二月の勝者 ー絶対合格の教室ー (12) (ビッグコミックス)

著者 :
  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784098611201

作品紹介・あらすじ

連続ドラマ化!話題の中学受験ストーリー!

「最後の12月の模試が終われば、
あとはもう“本番”しかありません」

合否判定がわかるラストチャンス。
全生徒、その保護者、講師が導き出す
最終的な志望校がついに出そろう!

島津君、上杉君の友情コンビの第一志望は!?

黒木が「圧倒的王者」と言い切るフェニックス、
その驚異のシステムとトップ生徒のすごさとは!?

「私はまだ本気出してないだけ」
“頑張らない努力”をすることで自分の心を守る子供の真意は?

ついに黒木が隠している別の顔が佐倉に知られて…?
黒木をつき動かす過去の“約束”とは。

連載100回突破!映像化も決定の最も熱い人間ドラマ、
中学受験を通じて、受験塾の緻密な戦略と、
子供の成長と親の自律を描く第12集!

【編集担当からのおすすめ情報】
「我が子には幸せになって欲しい」
「そのためには親である私が
失敗してはならない」
そんなプレッシャーを背負いながら
戦いの日々を送る保護者達が熱くなるからこそ
塾講師は常に冷静でなくてはいけない…!

混乱を極める大学入試改革、
高校からは受験できない中高一貫校の増加など、これまでの常識が通用しなくなっている激動の受験界。

いまや首都圏では4人に1人が中学受験に参加する現在において、
中学受験とはどんな仕組みなのか、そして勝利を勝ち取る戦略とは?

中学受験塾を舞台に、プロフェッショナルとして臨む塾講師と
生徒、保護者の、合格を勝ち取る闘いを
強烈なキャラクターと圧倒的なリアリティで描く、
時代の要請に応える作品です。

感想・レビュー・書評

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  • 6年生の12月は最後の合否判定模試だーという話で終わってしまった。でも、持ち偏差値通りの志望校にする親子、あくまで当初のあこがれへ執着する親子、弱気にちょっとレベルを下げてみる親子、いろいろあり分かるなーと思います。
    カンニングして過去問の点数を良く見せたりするのもあるあるなんですね。困ったものです。
    あと、黒木先生の秘密に迫る描写もあったのは良かったかも。いよいよこのシリーズも大詰めなのかなと思ったり。佐倉先生の成長ぶりも見える2年目も連載続けてほしいですがどうなりますか。
    ドラマも10月開始だからそろそろですね。楽しみです。

  • 【あらすじ】
    合否判定がわかるラストチャンス。全生徒、その保護者、講師が導き出す最終的な志望校がついに出そろう!島津君、上杉君の友情コンビの第一志望は!?黒木が「圧倒的王者」と言い切るフェニックス、その驚異のシステムとトップ生徒のすごさとは!?「私はまだ本気出してないだけ」“頑張らない努力”をすることで自分の心を守る子供の真意は?ついに黒木が隠している別の顔が佐倉に知られて…?黒木をつき動かす過去の“約束”とは。連載100回突破!映像化も決定の最も熱い人間ドラマ、中学受験を通じて、受験塾の緻密な戦略と、子供の成長と親の自律を描く第12集!

    ・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆

    感想は最終巻にまとめて記載予定です。

  • ついに黒木が隠している別の顔が佐倉に知られて…?佐倉の反応がすごかった。そして全生徒の志望校がついに出そろう!意外な志望校も出て、感動しました。そしてもう1つ、島津くんのおばさんの明子がお金が足りない島津母にお金を援助していたので、とても感動した。

  • 受験直前11月~12月。過去問やるときホントにどこからかどうやったかわからないけどカンニングする子どもはいる、と塾の先生にマジで保護者は警告される。渋渋(マンガ中では新新)の帰国枠めっちゃムズいらしい。ずっと海外にいて帰国が決まった友達に受験のこと聞かれたけど、ほんとに海外いたの?ってくらい中学受験について詳しくて、海外組も受験対策は怠らないらしい。いろんな生徒がいるけど、今回は双子の海斗がすごくよかった。そして、島津くんのおばさん!そうなんだよ、受験に対する偏見ってあるけど、本人たちほんとに頑張ってるんだよ~!と思った。

  • 地上波ドラマの原作。
    中学受験を舞台に、「最強最悪」の塾講師と受験生たち、そして彼らを取り巻く人々の小5の二月から試験本番となる小6の二月まで(おそらく)の1年間を描いた漫画です。

    その地上波ドラマの放送が、とうとう始まりました!
    第1話「最強最悪の中学受験塾講師!痛快人生攻略ドラマが始まる! 」、第2話「塾は営利目的の企業です!」まで見終わった段階でこれを書いています。

    ドラマ自体は、今のところ悪くない感じです。
    放送前には黒木先生役の柳楽優弥が見た目を黒木先生に「寄せている」のが話題になっている程度でしたが、放映開始後は強烈な内容がなかなか話題になっている様子です。
    1話は三浦佑星、2話では加藤匠がクローズアップされ、3話では前田花恋のエピソードが取り上げられる様子。
    他に、島津順、上杉海斗、石田王羅にセリフがあったので、この3人のエピソードもいずれ出てくるのでしょう。浅井紫にも台詞がありましたが、市川海老蔵の娘が演じているため顔見世でしょうか。せっかくの「「将来なりたいもの」に「花屋」って書いたら受けが悪いんだけど、どうしよう」という、浅井紫の性格がよくわかるエピソードがさらっと流されちゃってて自分はちょっと不満でした。Rクラス3人娘のうち、浅井紫の出番が一番少ないのですが、もしかしたら、山本佳苗の鈴蘭女子を巡るエピソードは浅井紫に振られちゃうかもですね。

    ところで、2月の受験と合否という明確なゴールがある作品ですから、原作コミックもドラマでも、「どこまで進むか」が気になります。12月までに全10話程度が放送されそうですが、このペースだと夏期講習明けくらい、頑張って島津順と樹里・まるエピソードが入るくらいかな?間違っても受験の結果までは無理でしょうね。そもそも原作がまだしばらくは二月までたどり着きそうにありませんし…。

    自分から見たドラマとしての出来は、期待値が高かったこともあって、今のところなんとか合格点、って感じです。
    代わった設定のうち、よくわからない「井の頭ボウル」は理解はできるが納得はできない感じ。ファミレスや事務室で講師同士が話しているのでは絵面が地味だからなのか、それに代わる場が必要なのは理解できますし、講師たちの「溜まり場」を居酒屋にしにくいのもわかるんですが、でもボウリング場…マスターとその娘が絡んでくるって言うのも正直そんなことをする必要があるのかどうかよくわかりません。

    それから、佐倉先生は原作の脳筋設定のほうがはるかに良かったと思うなあ…。今のところ何だか暗くて理屈っぽい先生にしか見えません。原作の「過去に傷を持ち、教員になることもできなかった」のを抱えつつ明るく体当たりでぶつかっていくタイプは黒木先生とちょうど反対で、それぞれのいいところ悪いところを際立たせる良い配役だったと思います。ドラマのキャラクターがそんなに暗く考え込むタイプじゃない、というのであれば、演じている側がもう少し考えたほうがいいのかもしれません。

    一方で、生徒役にはみな好感が持てます。特に、予告に出ていた前田花恋は堂々としていて好感が持てました。

    あと、全体的に「わかりやすさ」重視で黒木の二面性が底が浅くなってしまっています。黒木の二面性やその言動が「露悪的(=わざと悪ぶっている)」のは、このお話の肝だと思います。…。原作では13巻かかってやっと回収してきた伏線(それでもまだ一部です)をドラマの10話で回収しようと思うとやむを得ないのかもしれませんが、それでもちょっと心配です。
    そう言えば、こちらも重要な伏線であるはずの黒木の左手首のミサンガとそれを触る癖もあっさりカットされていました。こちらも心配の種ですね。
    もう一つ言うならば、加藤匠の説得のために黒木が鉄道関連の知識を慌てて仕入れに行ったような描写がありました。でも、黒木の知識はそんな底の浅いものではないはずです。サッカーのリフティング同様、鉄道についても、カードゲームについても、「今どきの小学生が好きな物事」については、小学生を圧倒するだけの知識量や技量はデフォルトで持っていると思うんだけどなあ…。

    ところで、ドラマ化でよかったことの一つに作者の露出が増えたことが挙げられます。特に、インタビューなどで作者が語るいろいろな裏話が聞けるのは嬉しい限りです。
    『「中学受験の最新情報を知るために、取材は連載開始後も続けています。今は毎日偏差値表を見ながら、31人の塾生全員分の併願プランを作っているところ。これってもはや漫画家の仕事じゃないですよね?(笑)」
    https://dot.asahi.com/dot/2021090800024.html?page=1
    なんて見ると、受験生一人ひとりの作りこみがすごいとは思っていたけれど併願プランまで組んでいるとはww、と感嘆してしまいました。



    ……ドラマに興奮して大脱線してしまいました。
    綿密な取材に基づいて、今どきの中学受験事情を膨大なノウハウから身近な「あるある」に至るまで、生々しく読者に提示したマンガです。
    取材については、前述の「AERAdot.」のインタビューでも触れられていますし、巻末には「参考文献」39冊(10巻の33冊から6冊増えてます。増えたのは主に子どもの貧困に関するもののようです…)のリストがあるほどです。
    中学受験を取り扱う出版物やネット上の記事では「中学受験をしようと思ったら読む」漫画として薦められているのをよく見かけます。

    もちろん中学受験のノウハウマンガだけでここまで広く読まれるはずはありません。
    しっかりした土台の上で演じられるのは、一人ひとりが精密に作りこまれたキャラクターたちが演ずる群像劇であり、生徒たちはもちろん、その親も、そして塾講師たちまでもが成長するビルドゥングスロマンでもあります。群像劇が大好物(ソロモンの偽証も、バトルロワイヤルも、コウノドリも、二年間の休暇もそうでした!)な自分にとって32人が丁寧に描き込まれているこの作品はそれだけでもう十分にハマれます。
    加えて、主人公を任された黒木蔵人は、誰もが認める凄腕で、複雑な過去を背負いまくり、事情を知らない人々の前では冷酷な言動をする反面見えないところでは温かさを見せる二面性を持ち、奇抜な服装をしておかしな振る舞いをする傾奇キャラ。
    キャラ立ちまくってます。

    だけどです。
    面白い作品にはキャラ設定できた時点で大勝利みたいな主人公がよく登場します。
    例えば「ブラック・ジャック」。
    ブラックジャック本人の間黒男を紹介しようと思ったら、上の文章がそのまま使えませんか?名前に「黒」の字が入っているのも共通点ですよね。
    例えば「コウノドリ」の四宮先生も。

    これだけ揃ったら面白くないわけがありません。
    黒木の傾奇っぷりを楽しむもよし、受験生に感情移入して涙するもよし、そして未経験の親子がこれから直面する中学受験をシミュレートするような読み方も可能です。


    ところで、ドラマの放映時期に合わせて、13巻が通常より2ヶ月早い10月12日(火)に発売され、さらに14巻は何と4カ月繰り上げて12月10日(金)に発売予定となりました。予想もしなかったノベライズ版「小説 二月の勝者-絶対合格の教室-春夏の陣」が小学館ジュニア文庫から10月6日(水)に発売されるなど、大変盛り上がっています。地上波の影響力は依然として大きいんだなあと思います。

    ただ、ビッグコミックスピリッツでの連載ペースを超えてコミックスが出ているので、14巻の後15巻までしばらく刊行の間隔が開いて「二月の勝者」ロスになりそうで今から心配です。
    そもそも、果たして二月の本番、そして試験の合否がいつわかるのか気になります。
    当初は1年間を12冊ちょうどで描き切る感じのペースでしたが、本番が近づくにつれ描写が濃密になり、それに反比例して物語内の時間の流れはスローダウンしています。
    ちなみに、

    1巻
    二月の挑戦
    二月の初陣
    二月の決断
    二月の事情
    三月の共感者
    三月の撤退
    三月の進退

    2巻
    三月の転機
    三月の集合
    三月のリセット
    三月のリスタート
    三月の邂逅
    三月の相違
    三月の不協和音
    三月の不一致
    三月の慟哭
    三月の変化

    3巻
    三月の作戦
    四月の成果
    五月の夢
    五月の回顧
    五月の嘘
    五月の出会い
    五月の回答
    六月の成長
    七月の衝突
    七月の問答

    4巻
    七月の事件
    七月の挑発
    七月の崩壊
    七月の号泣
    七月の反駁
    七月の先輩
    七月の憧れ
    七月の勧誘
    七月の秘密

    5巻
    七月の本期
    七月の孤立
    七月の現実
    八月の解答
    八月の暴露
    八月の期限
    八月の相談
    八月の昇格
    八月の伏兵
    八月のバトル

    6巻
    八月の内幕
    八月の新人
    九月の結果
    九月の解答
    九月の発心
    九月の蒼白
    九月の懐柔
    九月の訪校
    九月の三人

    7巻
    九月の疑念
    九月の内紛
    九月の計略
    九月の不安
    九月の胎動
    九月の落着
    十月の紛糾
    十月の岐路

    8巻
    十月の操縦
    十月の玩弄
    十月の千差
    十月の暗雲
    十月の闘志
    十月の凶兆
    十月の決壊
    十月の奮起

    9巻
    十月の責務
    十月の介入
    十月の発破
    十月の越権
    十月の本心
    十月の告白
    十月の傷痕
    十月の矜持
    十月の気概

    10巻
    十一月の始動
    十一月の宿敵
    十一月の火蓋
    十一月の誓願
    十一月の一歩
    十一月の漸進
    十一月の混迷
    十一月の潜行
    十一月の宣戦

    11巻
    十一月の争乱
    十一月の算段
    十一月の腹案
    十一月の曙光
    十一月の悔悟
    十一月の忍耐
    十一月の再起
    十一月の虚栄
    十一月の一丸

    12巻
    十一月の粉飾
    十一月の約束
    十一月の不可侵領域
    十一月の疎通
    十一月の風雲
    十一月の増援
    十一月の本懐
    十一月の王者

    となっていますので、一ヶ月当たりの話数は…

     2月  3話
     3月 14話
     4月  1話
     5月  5話
     6月  1話
     7月 14話
     8月  9話
     9月 13話
    10月 19話
    11月 26話

    となっています。

    受験生一人ひとりのエピソードが詳細に掘り下げられるようになったのに加え、黒木の過去と内面について、これまで敷かれた伏線が回収されるエピソードも増えてきています。

    10月までの平均だと2月1日の本番は16巻、刊行は来年の12月ぐらいと計算していたのですが、11月は10月よりさらに時間経過が遅くなりましたw
    11月の「一カ月当たり26話」ペースだと、12月、1月、2月の3ヶ月で78話、コミックス1冊当たり9話で割るとあと9冊は発行されそうです。
    おお、ちょうど20巻ですね。
    4ヶ月ごとにコミックス1冊ペースですから、2024年3月ぐらいに大団円、でしょうか…。待ちきれるかなあ…。

    これはずっと思っているのですが、ラストはあのファイアーエムブレムのエンドロールのように、受験戦士たちの「その後」を描いたエピローグをぜひお願いします。
    もう一つ、ドラマも夏期講習明けぐらいまでしか辿り着けなさそうですから、ぜひ2ndシーズンをお願いします。




    物語は佳境に差しかかっています。
    時は12月。冒頭「2月1日まであと79日」の掲示がありますから11月の14日です。

    この巻では、今川理衣沙にスポットライトが当たります。さらに、謎のベールに包まれていたキャバクラの2階、「STARFISH」の表札のある部屋で何が行われていたのかがとうとう明らかになります。それから、上杉海斗がようやく「開成」を受験したいと母に伝えます。加えて、12月に行われる最後の「渋谷大崎合不合模試」「帝都圏模試」に向けて、各家庭で「現実的に受験する可能性のある」志望校を絞り込む悲喜交々の様子が描かれます。

    さて、まずは今川里依紗のパート。

    この巻冒頭では、理衣沙の母紹子が、志望校併願校を記入した「絶対合格カレンダー」を桜花に持参するところから始まります。書かれた志望校は相変わらず理衣沙の偏差値と大きく隔たりのある所ばかり。
    言葉を失う佐倉を抑えた黒木に紹子が差し出したのは高根の花である第一志望校の過去問の解答用紙。理衣沙が初めて挑んだ過去問演習で、合格者平均点を取ったと言うのです。

    11巻で描かれていたようにこれは理衣沙が書店で解答を見て描き込んだもの。カンニングです。
    佐倉も黒木も気付きますが、黒木は紹子の話に調子を合わせるだけで指摘しません。
    紹子が帰った後、黒木を問い詰める佐倉に「子どもを疑われたことに憤慨して塾を辞めるのが関の山。この時期の退塾は絶対に回避しなくてはなりません。」と言い放ちます。
    相変わらずの物言いに「この期に及んでまだ生徒数のノルマが気になりますか?」と食い下がる佐倉。これまでだったらおそらく「自分で考えさせる」ために仄めかし程度の解答しか与えなかった黒木ですが、佐倉の成長を認めたのか、ここは正解をズバリ与えてくれます。
    「この時期にここを辞めて一番困るのは理衣沙さんご自身です!とにかく、いかに保護者には「不正を伝えず」「怒らせず」、受験生本人には「受験に向き合わせる」ことができるのか。」
    それを、
    「大変な難問ですが、Rクラス担当の佐倉先生ご自身で解を見つけ出してください。」
    と、ようやく佐倉に「任せた」ことをはっきりと伝えました。

    「木村先生、早速ですが佐倉先生を縄文人くらいに進化させるお手伝いをお願いします。」と相変わらずの毒舌で読者を安心させつつ、佐倉にアドバイザーをつけることも忘れません。

    1巻からずっと登場しているのに見た目が完全にモブっぽい木村大志先生(社会担当、27歳)は、しかし、カンニングの経験者でした。
    「この時期のカンニングは「あるある」です」と動機を語ります。
    「悪い点数を取ると誰かにきつく叱られる」「難しすぎて白紙の答案を見るのがつらい」「いい点を取らないといけないというプレッシャーで押しつぶされそう」、単純に「褒められたい」、「いい点を取る」ことが自分の価値だと勘違いして手段を選ばなくなる、そして木村先生自身の動機だった「お母さんの喜ぶ顔が見たい」。
    納得です。
    さらに、今川里依紗の動機を木村先生が分析します。
    「「努力ができない」…というより、「頑張らない努力をしている」のかも…」「「私はまだ本気出してないだけ」ってやつです。」
    「…そこに進学するかどうかはともかく、理衣沙さんご本人のために、ひとつでも「合格」を、その手に握らせたいです…!」と気負う2人でしたが、妙案は見いだせません。

    ここまで他の生徒たちは様々な壁を乗り越え、「あとは頑張るだけ」なところまで来ています。
    前田花恋は桜花に居場所を見つけ、島津順は父の教育虐待から逃れ、直江樹里は苦手科目に取り組む几帳面さを得、柴田まるみは勇気を振り絞って足元の小石を乗り越えて教室に登校し、上杉海斗は向き不向きは母ではなく自分が決めると宣言し、加藤匠は受験に主体的に取り組み、三浦佑星は父に中学受験を認めさせ、山本佳苗は本当に行きたい志望校に目標を定め、武田勇人は発心して答えの本を母に預けてカンニングを止め、集団塾に向かなかった石田王羅は個別塾で基礎を積み上げている様子です。
    残るは今川里依紗。
    他に、彼女に巻き込まれた上に橘先生に止めを刺されてメンタル面が崩れた大内礼央、本人よりも母がテンパりすぎている福島圭、山本佳苗に引っ張られて真面目に取り組み始めたもののその後の様子が描かれない浅井紫、個別指導塾ノビ~ルでの様子がわからない石田王羅らが気になりますが向かい合っている壁の厚さ高さでは今川里依紗が一番です。果たしてどんな落着を見せるのか、
    ちなみに最新13巻でも解決の糸口が見つかっておらず、気掛かりでなりません。

    続いて黒木の内面に大きく踏み込む「STARFISH」のパート。
    今川里依紗の資料を見ようと誰もいないはずの桜花に戻った佐倉が見たのは、床に横になっている黒木でした。驚く佐倉に、貧血で横になっているだけだと強弁する黒木は、佐倉に動けない自分に代わって「ドドバシカメラ裏」までとても重いトランクを持っていくように頼みます。
    トランクを取りに来たのはばっちりメイクを決めたティアラ(源氏名のようですが本名(キラキラネーム)であることが13巻でわかります)。佐倉とはかつて4巻で佐倉が黒木を暴漢から庇い、「STARFISH」まで送った時に出会っているはずです。
    黒木のプライバシーに深く踏み込むことを躊躇する佐倉でしたが、重いトランクを持ってティアラがふらふらしているのを放っておけず、荷物を持って「STARFISH」前までティアラと同行します。
    ティアラともう1人、4巻で黒木に庇われていた「せいら」に半ば引っ張り込まれるようにして「STARFISH」に足を踏み入れた佐倉が見たのは、高校受験や大学受験、そして資格試験の勉強をする人たちでした。
    塾かどうかはわからないけれどそこが「大事な居場所」であることを語るせいら。
    マカロンをごちそうされた佐倉は深く踏み込まずに「STARFISH」を後にしますが、「今の私にもできることを、正直笑われるようなことだとしても、やらないよりやったほうがましだ!」と、無理をしすぎな黒木の食生活を改善すべく、差し入れを持参するのでした。



    本番まであと70日(11月23日かな?)。最後の模試の申し込み締め切りを週末に控え、桜花ゼミナールでは生徒たちの志望校、併願校の把握に努めていました。
    各家庭の様子が描かれます。

    ・ 三浦佑星 第一志望 園学院中(特進)。6年から入塾した彼は偏差値40から始め、52の園学院中普通コースを十分に目指せるところまで到達しました。「彼の40%なら十分GOサインですね」という黒木に背中を押され、偏差値57の特進コース合格を目指します。

    ・ 加藤匠 第一志望 東央の80%判定を受け、黒木に偏差値60を超える学校(海上中、「男子新御三家」の一角「海城中学校」がモデルらしい)への「上方修正」の提案を受けています。本人は鉄研があるかどうか以外にはあまり関心がなく「受けても受けなくてもどっちでもいいよ。」と恬淡としたもの。悩んだ母ですが、最期は見切り発車でその「海上中」を第一志望として提出してしまいます。

    ・ 前田花恋 第一志望 桜蔭中学校。合格判定40%を前に、本人は強気に振舞うものの緊張感は高まります。

    ・ 武田勇人 第一志望 日照大第二中学校、以下大学附属で固める。改心したように見えてやはり勉強は嫌いと見え、決して順調ではない様子に、母は「大学受験まで回避したいという強い執念」で志望校をすべて大学附属で固めるブレない姿勢を見せる。

    ・ 島津順 第一志望 開成、第二志望 都立大石山中等教育学校。「都立トップ」が気に入ったのか、学校説明会の様子に感銘を受けたのか、学費を機にしたのか、筑波大学附属駒場中を回避して都立中高一貫校を志望。開成の奨学金を気にする母優子に姉明子は学費の援助を申し出る。なお、母子に出ていかれた父は「あいつら、いいかげん意地張るのやめて部屋あっためといてくれねえかな」とまだ事態の真剣さを自覚していない様子。順の志望校が開成で変更がないか明子にメールで問い合わせている。

    ・ 村上一真 Ωクラス3番手、おそらく初登場。第一志望麻布、合格判定50%。「少々危なっかしい」併願プランの修正を黒木から求められる。

    ・ 本多華鈴 Ωクラス女子ナンバー2。第一志望雙葉 合格判定50%。母多恵(41)は合否に欲がなく安定していい雰囲気。

    ・ 藤原昴 第一志望武蔵。

    ・ 黒田翼 第一志望武蔵 合格判定30%。

    ・ 直江樹里 第一志望女子学院 合格判定40%。JGは「厳しい戦い」。抑えがしっかりしているので志望校はこのまま。

    ・ 柴田まるみ 第一志望女子学院。とうとう母を納得させた。

    ・ 馬場亜蘭 第一志望新宿学園新宿 合格判定50%。帰国子女。1月の「帰国子女入試」も受験するも、こちらは雲行きが桜花では読めない。「帰国生受験専門英語塾」で長文読解力がないことを指摘されたとか、海外にも日本の中受対策塾があるとか、これまで全く扱われなかった帰国子女の中学受験事情の一端に触れている。作者の取材力に改めて感嘆します。

    そして最後は上杉海斗のパートです。
    普段は各種申し込みは余裕をもって行っている上杉海斗が締め切りギリギリに申し込んできた第一志望はなんと開成でした。
    黒木だけは事前に相談を受け、GOサインを出していた様子です。
    遡って、海斗が母を説得した様子が描かれます。
    2月1日午前、一番合格しやすい時間、もともとの第一志望だった東央ではなく、開成を受験したいとようやく母に言うことができた海斗。
    当然驚き、海斗を説得しようとする母は「「最上位校を目指す」っていうのはね、「勉強に向いている子」がすることなのよ? 人には…「向き不向き」があるのよ…」と海斗の翻意を促します。
    しかし、海斗は引き下がりません。
    「そうやって…ママはいつも…「陸斗にはこれ、海斗にはこれ」って決めてきた。「こっちは陸斗に向いてる、こっちは海斗のほうが上手ね」「それで間違いないから」ってずっと言ってきたし僕たちもその通りにしてきた、だけど!」
    「いつまで僕たちが「向いてる」ことをママが決めるの?」
    海斗の視線は母を向かず、下を見ています。性格的になかなか胸の内を母に明かすのが難しかったのでしょう。
    「おんなじだ、あの時と!」
    「陸斗が僕との試合に負けて、空手をやめた時と!!」
    「ママ、あの時陸斗の気持ち、ちゃんと聞いた? あいつ、自分から「やめる」って言った?」
    「空手は海斗に任せて陸斗は塾だけにしたほうが」って言いだしたの、ママじゃなかった?」
    ようやく視線が母を向きました。
    真剣な視線が母を射抜きます。
    「僕達は…結果を出さなければ、その分野で頑張ることもできないの?」
    「僕は、自分のための受験がしたくてだから頑張れた、でも、ママが始めたことだから、僕は、僕達は、ママが決めたことに従わなければならないの? じゃあ、僕達は、いつになったら自分がやりたいことができるの? 自分のやりたいことを自分で決められるの?」
    「…僕は、ただ… 最初から「できない」って決めつけてほしくなかっただけなんだ…!」

    「二月の勝者」名場面集を作るとしたら、樹里・まるの歩道橋上でのライバル宣言、前田花恋が自分の居場所を塾に決めたときの振り返り、島津順の「開成受験したい」発言に並んでこの場面も入ると思います。

    あくまでも「現実」を見つつ、「12月の模試での合格判定が40%を超えたら認める」と譲歩をした母。

    双子の陸斗と海斗が「何に向いている」かをずっと決めてきたのは母でした。しかし、内心「あの子たちの気持ちを聞かずに全て決めてきた」ことにも気付いたのでした。

    これだけではありません。
    母と海斗のやり取りをこっそり聞いていた陸斗。
    部屋で顔を合わせた二人の会話がまた泣かせます。
    海斗陸斗の双子設定ってこれまであまりスポットライトが当たらず、どちらかというと海斗と島津順の友情、陸斗とトップ塾「フェニックス」サミットクラスの様子とばらばらに描かれてきた印象がありますが、ここにきてようやく双子の気持ちが取り上げられました。
    海斗の心を説明したり、台詞で語らせたりするのではなく、島津順との衝突と和解、夏期講習や「ししょー」関係と島津順の弱みを見たことによる親近感、Ωクラス選抜に挑み、島津順と机を並べたことによるモチベーションの爆上がりなど、一つひとつの描写を重ねてきたことによって浮き彫りにされたその心情は鮮やかです。

    ラストは海斗陸斗からの流れで、フェニックス吉祥寺校サミットクラスの「神7」の紹介で終わり。
    …中学受験で「御三家」受かるのって、絶対東大京大に受かるのより難しいと思うんですよね…。そんな試験を余裕で突破しそうな「地頭が宇宙人」な子たちのエピソードがなかなかとんでもないことになっています。
    ちなみに輪をかけて宇宙人なはずの織田君が桜花ゼミナールのお茶の水校にいるはずなんですが、こちらのエピソードも読んでみたいところです。


    最後に登場人物一覧を更新しておきます。
    これまで登場しなかった子が次々と登場して嬉しい限りです。

    【登場人物一覧、12巻末現在、偏差値、志望校はわかる範囲で最新のもの】
    【R(最下位)クラス10名→9名】
    〇(退塾)石田王羅 偏差値38 38→37 志望校(偏差値)武蔵(64)
     カードゲーム好きの問題児。1話からちらほら顔を出している。選択問題は鉛筆を転がして答えを決めている。
     自習室でのトラブルから桜花ゼミナールを退塾して系列の個別指導塾ノビ~ルへ。
     かけ算の100マス計算が1分30秒を切って喜ぶ様子が描かれた。
     父:死別
     母:三枝子(43)鍼灸師
     祖母

    〇武田勇人 帝都圏模試44 日照大第二(首都圏53)
     スマホゲー好き。ほとんど宿題をやらない。
     父:正人(まさくん)(40)会社員
     母:香織(40)会社員
     面倒くさそうな問題は答えを写していたのを、夏期合宿を機に反省し、母に答えの本を預ける。

    〇伊藤章太郎 3巻より 東英大附属白金、日照大附属杉並
     魚、水族館好き、両親医者?
     志望校は適正校や安全校を視野に入れ、親子で希望が一致。

    〇今川理衣沙 帝都圏模試42 吉祥寺女子(吉祥女子)(67)、昌川女子(品川女子)(61)、帝都女学館(61)、光花女子(59)
     昌川女子(品川女子)のキャメルのブレザーに憧れる。
     女子の派閥リーダーでトラブルも。
     「キャラクターもののノートを買ってもらいウキウキと眺めている」
     志望校を決めて本気で受験に取り組み始めた山本佳苗、浅井紫と距離ができ、山本佳苗のシャーペンを隠す、意図的にマルつけを間違えるなどの嫌がらせを繰り返す一方、大内礼央に接近を図る。
    個別指導塾「ノビール」利用中。
    母:紹子(42)
     世間に対する見栄で志望校を決め、「これ以下の学校なんて行かせない」と息巻いている。適正校を勧める塾に不信感を抱く。

    〇浅井紫(ゆかり) 偏差値 44→46 光花女子(光塩女子 カトリック校)志望も、佐倉提案の湧泉女学院中学が刺さる。
     文具大好き、将来の夢(一応)花屋さん
     今川理衣沙とのトラブルでは山本佳苗寄り。黒木の打った手「席替え」で今川理衣沙と席が離れて「何となくホッ」としている。

    第①志望湧泉女子
    第②志望水連女子
    第③志望カトレア女子
    第④志望聖リンドウ

    父:伸也
    母:千秋(47)

    〇山本佳苗 帝都圏模試47、鈴蘭女子(48)
     学園祭で訪れた鈴蘭女子で先輩から優しく接してもらい、志望を固める。未だエンジンのかからない今川理衣沙からちょっかいを掛けられるも「「自習ダサイ」とか言ってるのに付き合ってたらさすがに受かんないよ」とメンタルの強いところを見せる。「いつの間にかすっかり受験生」
    母:織江(41)
    学園祭で訪れた鈴蘭女子学園で詳しい話を聞き、子供のほうを見て同校への併願を考え始める。

    〇大内礼央 AからR落ち、渋谷模試46、帝都圏模試52 法陽大附属(渋谷56、帝都64)
     志望校に対する本人の明確な希望がいまだ見えない。
     山本佳苗、浅井紫と距離ができた今川理衣沙にすり寄られ、口論していたところを橘先生に見られて6年生の自習室を出入り禁止に。今川理衣沙に迷惑をかけられたうえ、自分の言い分を全く効かない橘先生や母に不信感を覚え、「小学生女子は人間関係のトラブルで簡単に成績が落ちる。特に計算問題。」の典型例に。
    個別指導塾「ノビール」を週2コマ利用していたが3コマに増やした。
     母:成美(42) 橘先生に不信感を覚えるも、「女子のごたごたに気を取られているからRクラスに落ちたんじゃないの?」とデリカシーのない声掛けで礼央を傷つける。

    〇福島圭 AからR落ち 渋谷模試46、帝都模試52
     母:友美(39) 残り時間に焦り、圭に伝えているのにバトルにしかならない。塾の面談で泣き崩れる。

    〇明智珠洲 7巻座席表にて登場、下の名前判明
    〇渡辺太郎 7巻座席表にて登場、下の名前判明

    座席表
    大内礼央 福島圭  山本佳苗
    浅井紫  武田勇人 伊東章太郎
    明智珠洲 渡辺太郎 今川理衣沙

    11月模試
    福島圭   成明大附   40%
    大内礼央  法陽大    20%
    伊藤章太郎 東英大附白金 80%
    山本佳苗  鈴蘭女子   60%
    浅井紫   湧泉女子   20%
    武田勇人  日照大第二  50%
    今川理衣沙 吉祥寺女子  20%以下

    【Aクラス13→11名】
    〇伊達智弘 渋谷偏差値50、帝都圏模試57 米田実業(早稲田実業) 渋谷偏差値64
     「米実行って野球やる」
     面談にて「ホントに米実行きたいならテラ本気出せって」言われたらしい
     結局偏差値が足りず、米実は回避して他の野球の強豪校へ向かう
    父:勝人
    母:乃里香(38)

    〇加藤匠 Rクラス→Aクラス 渋谷模試55 東央(渋谷60)、千駄ヶ谷学園(渋谷55)、園学園(49)、光栄学園(44)
     鉄っちゃん。目標を見つけ、気分一新して取り組む。RよりA入り。ジャイアントキリング候補。
     順調な成長により、海上(男子新御三家)を狙わせようと黒木が画策している。
     母:涼香(41)
     父
     兄
     褒める、労うなどで受験をバックアップ。

    〇三浦佑星 Rクラス→Aクラス 渋谷大崎43 園学院大中学(特進)、園学院大中学、日照大第二中
     サッカー少年。1話でスポットライトが当たる。受験勉強を始めたばかりで偏差値40はすごいらしい。志望校が固まっており、Ωクラス選抜テストは受験しなかった。
    園学院の文化祭でモチベーションが上がった様子。
     園学院中の特進の正規合格が狙えると黒木に発破をかけられる。
     父:少年サッカーコーチ
     母:一葉(47)

    〇大友真千音 渋谷模試50 志望校:父:ミッション系の女子高(香梅女学校、成明学園)、本人共学志望
     「いつもの夏休みよろしく旅行の計画を立てている」
    去年同程度の偏差値から実際に成明に逆転合格した生徒の過激な自宅学習メニューを示して、婉曲に軌道修正を示唆する
     父:秀樹(47)
     母:真理
     姉妹:添和麗
    〇田中利休 渋谷偏差値55 2/1午前は本人第一志望の柴又(60)、午後確実な併願校(青翔)、中盤から後半に父希望の有栖川学園(62)で説得される
     父:利一(43)、IT企業勤務
     母:多香子(42)

    〇原秀道 渋谷模試54 明知大附属明知(61)、中庸大附属、法陽大附属、成?大附属
    指示待ち、素直、本人の明確な希望が見えない
    海外大学推薦制度利用?
     父:大和(49)
     母:さとね(49)
     姉:紀香(高2)

    〇三好? 7巻座席表にて登場
    〇丹羽? 7巻座席表にて登場
    〇根津? 7巻座席表にて登場
    〇真田? 7巻座席表にて登場
    〇北条? 7巻座席表にて登場

    座席表
    原秀道  加藤匠  田中利休
    伊達智弘 三好?  三浦佑星
    丹羽?  根津?  大友真千音
         真田?  北条?

    11月模試
    田中利休  柴又
    加藤匠   東央    80%
    原秀道   明知大明知 20%以下
    伊達智弘  早米田実業 20%以下
    三浦佑星  園学園(特進) 50%
    大友真千音 




    【Ωクラス(最上位クラス)9→11名】
    〇島津順 渋谷模試64、フェニ模試55 開成(渋谷71、フェニ66)
     吉祥寺桜花トップ。日本史ヲタ。
     父は公立校から難関大の「父能研」で教育虐待、DV気味。父の無理な指導で9月模試の偏差値が△3ポイント
     父のDVに自宅を飛び出し、桜花に向かう。
     母は「受験、やめます」。
     一方の順は、開成の過去問が解けなかったことに「超イラった」と黒木に解法のヒントを求める。
     黒木の提案した開成の奨学金制度を利用して受験を続行することに。また、受験料等と「都立トップ」を見て都立大石山を第二志望とすることに。
    母:優子 薬剤師資格持ち、専業主婦
    母の姉:明子 薬剤師資格持ち、独身? 順の学資の援助を申し出る。
     父:自分の教育虐待を逃れて母子が家を出た事態をまだ軽視している。依然順の開成受験・合格にこだわっている。


    〇前田花恋 渋谷模試66、第一志望桜蔭(70)合判40%、第二志望豊島園(70)40%
     負けず嫌いでトラブルも。直江樹里と仲良し。「落ちこぼれのレベルに合わせるのなんか学校だけで十分だよ」
     母:麗子(46)おそらく医師、受験を揶揄する同小のママを「ガチの天然」で鎧袖一触
     父:おそらく医師、海外赴任中。花恋の受験に合わせ帰国予定。

    〇直江樹里 偏差値61 60 59 女子学園(70)合判40%、第二志望吉祥寺(61)80%、馬武立(57)80%、湧泉(52)80%
     両親美容師でファッション大好き、制服のない学校志望、前田花恋と仲良し、外向的で柴田まるみに積極的に声を掛ける。
     Ωクラスの席が隣同士になったのをきっかけにまるみと仲良くなり、家に招いて一緒に勉強する。
     実は柴田まるみの几帳面さ、真面目さを尊敬している。
     父:翔太(35)美容師
     母:杏里(36)美容師

    〇上杉海斗 渋谷模試55、フェニックス模試46
     フェニックスS1(最上位クラス)に一卵性双生児の弟陸斗が在籍。本人はフェニックスA(最下位)だったが桜花ゼミナールへ転塾。島津順とトラブルになるが、関係修復。黒木に「いずれ島津さんと机を並べるようになる」と耳打ちされた、ジャイアントキリング候補。
    夏期合宿よりΩ入り。
    内心では島津順(「ししょー」)や兄弟の陸斗のように全力で難関校を目指す「カッコいい」受験に憧れ開成を志望。黒木にだけは内心を打ち明けていたが、12月の模試を前に初めて母に心の裡を打ち明ける。模試で合判40%以上なら開成の受験をしてよいとの了解を得る。

    父:東央大附属出身。生物部。
    母:麻沙子(46)
    弟:陸斗 フェニックスS1クラス所属、S1名物「神7」の一角、9月フェニックスオープン偏差値66.6 志望校麻布

    〇柴田まるみ 偏差値50 50、+4.3→54.5 女子学院(女子学園)70
     不登校で「偏差値を物差しとしない」学校志望から、先輩から校風を聞きJG(女子学園)に心惹かれるようになる。ジャイアントキリング候補。
    夏期講習からΩ入り。直江樹里と仲良くなりつつある。
     天才肌の直江樹里に劣等感を覚えるも、心の底をさらけ出して見せた樹里の「伸びしろしかないじゃん」「そっくりそのまま返すよ」に感銘。気持ちを改めてJGを目指す。
    11月模試の合格率は20%。本人は落ち込むも、答案を見た講師たちは基礎をしっかり固めたことがうかがい知れるその答案から、もしかして「間に合う」かも知れないと思い始める。
    母美佐子から「調査書」の存在を理由にJG受験を反対されるも、「今自分にできること」として保健室から一歩を踏み出し教室に入ることに成功する。


     母:美佐子(39)
     樹里に対する劣等感やJGのハードルの高さに押しつぶされそうになっているまるみを見かねて、JG志望からの撤退とAクラスへの降格を希望して黒木と面談するも、ガス抜きされて引き下がる。
    しかし、模試の結果を見て改めて黒木に面談を申し込む。
     姉:さとみ(大学1年、北海道在住)

    〇村上一真 第一志望麻布合判50%。
     Ωクラス3番手。

    ○本多華鈴 偏差値63 第一志望雙葉合判50%、第二志望黒50%、修学院女子80%、帝都女学院80%。
     母:多恵(41)

    ○馬場亜蘭 渋谷大崎偏差値59 第一志望新宿学園新宿(65)合判50%。
     帰国子女。1月の「帰国生入試」も受験予定。3年イギリスに滞在、日常会話はペラッペラながら長文読解が今一歩
     母:なおみ
     姉?2名
    ○毛利光 渋谷偏差値62 志望校OK普通部(64)
    一族全てOK幼稚舎出身の中、本人は小学校受験失敗、リベンジのためOK附属3校を併願
     母:秀美(38) 家庭教師を口コミで紹介してもらうための人脈造りのため、PTA本部役員を3期もやった。

    ○藤原昴 武蔵志望
     12巻で初めて顔イラストが出る
    ○黒田翼 武蔵志望
     12巻で初めて顔イラストが出る


    座席表
    村上一真 前田花恋  島津順
    黒田翼  藤原昴   本田華鈴
    毛利光  柴田まるみ 直江樹里
         上杉海斗  馬場亜蘭

    11月模試
    前田花恋  桜蔭   50%
    島津順   開成   40%
    藤原昴   武蔵   50%
    村上一真  麻布   20%
    直江樹里  女子学園 40%
    柴田まるみ 女子学園 20%




    不明(A/Rクラス)
    〇(苗字不明)歩夢 S川女子(品川女子学園・57)

    お茶の水校
    ○織田未来 渋谷偏差値74 年間平均偏差値72、算数オリンピック出場

    【桜花ゼミナール関係】
    〇白柳徳道(60)
     桜花ゼミナール社長。おそらく黒木とは個人的な知り合いで、彼のやっていること、やろうとしていることを承知している。
    〇黒木蔵人
     桜花ゼミナール吉祥寺校校長。元フェニックストップ講師。サッカー経験者で中途挫折したか?露悪的に振舞うものの、いろいろありそう。
     左手首のミサンガは何か「約束」の証らしい。
     貧血は体質で通院している。「フェロミア」錠服用中。

    〇佐倉麻衣(算数)
     GMARCH卒。桜花ゼミナール新人講師。空手有段者。空手を指導した子供を「勝たせてあげられなかった」経験あり。
    山梨に祖母。小学校の先生だった祖母に、学校の先生になったと話している
    いとこ修治
    いとこの子拳太、翔太 まだバンボ


    〇桂先生
     1巻からレギュラー。佐倉の相談相手。よく中学受験事情を佐倉に(そして読者に)解説してくれる。将来の夢「社長」。
    〇橘勇作先生(算数・理科)(32)
     1巻からレギュラー。「ただ野球やってた」。子供好き。黒木のやり方に反感を持つ。小6女子の表裏のある人間関係に無頓着で、大内礼央や山本佳苗から敬遠される。
    〇木村大志先生(社会)(27)
     1巻からレギュラー。だけど出番らしい出番はなく、ほぼモブ扱い。こち亀読んで警察官になりたかった。
     自身の小学校受験では「お母さんの喜ぶ顔が見たい」がために、過去問演習でカンニングをした経験あり。
    〇朽木伸明先生(算数・理科)(42)
    〇平松(旧姓森)あおい先生(国語)(32) 新婚。
    〇平松創(はじめ)先生(社会)33歳 新婚。
    〇梅原拓(たく)先生(国語)(39)
    〇桐谷尚也(なおや)先生(理科)(29)
    〇栗田頼子先生(算数)(46)

    〇碧川皐月(22) 新人講師。桜花ゼミナール社長の白柳と懇意である様子。「一応」東大卒。
    〇柿原肇(39)自由が丘校社会講師。
    〇木原直人(31)池袋校国語講師。
    〇小松崎賢人(29)立川校理科講師。
    〇木根育江(40)成城校算数講師。

    ○林原安寿(29)社長秘書

    ○牧野 桜花札幌校校長
    ○桧木 桜花系列虎勝セミナー校長

    ○木田 個別指導塾ノビール(桜花ゼミナール系列)教室長

    【フェニックス関係】
    〇灰谷純 フェニックス吉祥寺校のイケメン講師

    〇カズマ フェニックス吉祥寺校「神7」トップ
     「勉強が好きすぎて寝てくれなくて困っている」「4月からずっと筑駒の合判80%なのに、全く油断せずやり続けてる」
    〇マリナ フェニックス吉祥寺校「神7」
     マイペース。「3歳から習っているバイオリン、毎日1時間の練習をやめない、それでもし桜蔭に受からなくてもそれはそれでいい」
    〇ツバサ 5年生で算数オリンピック入賞、今年は受験優先で親は不参加のつもりが、本人が勝手に申し込みをしていた
    〇リョウタ 学校公開の授業で同じ問題で違う解法を一人で何パターンも出して、他の生徒からの発言が尽きた後でも一人でずっと手を挙げていた。典型的な「浮きこぼれ」。

    〇アキラ フェニックス時代の黒木が「潰した」生徒。祖母の家に引き籠るが黒木の支援の下高校受験の準備をしている

    【starfishの人々】
    〇ショーマ 黒木先生と一緒に何かをやっている人。
    〇せいら 歓楽街で働く女性。マイムのママ。ヒモ?である「京ちゃん」の手から離れて未来を模索する。介護福祉士受験準備中。
    〇ガイア 小学生くらい?せいらの息子。百ます計算のドリルを手にしている。
    〇京ちゃん せいらのかつての男。黒木を間男と罵り殴り掛かるが、佐倉に追い払われる。
    〇ティアラ ツインテールの髪先をピンクに染めた女子高生。大学受験を控えている。

  • 最終模試直前の11月。
    いよいよ受験校を決めなければいけない時期。

    それぞれの家庭の悩みが、今回もヒシヒシと伝わってきて面白いけどツライ。

    あらためて、この漫画は幅広い学力の子どもを丁寧に描いているのがスゴイと思った。

    次も楽しみ。

  • 12月最終模試前…
    いよいよ志望校も本決まり。。
    「待つ」事はとても難しい。
    読んでいてヒリヒリする。
    ここまでやったらやっぱり何が1つはあげたいと思うよ、ほんと。

  • 読了。面白かった。

  • 2021.11.16読了。

  • ドラマも楽しみです!

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著者プロフィール

高瀬志帆:累計75万部の『おとりよせ王子 飯田好実』の他、現在はTVドラマ化が発表された『二月の勝者』(小学館)を連載中。

「2020年 『おとりよせ王子 飯田好実 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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