驚いた。冷血無慈悲なリーダーという、自分の勝手なイメージとはかけ離れた話ばかりだった。
様々な苦境を乗り越えて今の地位についたのだと知り、もっと中国や彼自身のことを知りたくなった。
新しい知識の詰まった一冊だった。 -
アメリカ農業戦略
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ダイヤモンド2018112掲載
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不思議なタイトルと漫画のような表紙のイメージと異なり、至って真剣な本。
米国の穀物・畜産物の輸出戦略、産業戦略の巧みさ、それと裏腹な日本の農業政策・食糧安保の拙さを、丁寧な調査報道で伝えてくれる。圧倒的な物量と戦略を持つ米国に対して、個人の農家の技と精神力にすがって無策であった日本。先の大戦と同じ構図なのかと暗澹たる思いがする。
幕末期の水戸藩主・徳川斉昭や徳川慶喜が肉好きだったなど、本文とは関係ない話も多いが、読み物としても楽しめる。 -
敗戦から72年経った今でも、アメリカの思うがままになっている日本。
おそらくこれからも。
食糧は生きていくために一番必要なものだ。
それをアメリカばかりでなく、中国にまで握られたら。
希望的なことは何も書かれていなかった。
国民一人一人は、よく頑張ってると思うのだが、政治の力がなさすぎる。
でも、その政治家を選んでるのも国民なのだから仕方ないか。
頑張っている国民も、多くは奴隷根性なのかもしれない。奴隷の頑張りなのかもしれない。
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米国産の肉が輸入されている
むろん、社会問題としてとらえる。
その発端を
「桜田門外の変」
から論じ始める。
おやっ と 思わせられて
その歴史的な事実、
その背景には水戸の老公斉彬の
「牛肉食嗜好」があった
へえーっ と 思わせられる
そして、
わずか70年前の
敗戦直後の日本を従属させるための米国の巧妙な食料政策にも関連付けられていく
圧巻は
米国に飛んでの現地の畜産・農業従事者への取材、
TPPに絡む米国の畜産、農業事情が詳細にリポートされる。
同時進行して、
中国に飛んで現在の習近平政府で行われている、世界を視野に置いた中国の飼料用の農業事情、役人事情のリポート
が続く。
米国、中国が位置づけている食料政策
そこを論ずれば論ずるほど
食料の自給率をほとんど
他国に依存している、
食料弱者としての日本が、
この国の脆弱性が、
浮き彫りになってくる
私たちは
何を 食べていくのだろう
私たちは
どこに 向かっていくのだろう