- Amazon.co.jp ・マンガ (216ページ)
- / ISBN・EAN: 9784098611171
作品紹介・あらすじ
人は漫画を生きるのか。
大手出版社を早期退職した漫画編集者の塩澤。
理想の漫画誌を作るため、
自分が信じる漫画家たちを訪ね、執筆を依頼する。
仕事か、表現か、それとも友情か。
漫画を描く者、描かぬ者、描けぬ者、
東京の空の下、それぞれの人生が交差する。
松本大洋が初めて描く漫画家漫画、初めて語られる創作哲学。
これを読まずに松本大洋を知ることはできない、必読の一冊。
【編集担当からのおすすめ情報】
『ルーヴルの猫』で米国アイズナー賞を受賞し、世界中で評価が高まる松本大洋氏の最新作。ビッグコミックオリジナル増刊号で絶賛連載中の『東京ヒゴロ』待望の単行本第1集です。
感想・レビュー・書評
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「ピンポン」以来 久々に買った松本作品。
漫画編集者 塩澤は立ち上げた雑誌の廃刊の責任を取って出版社を退職する。
漫画との決別を決意するも思い直し、退職金で自ら編集したコミック雑誌を作る為 これまで自分が担当した漫画家達に原稿を依頼する。
というのが大まかな粗筋。
個人的に松本作品は何回も読み込まないと その作品世界というか物語に入って行けなかったのだが、今回は「漫画」がテーマという事ですんなりと入れた。
塩澤が漫画と決別する為に所蔵するコミックを売ろうとするも思い直すシーンは漫画好きとして凄く分かる。(自分にも似たような経験があるので)
作中、
惰性で描き続ける者
描く事に苦しむ者
描く事から「解放」された者
描く事を止めた者
再び描き始める者
と三人の漫画家と二人の元漫画家が登場する。
皆 個性的なキャラクターばかりだが中でも 描く事を止めた者 嵐山 森(あらしやま しん)は見て あっ!となってしまった。
何故ならそのモデルとなったのが あの!岸田 森にしか見えないのだ!!
下の名前は言うまでもないが名字の嵐山とその姿は「太陽戦隊サンバルカン」の嵐山長官そのもの。
これは誰が見ても岸田 森に間違いないだろう。
しかし特撮における岸田 森と言うと殆どが「怪奇大作戦」の牧 史郎を思い浮かべ、それをモデルにするのだが、敢えて嵐山長官を使うとは なんてマニアックなんだろう。(松本大洋って特撮ファン?)
姿が完全に岸田 森だから読んでいると脳内で台詞が岸田 森の声で再生されてしまう。
岸田 森がまだ生きていて「東京ヒゴロ」が実写化されて嵐山 森を演じる姿が見たかった!
もし岸田 森が嵐山を演じたとしたら塩澤役は誰がいいだろう?
あの名優と絶妙な(演技の)やり取りが出来る年下の俳優となると............
ショーケン、水谷豊もいいが、ちょっと違う気がする。
となると、松田優作が適役ではないだろうか?
イメージとしては映画「家族ゲーム」の吉本の朴訥な雰囲気(惚けた部分は取り去って)で演じたら凄く合っていると思う。
松田優作が演じる「漫画マニア」の(元)編集者と岸田 森が演じる元漫画家。
きっとアドリブ満載のやり取りが繰り広げられるに違いない。
もう想像するだけでゾクゾクする。
でも、二人共もういない。
どんな事があっても観る事は出来ない。
悲しいなあ。
って、またもや本のレビューから脱線してしまった。
けど、そんな妄想をする程 嵐山 森というキャラクターに「持っていかれた」。
だから自分にとって「東京ヒゴロ」=嵐山 森となってしまった。(偏り過ぎだ!)
このキャラクターに出会えただけでも本書を読んだ価値は充分あった。 -
松本大洋というマンガを知らなかった。映画になった「ピンポン」とか「犬王」とかの原作者だということも、もちろん知らなかった。家の本棚に昔からあった「かないくん」という絵本で気付いて、「ルーブルの猫」とか読み始めて、この作品がマンガでは二作目。
読み始めて、まあ、しっかりハマりました。絵がないと、この味はありえないし、映画じゃないから絵は止まっているのですが、1ページごとに何かが動いている感触は映画のようでもあり(まあ、少し大げさですが)、登場人物たちの、絵に描かれているむこう側が気になるのは、小説というか詩というか、にもかかわらずマンガなのですね。
ブログにもあれこれ、覗いてみてください。
https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/202302040000/ -
人に勧められる松本大洋
松本大洋作品の大ファンでありながら気軽に人に勧められる作品は少なく、「ピンポン」くらいしか挙げられなかった今日この頃
東京ヒゴロは松本大洋の本領発揮といえる「冷たいアツさ」に溢れた前向きな作品で
悪人も残酷な描写もなく読んだ後じんわり幸せになれる
登場人物がほぼみな往年の作家(と編集者)なので、若い読者にとっては盛り上がりにかけると感じるかもしれない
しかし、一度夢に取り憑かれた者の、寝ても覚めても止まらない感じ、わかるよー!と強く共感しながら読めた
彼らの冒険を最後まで見守りたい -
一巻で完結かと思ったら続きモノか〜〜!!
漫画家と漫画編集の晩年を描く話、自分が若い頃から知ってる作家がライフステージを変えていき、こういう作品を目にするようになってきたな〜という気持ち
登場人物の漫画への静かな情熱が伝わってくる…
現役の人も漫画から離れてる人も創作への熱を持ち続けてる感じ、羨ましい -
語りすぎない台詞。情景があまりにも胸に刺さる。天才。
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才能を持つ者と、才能を見出す者。
喋る鳥と迷い猫。
捨てられない漫画と背広に包まれた原稿。
泣けました。2,3巻もいっぺんに買えば良かったです。 -
結構泣く。
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主人公が出版社を辞め、大事にしていた本を手放すときに言う「期待はあらゆる苦悩のもとである(シェイクスピア)」確かに。結局、本を売ることなく、また本棚に戻す。苦悩は続いていく。
はあ、面白かった。コマが松本大洋だなあ。カメラがたくさん設置されていて、どの角度からも切り取れるように見える。スタイリッシュ。 -
最高なので読んで〜
いいね、コメントありがとうございます。
確かに嵐山長官の時の髪型は見ようによってはオタクに見えますね...
いいね、コメントありがとうございます。
確かに嵐山長官の時の髪型は見ようによってはオタクに見えますね。
嵐山森を見る為だけでも「東京ヒゴロ」は読む価値があります!
是非読んでください!