- Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
- / ISBN・EAN: 9784094517842
作品紹介・あらすじ
これは学園ラブコメなんですか?
俺の人生、なんだかラブコメみたいだな。
主人公である高城圭はそう思った――。
そうだ! お前はラブコメの主人公であり、SFとかファンタジーとかそんなジャンルのキャラではない! だから大人しくラブコメらしい展開に従ってくれえええ!
嘆くその影は言及塔まどかこと、虚構を司る力が擬人化された存在。
そう、これは、まどかと圭が七転八倒しながらラブコメの世界をSFやらファンタジーの浸食から守り抜く物語。
SF界の超新星が描く、ハイテンション×メタフィクション学園ラブコメ開幕!
って、俺の高校生活、一体どうなっちゃうの~~!?
【編集担当からのおすすめ情報】
ついに「あの」草野原々氏がガガガ文庫に登場!
デビュー作『最後にして最初のアイドル』にて
●第4回ハヤカワSFコンテスト特別賞
●第48回星雲賞(日本短編部門)
●第27回暗黒星雲賞(ゲスト部門)
●第16回センス・オブ・ジェンダー賞(未来にはばたけアイドル賞)
などなどを獲得し、さらには第39回日本SF大賞、最終候補作にもノミネートされた実力派です!
感想・レビュー・書評
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"学園ラブコメ"の主人公・高城圭は、この世界の構成力が弱まり、"なんでもあり"による侵略の危機に瀕していると伝えられる。さらに、干渉を始める"学園ファンタジー"や"SF"。果たして圭は"学園ラブコメ"を全うできるのか。
物語は通常、語られるキャラクターと、それを読む読者という2者によって成立する。しかし本書では読者とキャラクターの間に、ラブコメやSFといったジャンル概念や、虚構を作る力そのものといった新たな階層が登場する。むしろラブコメなどの概念こそが本書のキャラクターであり、表紙の描かれるキャラたちは作中作のキャラと言えるかもしれない。
フィクションという概念そのものをフィクションという枠に落とし込むことで、そもそもフィクションとか、物語とは何なのか、その構成要件を探る実験的コメディ。
冒頭で違和感を感じるかもしれないが、そのまま32ページまで読めば、ハイテンションで最後まで引きずられます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
正直、ライトノベルレーベルに置いていいものか。予めSFやメタフィクション、突拍子のなさを期待して読み始めないと、かなり好き嫌いの分かれる話だと思った。実験小説過ぎる。
入れ子構造や、話の随所、特に冒頭部には『果てしない物語』のオマージュが見られる。だからSF作品をモチーフとしない、モモがいるのかなぁと思ったり。
結局は楽しめたけど、読みやすいとは言い難い。(今回は意識的かも知れないけど)情景でなく、状況や状態をテキストとして出力している感じがあって、原々の文章は、正直あまり好みではない。 -
ガガガらしいハチャメチャな1冊。
ハチャメチャを楽しみました。読者への挑戦状に号泣。数々の名作達に感激。この作品を面白かったと思える人が好き。 -
突拍子のなさのなさ
草野原々は北海道大学のパンフで知った時から気になってゐて、その後ニコニコ動画で、メタ牛乳を飲んだら体内に日本ができたとかいふ、慶応大SF研自主制作映画も見たりした。
しかしはじめて読んだこの作品はあまりうまくない。筒井のパプリカをめざした結果、生煮えになったみたいなもの。
1章はまだくだらなくても、2章以降はメタってのが最初からわかってゐるのだから、もっとはっちゃけちゃへばいいのに案外まとも。予定調和的に進んでいき、展開としてつまらない。描写もラノベなので、平平凡凡たる文章で退屈。
ちなみに4章に唐突に大江健三郎が出てきて、びっくり。「壊す人」は『同時代ゲーム』からだ。あとSF作家の樋口恭介の名も出る。 -
メタラブコメ、脱構築ラノベ、そんなラベリングされそうなラノベ。
撲殺天使ドクロちゃんとか左巻き式ラストリゾートとか好きな人達は好きになれそうな小説かなと思う。
ただ、草野原々好きとしては、無茶苦茶理論バカSF要素が少な目だったかな。
良くも悪くもガガガ文庫読者に合わせて書いた作品ですね。 -
ほぼテンプレ情報しかないような学園ラブコメ。ばたばたと登場したヒロインたちに取り合われた主人公は20ページ足らずで勢いのまま死んだ。
そして現れたのが「ラブコメの場」を維持すべく主人公に接触した「言及塔まどか(虚構を作る力の擬人化)」。
「ラブコメなんて作ったことないから、どうしていいかわかんなかったんだよ!」
ラブコメの場が揺らげば、ファンタジーが、SFが、ホラーが、ミステリが侵食し……整合性の取れなくなった物語は「なんでもあり」の侵入で台無しになってしまう。
果たして主人公らはラブコメの世界を守り抜くことができるのか…。
実験的SFラノベ。
個人的には、もうちょっとベースラインの学園ラブコメなラノベ部分とキャラクター描写を丁寧にやってほしかったかな…。まあそういう実験なので仕方ないですがやっぱりメタって読んでてさめちゃうよね、という感じでした。 -
「出版社や編集者は悪であるが、一番の究極的な邪悪はなんといったって作者だ」
カオスofカオス
こういうのライトノベル黎明期にいっぱいあったよね。それを百倍レベルアップした感じ。 -
はっきりいいます
まったくおもしろくありません
なんか著者は面白がって馬鹿笑いしながら話しているけど、周りから見るとまったく面白くない話を聞かされているような、、、そんなどうにもしらける感じを受けました
本書は、いわゆるメタフィクション小説です
本編では主人公と3人の少女との学園生活を描き、メタ視点ではすぐに脱線するその本編を「なかったことにして」きちんとした方向に進めようと悪戦苦闘する、という話
メタフィクションが悪いわけではなく、エピソードごとで設定を著しく変えたことと、そのエピソードが終わるとその設定はなかったことになるという、話の進め方に著しく違和感を感じました
脱線したエピソードは、物語を根底から崩す「なんでもあり」からの侵攻を受けたという設定で、物語をかき回し、そのエピソード限りの小難しいだけの関係性や設定を持ち出して大騒ぎし、「なんでもあり」を「学園ラブコメ的強制力(という、なんでもあり)」で解消し、結局その関係性や設定はなかったコトになる
これって、つまり各エピソードで「夢オチ」しているだけですよね
本編は、幼馴染、同級生の超お金持ち、クラスメイトの控えめな少女とそれだけも十分魅力的な学園ラブコメが描けそうな感じで、望月けいさんのイラストも素晴らしく、この方向だけで行けったほうがよほどマシだったと思います
キャラクターは魅力的ではあるものの、その設定を活かす方向に伸ばさず、まったく違う設定を与え、けっきょくなしにする
メタ部分はまどかがさわいでいるだけ、まともな本編はほとんど描かれず、脱線したエピソードはなかったことになってしまう
望月けいさんのイラストが目当てで買ったので表紙と口絵と挿絵だけは大満足です。