帰還せず 残留日本兵六〇年目の証言 (小学館文庫 あ 14-2)

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  • Amazon.co.jp ・本 (509ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094060744

作品紹介・あらすじ

東南アジアで元日本兵が語った祖国と戦争

戦後60年を経てなお東南アジア各国に残る、日本人元兵士たち。

「どうして故郷へ帰らなかったのですか?」
その問いに古い記憶をたどりながら、ある人はやむなき事情で逃亡兵になったいきさつを、ある人は過酷な戦闘体験で日本と決別した経緯を語った。

タイ、ベトナム、インドネシア・・・・・・。現地に足を運んで聞き出した、14人の証言。しかし本書刊行時点では、そのほとんどが故人となっている。

日本に帰らない選択をし、戦後60年異国で年老いていった人たちの戦争体験を聞くために南へ! 彼らと50ちかく年の離れた著者にとって、「祖国とは何か?」という謎解きの旅であった。

あらためて「日本が海外で戦争することの意味」を考える、一級の資料にして珠玉のノンフィクション。


【編集担当からのおすすめ情報】
2015年は戦後70年です。それに1年先立つ夏に、戦後60年の節目で取材した14人の証言を、小学館文庫として刊行します。

解説は、ノンフィクション作家の後藤正治氏

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  • 様々な理由で終戦後帰国しなかった人たちのインタビュー。

  • 戦場に置いて一番大切なことである補給線を無視し、日本陸軍に
    壊滅的な打撃をもたらした悪名高き「インパール作戦」。

    その作戦に参加した兵士の何人かは、敗走中に軍からはぐれ現地
    の人に匿われる。軍で身につけた機械修理の腕を生かし、住み着
    いた村で重宝される者もいれば、故郷の長崎に原爆が落とされた
    ことを知り、日本に帰国する為に日雇い労働で費用を貯めて、
    やっと帰国した故郷であるのに兄弟に冷たい仕打ちをされ、
    再び日本を捨てる者もいる。

    戦闘らしい戦闘もなく日本の敗戦を告げられたジャワの兵士たち
    は、「何の為に南方に来たのか」との思いを抱え、インドネシア
    独立戦争に身を投じる。そして、独立宣言を読み上げるスカルノ
    大統領の警護に当たる。

    帰国しようと思えば、いくらでも機会はいくらでもあった。
    しかし、彼等は住み着いた土地に骨を埋めることを選んだ。

    若くして兵隊に取られ日本を知らないから。日本には既に
    家族がいないから。ジャングルの中で誰にも看取られず死んで
    行った仲間の遺骨収集と慰霊を続けたいから。

    それぞれに、平坦な人生ではなかったろう。しかし、辛苦の道を
    歩んで来た人たちの話は後悔の念は感じられなかった。

    久し振りに『ビルマの竪琴』を読み返してみたくなった。いい取材
    の出来ている本書だが、著者の戦争に対する予備知識の不足と、
    本文中の「!」や「!?」の多用が台なしにしているな。

  • ご参考までに。
    “本書は、二○○六年七月に『帰還せず−−残留日本
    兵 六○年目の証言』(新潮社)として刊行されまし
    た。その後、二○○九年七月に新潮文庫に収録。こ
    の作品に、著者が後日談を取材して月刊誌に掲載し
    た記事を加えて、あらためて文庫化したものです。”
    〜510頁より〜

  • 戦争を経験した人の証言は重たいなと思った。でも戦争関係の本を読んだ中ではもっとも真実を感じることができた気がする。十四人の方々の戦争の真実。
    「戦争とは・・・現場で鉄砲の弾を撃つ一兵卒の生活の延長上にあった」という言葉が心に深く残った。今も世界には戦争しているところもあるし、他人事ではないのかもと。

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