- Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
- / ISBN・EAN: 9784094512694
作品紹介・あらすじ
海里克也は保健室で目を覚ました。なぜここにいるのか?保健医の鏡司によると、階段で転んで気を失っていたらしい。…覚えていない。十歳のとき、大きな事故で両親と記憶を失ってしまった克也には、ここ数年の記憶しかない。また記憶が消えてしまったのだろうか。「見えないモノが見えてないか?」そんな司の問い掛けにドキリとする。-自販機の陰から伸びる少女の姿態-突如現れ克也を責める不幸の手紙-少女の死の映像と命を狩る指の感触。これは幻覚?それとも-?第5回小学館ライトノベル大賞・優秀賞受賞作。
感想・レビュー・書評
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ライトノベル特有の文章に慣れさえすれば、ミステリーとして面白かった。
10歳の時、大きな事故で記憶を失った高校生は階段で転んで気を失ってしまう。以降、不可解なものを見たり体験したりしてしまう。それは幻覚なのか、それとも……。
言い回しや登場人物等は典型的なライトノベルという感じだったが、それが逆にいい味を出しているんじゃないかと感じた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
全く予備知識がなく、カバーイラストと題名から想像するに、ラブコメかなと読み始めたら、結構重たい内容でびっくりしました。
勝手に想像しておいてなんですが、良い意味で裏切られましたね。
全く内容の分からない本を、何故に購入したかと云えば、ラノベのお勧めリストに載っていたから。 -
サスペンスとして読むならラストが面白くないですが。
タイトルの通り、ズレがある。に焦点を合わせるとその話運びに納得できる。
私が思うにアインズヴァッハの門とは常識が入れ替わることでは?
殺人が許される場所はない=殺人行為が常識的ではない殺してはいけない当たり前が、当たり前になってしまうこと。
また、主人公の立場が変わるにつれ考え方が変化している。
これもズレなのではないだろうか。
そうとらえるとこの話はタイトル通りのストーリー展開をしているように思う。 -
【展開好】面白かった!
ガガガじゃなきゃできなかったかもなぁと思う、サイコでミステリーというよりサスペンスなお話。
過去の記憶がない克也が、ふとしたことから自分が殺人鬼かもと疑うようになっていく。
過去の事件の真相を巡るたび、でてくる疑問が、また思いもよらない方向に話を持っていくので、ページをめくる手が止まらなかった。
主人公がよく倒れる理由。差出人不明の謎の手紙。妄想か、現実かわからない存在。何かいったらネタバレになりそうなんだけど、うまくちりばめられてるなぁって感じでした。 -
面白かった! ジャンル的にはサイコサスペンスとかになるか。タイトルにも「ズレ」という言葉があるけど、読んでいてもちょっとしたズレがあるような違和感があって、終盤にかけてそのズレがゆっくりとハマっていくような快感はたまらなかった。 イラストも、特に表紙なんかパッと見るとビックリするけど、本文挿絵(というより扉絵だけど)含めて、とてもマッチしていてよかった。3月に新刊出るということで急いで読んだけど、つくづく今まで読まないでいて損してたと思わされた。いろんな意味にとれそうなタイトルもイイ。
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初っ端からサイコチックでそのままラストまでつっ走りきったという印象。構成は非常に優れていると思います。特に夢乃咲希の存在と宮崎ひなたのクロスアウト。
ただ、心理学関係の知識が豊富すぎて、若干語りすぎな気もしました。ひけらかされているような気分というのでしょうか。ただ作品の方向の関係上ある程度のものは必要でもあるのでそこはバランス感覚でしょうか。
それと表紙のインパクトはかなりのものです。この表紙とタイトルと優秀作品ということで手を伸ばしました。
このような作品を優秀作として出すガガガ文庫さん、さすがです。痒いところに手が届くとはまさにこのこと。今月の第六回大賞にも期待してます。 -
これは面白い。サスペンス+ミステリー。デビュー作にしては完成度が高い。読んでる私が矛盾が気になった時に、ちょうど作中で矛盾が問題になったりする。タイミング、いやペース配分がいい。真相を最後まで気付かせず、徐々に結末へと導く。他のレーベルではおそらく出版されなかっただろう作品。ますますガガガ文庫が好きになった。
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ガガガ文庫らしい「ライトノベルの皮を被ったなにか」ジャンル。いいぞもっとやれ。
ちょっと違うけど「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」を読んだ後みたいな衝撃あり。文章の構成も見事で次に何を書いてくるのか楽しみな作家さんです。 -
これはよいサスペンス。デビューでこれってのはすごいなぁ。
よく練られたストーリーと展開、サスペンスらしい小出しのテクニックやミスリードを誘うセリフも上手く、読んでいる間も「こいうことなのかな? いや、それだとココはどうなる?」とワクワクドキドキしながら引き込まれて行く。とりわけ「見えないはずのものが見えたりしてはいないか?」という序盤での問いかけが、最後まで意味を持つあたりが上手い。
キャラクタやセリフ回しこそラノベ流かもしれないけど、説明的な描写ではなく各々の心理に即した選び抜かれたであろうセリフで微妙な雰囲気を作り出しているところに構成のうまさや表現力を感じる。
読み終えて、思わず拍手したくなるようなきれいな閉じ方もいい。内容のきわどさもあってか、入間人間のときも同じような感じだったのを思い出した。
本作は一応完結なのだけど、続く余地も若干残っているところが続編を期待させる。続きを書くとしたら難しそうに思うけど、この作者なら予想を上回ることをやってくれそうな期待感もある。ともあれ次回作がとても待ち遠しい。
あと、あとがきも素敵で、おかげで赤月カケヤという名は忘れないでいられそうです。加えて少ないけどイラストも素敵です好みです。こちらも期待してます。晩杯あきら=Vampire Killerという事で印象に残る名前なのもイイねw -
謎解き色の強い展開、ミステリな感じで面白かった。キャラのアクは強く、ラノベらしいややトンデモ色。唐突な山美鳥視点や、鏡司先生の電話はちょい強引な気もするが、キレイにまとまっていると思う。
ストーリーとしてはこの巻で完結はしているけど、いくらでも別の話を作れるオチ。特にヒロイン(?)はこれで終わりなのも勿体無いので、次巻も期待。