木に学べ 法隆寺・薬師寺の美(小学館文庫) (小学館文庫 R に- 12-1)

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  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094058512

感想・レビュー・書評

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  • 古い建造物だからという理由で、法隆寺を訪れる人がほとんどでっしゃろ。それではあきまへんな。それなら、そこら辺にある石や砂を見たほうが古いとちゃいまっか?
    自然というものを理解し、受け入れて、ありのままの自然でモノを立てる。一見単純そうに見える行程であるが、職人や技能者が最も大切にするべきものが垣間見えた気がした。おおきに。

  • まさに題名の通りの内容。
    読んだらまずは法隆寺に行きたくなる。そして薬師寺。行けないなら、近場の木造の寺院に行きたいと思ってしまう。
    宮大工の仕事や、修繕などの話も語られてるし、寺院の構造、時代ごとの思想や技術、仕事の話も語られていて、内容が濃い。それでいて読みやすい。面白い。
    語られてるのは宮大工の仕事を中心にした内容なんだけど、考えさせられることがたくさん載ってる。
    アジャイル開発のおすすめ本の中の一冊だったから読んだんだけど、私の中でこの内容をアジャイルに紐付けるには理解力が足りてないみたい。でも、それを抜きにして、読んで良かった。

  • めちゃくちゃ感動しました。
    最後の宮大工の棟梁と言われた、法隆寺、薬師寺宮大工棟梁の西岡常一さん。
    飾らない語りの中で話される、自然へ敬いや礼儀、仏の心で建立する本当の意味とはなど、読んでいるこちらがピシッと襟を正されるという感じ。
    昔堅気の偏屈爺さんという印象だけれども、人に対してはもちろん、地球上の万物全てに対して心を持って接していくことを説いてらっしゃる。
    怖いけど、決して見限ることをせず木でも人でも最後まで育てることを信条とされていて。
    仏教の教えとは、誰でも如来になれる、心がけ次第で誰でも仏になれる。それを学ぶ場として法隆寺が建立されたという話に本当に感銘を受けました。
    建てられてから1350年を経過して未だなお、当時の姿を私たちに見せてくれている法隆寺。
    どんな詳しいガイド本よりも!この本こそが法隆寺、薬師寺に行く時の最強、最良のガイドになってくれると思います。
    早くこの本持って法隆寺見に行きたい!!!

  • 何回も再読していきたい。
    今回のまとめは22ページまで

    〈本から〉
    鹿はヒノキが好物
    日本の風土にヒノキは合ってた
    ヒノキのええとこはね、第一番に樹齢が長い
    こんなに長い耐用年数のものはヒノキ以外にはありませんわ。
    わたしどもは木のクセのことを木の心やと言うとります。風をよけて、こっちへねじろうとしているのが、神経はないけど、心があるということですな。
    お釈迦様は気がついておられた。「樹恩」ということを説いておられるんですよ、ずっと大昔に。
    それは木がなければ人間は滅びてしまうと。人間賢いと思っているけど一番アホやで。
    自然を忘れて、自然を犠牲にしたらおしまいでっせ。(p22)
    以下、続く

  • 職人の心意気、仕事への向き合い方、襟を正されました。

  • 大好きな一冊。
    仕事についてのこだわりが感じられ、自分もこうありたいと思える。

  • 奈良の法隆寺などで活躍した棟梁のインタビュー
    代々受け継がれた技術と教え。残念ながら無くなっていくものがあるんだろう。
    法隆寺、未来に残せるか心配になった。

    学者さんとの喧嘩、なるほどと思った。梅原さんの法隆寺の本読んだけど、いろんな見方あるんだな。
    確かに受け継がれた棟梁の推測の方が納得できる。

  • 法隆寺最後の棟梁のお話。

  • 法隆寺の棟梁が飛鳥時代の職人の偉さ、木造建築の素晴らしさを語る。物事の本質がよく分かっている人だと感心した。棟梁の仕事は木のクセを見抜くこと。木にはそれぞれクセがあるから、適当な場所に置かないと時間が経つうちに建築物の中でクセが出てきてしまう。クセというのは木の心でもある。飛鳥時代の建築物は千三百年も持っている。しかし、今日は目先の利潤しか考えないから長持ちしない。西岡さんは、飛鳥時代の職人がどういうところに頭を使っているかということをよく見て欲しいと言っている。寺の建築・修造には仏教が説く慈悲の心がないとだめだと言う。慈悲の心とは、母が子を思いやる気持ちのことで、子どもだけでなく他人にもそういった気持ちを持てば世界はおのずと平和になるというのが仏教の考え方だ。

  • 1000年を超える時間を過ごし、いまも存在する建築。その建築が重ねてきた時間を受け止め、それを次の世代へ届けようと、一生をかけて対峙してきた宮大工棟梁が語る言葉。それは、いまを生きる僕たちが同じように繋いでいかなければならない、僕たちの役割を考えさせるものだと思う。

    建築という世界だけの話ではない、この国で生まれ、この国が築いてきたもの。国という括りすら関係なく、人が生きて、受け継がれてきて、いまここにあるこの世界。僕たちはただ今を生きていくだけではなくて、渡されたバトンを次の世代に届ける責任があるんだということに気付く。

    僕たちはどんな世界に生きたいんだろう。
    僕たちはどんな世界を次の世代に手渡したいんだろう。
    そんなことを、考えて、見つめて、向き合っていかなくちゃならない。

    棟梁の言葉は、僕たちにそんな問いを投げかけてきているような気がしてならない。


    法隆寺を見た。
    遥か彼方に誕生し、いまこのときまでここに佇んできたもの。それが作られた技術、支えてきた技術。そして、そこに込められてきた祈り。そのことに思いを馳せ、僕たちは僕たちの中の心に気づかなければならないはずだ。


    木を知り、木と対話し、建築を作る。
    技術者ではなく、技能者として、建築を作る。
    職人としての生き様、誇りに憧れを抱いた。

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著者プロフィール

西岡 常一(にしおか・つねかず)
1908年奈良県に生まれる。1995年没。西岡家は、鎌倉時代にはじまる法隆寺四大工の一人、多聞棟梁家につながる宮大工の家柄。明治のはじめ祖父常吉氏の代に法隆寺大工棟梁を預かる。常一氏は幼少より祖父常吉氏から宮大工の伝統技術を教え込まれ、1934年に法隆寺棟梁となる。20年間にわたった法隆寺昭和大修理で、古代の工人の技量の深さ、工法の巧みさに驚嘆したという。法隆寺金堂、法隆寺三重塔、薬師寺金堂、薬師寺西塔などの復興の棟梁として手腕をふるった。文化財保存技術者、文化功労者、斑鳩町名誉町民。著書に『木のいのち木のこころ(天)』(草思社)『蘇る薬師寺西塔』(共著、草思社)『木に学べ』(小学館)『法隆寺を支えた木』(共著、日本放送出版協会)『斑鳩の匠・宮大工三代』(共著、徳間書店)ほか。

「2010年 『新装版 法隆寺 世界最古の木造建築』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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