幽玄の絵師 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101038612

作品紹介・あらすじ

異世界×感染爆発。パンデミックの真相は? 薬剤師として働く空洞淵(うろぶち)霧瑚(きりこ)は、自身が専門とする漢方と現代医療の狭間で苦悩していた。そんなある日、病院からの帰り道で不思議な少女に出会う。「幽世(かくりよ)の薬師様、お迎えに上がりました」――気が付けば、そこは携帯の電波も届かぬ異界であり、さらに、謎の感染現象に苦しむ人々が溢れていた。これは病か。あるいは、怪異か。現役薬剤師が描く漢方×異世界×医療ミステリー、開幕!

感想・レビュー・書評

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  • 時は室町時代。
    8代将軍足利義政の世である。

    世は乱れに乱れ、大名は戦に明け暮れ、人々は度重なる天変地異にも翻弄され、その日一日を過ごすので精一杯。
    しかし、将軍は自らの殻に閉じこもり、作事、作庭に明け暮れる。
    一歩外に出れば、餓死した民が山ほどいるというのに。
    そんな中、絵師の土佐光信は怪異に出会う。
    あるものは恋焦がれ、あるものは憎み、そしてあるものは…神、あるいは鬼。
    人の望みが世を作る、と怪異は知らせる。
    我らは望みがあって生まれるものぞ、と。
    だとしたら、なぜ穏やかな世にならぬ?
    主らがこの世を地獄に変えているのでは?

    怪異が語ることと、それを裏付ける人々の行動には寒気がする。
    それでも、光信は何かのために描き続けるのだろうか。
    理想だけが現実を変える力がある、とは後世の偉人が述べた言葉である。
    悲しみの最中にはこの言葉は何の根拠もない言葉に聞こえるかもしれない。
    だが、この言葉に一瞬でも希望を感じられるなら、小さな力を繋いでいけるのではないか?
    悲しい余韻の中でも、私は希望を繋ぎたくなった。

  • 【2023年116冊目】
    他人には見えない妖が見える絵師、光信。幼少期から絵師として育てられた彼は、壺に、屏風に、鯉と、ありとあらゆるものに魅せられます。本人は解決しようという気持ちで挑んでいるわけではなさそうですが、結果として難題を解決する建付けで、全7篇の短編からなっています。

    時は室町時代、足利義政が執権を持つ頃の話です。どのお話もよく練られているなという感じなのですが、どうも物語の進行を淡々と追っている感じがして、感情的にはちょっと平坦なままで読み切ってしまいました。

  • 室町時代には怪談がよく似合う。人間の世界も混沌としており、カオスな世界観がとても良かった。

  • 風の段/花の段/雨の段/鳥の段/影の段/嵐の段/終の段

    将軍 足利義政に仕える絵師土佐光信。
    人の目に見えないものを目にしながら、将軍の命により怪異を解いていく。淡々と

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著者プロフィール

作家

「2020年 『鬼呼の庭 お紗代夢幻草紙』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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