木に学べ 法隆寺・薬師寺の美(小学館文庫) (小学館文庫 R に- 12-1)
- 小学館 (2003年11月7日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
- / ISBN・EAN: 9784094058512
感想・レビュー・書評
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古い建造物だからという理由で、法隆寺を訪れる人がほとんどでっしゃろ。それではあきまへんな。それなら、そこら辺にある石や砂を見たほうが古いとちゃいまっか?
自然というものを理解し、受け入れて、ありのままの自然でモノを立てる。一見単純そうに見える行程であるが、職人や技能者が最も大切にするべきものが垣間見えた気がした。おおきに。詳細をみるコメント1件をすべて表示-
ノートさんおおきにおおきに2020/03/18
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まさに題名の通りの内容。
読んだらまずは法隆寺に行きたくなる。そして薬師寺。行けないなら、近場の木造の寺院に行きたいと思ってしまう。
宮大工の仕事や、修繕などの話も語られてるし、寺院の構造、時代ごとの思想や技術、仕事の話も語られていて、内容が濃い。それでいて読みやすい。面白い。
語られてるのは宮大工の仕事を中心にした内容なんだけど、考えさせられることがたくさん載ってる。
アジャイル開発のおすすめ本の中の一冊だったから読んだんだけど、私の中でこの内容をアジャイルに紐付けるには理解力が足りてないみたい。でも、それを抜きにして、読んで良かった。 -
めちゃくちゃ感動しました。
最後の宮大工の棟梁と言われた、法隆寺、薬師寺宮大工棟梁の西岡常一さん。
飾らない語りの中で話される、自然へ敬いや礼儀、仏の心で建立する本当の意味とはなど、読んでいるこちらがピシッと襟を正されるという感じ。
昔堅気の偏屈爺さんという印象だけれども、人に対してはもちろん、地球上の万物全てに対して心を持って接していくことを説いてらっしゃる。
怖いけど、決して見限ることをせず木でも人でも最後まで育てることを信条とされていて。
仏教の教えとは、誰でも如来になれる、心がけ次第で誰でも仏になれる。それを学ぶ場として法隆寺が建立されたという話に本当に感銘を受けました。
建てられてから1350年を経過して未だなお、当時の姿を私たちに見せてくれている法隆寺。
どんな詳しいガイド本よりも!この本こそが法隆寺、薬師寺に行く時の最強、最良のガイドになってくれると思います。
早くこの本持って法隆寺見に行きたい!!!
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何回も再読していきたい。
今回のまとめは22ページまで
〈本から〉
鹿はヒノキが好物
日本の風土にヒノキは合ってた
ヒノキのええとこはね、第一番に樹齢が長い
こんなに長い耐用年数のものはヒノキ以外にはありませんわ。
わたしどもは木のクセのことを木の心やと言うとります。風をよけて、こっちへねじろうとしているのが、神経はないけど、心があるということですな。
お釈迦様は気がついておられた。「樹恩」ということを説いておられるんですよ、ずっと大昔に。
それは木がなければ人間は滅びてしまうと。人間賢いと思っているけど一番アホやで。
自然を忘れて、自然を犠牲にしたらおしまいでっせ。(p22)
以下、続く
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職人の心意気、仕事への向き合い方、襟を正されました。
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大好きな一冊。
仕事についてのこだわりが感じられ、自分もこうありたいと思える。 -
奈良の法隆寺などで活躍した棟梁のインタビュー
代々受け継がれた技術と教え。残念ながら無くなっていくものがあるんだろう。
法隆寺、未来に残せるか心配になった。
学者さんとの喧嘩、なるほどと思った。梅原さんの法隆寺の本読んだけど、いろんな見方あるんだな。
確かに受け継がれた棟梁の推測の方が納得できる。 -
法隆寺最後の棟梁のお話。
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1000年を超える時間を過ごし、いまも存在する建築。その建築が重ねてきた時間を受け止め、それを次の世代へ届けようと、一生をかけて対峙してきた宮大工棟梁が語る言葉。それは、いまを生きる僕たちが同じように繋いでいかなければならない、僕たちの役割を考えさせるものだと思う。
建築という世界だけの話ではない、この国で生まれ、この国が築いてきたもの。国という括りすら関係なく、人が生きて、受け継がれてきて、いまここにあるこの世界。僕たちはただ今を生きていくだけではなくて、渡されたバトンを次の世代に届ける責任があるんだということに気付く。
僕たちはどんな世界に生きたいんだろう。
僕たちはどんな世界を次の世代に手渡したいんだろう。
そんなことを、考えて、見つめて、向き合っていかなくちゃならない。
棟梁の言葉は、僕たちにそんな問いを投げかけてきているような気がしてならない。
法隆寺を見た。
遥か彼方に誕生し、いまこのときまでここに佇んできたもの。それが作られた技術、支えてきた技術。そして、そこに込められてきた祈り。そのことに思いを馳せ、僕たちは僕たちの中の心に気づかなければならないはずだ。
木を知り、木と対話し、建築を作る。
技術者ではなく、技能者として、建築を作る。
職人としての生き様、誇りに憧れを抱いた。