南の国のカンヤダ

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 62
感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093886284

作品紹介・あらすじ

スタジオジブリ鈴木敏夫の初小説

スタジオジブリ鈴木敏夫初のノンフィクション小説ーー

どこまでも続くパクトンチャイの田園風景を見ながら散歩をする。
だんだんと日が落ちていき、夕方になると、大人たちは誰かの家の庭先に自然と集まり、酒盛りをはじめる。子どもたちは近くの川で水遊びをして、はしゃいでいる。そうした風景を見ていると、なぜか子ども時代に夏休みに帰省したときの思い出がよみがえってくる。

その街で大家族と暮らすシングルマザーのカンヤダは、真っ直ぐ正直に生きている。端から見たら不器用だ。もっと上手に生きればいいのにと思う。だけど、彼女は決して、自分の生き方を変えない。

でも、だからこそ私は彼女に惹かれていった。

【編集担当からのおすすめ情報】
スタジオジブリプロデューサー鈴木敏夫さんが都内のマンションのエレベーターで、偶然知り合ったタイ人のシングルマザー・カンヤダをめぐる物語です。

女性セブンで2017年3月から2018年1月まで連載していたものに加筆修正をし、さらに、今年4月に亡くなられた高畑勲さんとのエピソードも書き下ろしとして収録予定です。

連載時、鈴木さんは「書いていて、本当に楽しい」と何度も話されていました。心の底から楽しんで書いたからこそ、いままでに語られていない鈴木さんの家族観、人生観を知ることのできる一冊になっています

感想・レビュー・書評

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  • 読んでびっくりしたわい。
    ジブリの鈴木プロデューサーの本だし、これは相当にいいことが書いてあるのでは?と期待大で読んで……ずーーーーっとカンヤダの話!(笑)
    まぁタイトルになってるので、カンヤダの話ばかりで間違いはないんだけど、このカンヤダさんも普通にわがままな女性で、魅力を感じず。

    でも鈴木プロデューサーしかり、周囲の人はカンヤダさんを魅力のある人だと見ている。そこが不思議!
    結局カンヤダは美人なんだろうな。だからわがままでも好かれる。
    あとは鈴木プロデューサーがカンヤダを大事にしてるから、仕事上どうしても好きだと言わなければいけない周囲、って感じかなぁ…。

    でも鈴木プロデューサー、エレベーターの中で見た女に一目惚れして金まであげるなんて…普通の変態ジジイっぽいよ…(苦笑)
    金は腐るほどあるからいいんでしょうけど…
    それで金もらって好き放題のカンヤダも読んでて腹がたつ。

    そんで最後はトトロカフェだぁ!?
    ジブリはオメーの私物かよ!?っていう…

    鈴木プロデューサーの見方が変わった本。

    そして人生は不公平だと改めて教えてくれる本。

  • 恵比寿のマンションのエレベータの中で偶然出会ったタイからの留学生であるカンヤダに鈴木敏夫さんは何故興味を持ったのだろうか?この偶然の出会いから一冊の本が出来てしまうくらいなのだから、よっぽどのことなのだろう。それがこの本を手にとった動機だった。
    タイからやってきた「自己中な」女性に鈴木さんを含めた沢山の人達が振り回される喜劇と読んでも充分に面白かった。でもやはり何と言ってもカンヤダその人から発散されるそのオーラに惹きつけられた。「自分の気持ちに素直に生きる事に命を賭けている」カンヤダには今の日本人の多くがなくしてしまった何かがある。ちなみにカンヤダは鈴木さんの身近にいる人とある共通点があるらしい。
    タイの女性が外国人と結婚する事情やその背景にあることからレヴィ=ストロースの「野生の思考」まで、"カンヤダ分析"のために話は縦横無尽に広がりとても面白い。

  • ジブリのプロデューサー、鈴木敏夫さんが娘のようにかわいがって面倒を見ている女性、カンヤダの物語。

    カンヤダは、タイの田舎町に住む女性
    女優・安田道代さん似の美人。
    一人息子、母、そのパートナーおじさん、弟がふたり、弟嫁妹、祖父母。家族全員をひとりで養っている。
    シングルマザー。

    ファッションセンスがよく、子供の頃から下着以外服は自分で選んできた。
    記憶力がよく、自分の身に起きたことは正確に覚えている。
    家族のために職を得ようと日本に留学した経験がある。

    友人に言わせると自己中で、わがまま。
    言うことがころころ変わる。
    辛抱がない。
    失敗や挫折を運がなかったせいにする。

    家族が何より大切。
    家族を養うために働きたいという強い思いがある。

    カンヤダは過去を振り返らない。
    カンヤダは未来を憂えない。
    常に、今ここのことに集中している。
    カンヤダは自分自身のことを深く考え、理解している。

    奔放でエネルギッシュなカンヤダに、鈴木プロデューサーを含め、いろんな人が振り回される。
    悩んだ末に、カンヤダのそばを離れていく人もいる。
    それでも、最後のページを読んだ時、不敵な表情で笑うカンヤダの姿が見えた気がした。
    かっこよかった。

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著者プロフィール

スタジオジブリ代表取締役プロデューサー。1948年、愛知県名古屋市生まれ。
徳間書店で「アニメージュ」の編集に携わるかたわら、1985年にスタジオジブリの設立に参加、1989年からスタジオジブリ専従。以後、ほぼすべての劇場作品をプロデュースする。宮﨑駿監督による最新作『君たちはどう生きるか』(23)が、米・ゴールデン・グローブ賞のアニメーション映画賞を受賞した。「仕事道楽 新版──スタジオジブリの現場」「歳月」(ともに岩波書店)、「スタジオジブリ物語」(集英社)など、著書多数。2021年、ウィンザー・マッケイ賞を受賞。

「2024年 『鈴木敏夫×押井守 対談集 されどわれらが日々』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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