神田鶴八鮨ばなし (新潮文庫 も 24-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (421ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101163215

感想・レビュー・書評

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  • 単行本が出た1986年頃、NHKでやったドラマ「イキのいい奴」の原作とのことで読んでみた。鮨の名店の主人が自分の鮨職人としての哲学や修行時代の思い出などを語るもの。
    納豆巻きやいくらの握りみたいな、いわゆる新しいものは鮨の本道とは違うから出さないとか、男が表(社会)、女が裏を担って背中合わせで協力するのがいいとか、30数年たった今では何とも……ということを言っているんだけど、何とも古くさいとも、なんちゅうジェンダー観なんだともいいきれない。頑固一徹だけど自分の経験から生まれた考えなんだもの。今はこんなこと言ったら危険だと思ってか、みんな言わないもんね。30数年前はこういうことが言えた時代だったってことでもあるだろうし、こういう人がある種、尊敬される時代でもあったということだろう。今はそういう余裕や一流のものに対するあこがれが失われてしまっている。悲しいかな、これも下り坂をいく国の姿の一面なんだろうな。

  • 神田生まれの神田育ち、鮨屋の生意気な倅が、頑固で口より先に手が出るが、人間としても味のある親方に預けられ、様々な経験や失敗をして成長していく…師岡幸夫の鮨にまつわるエッセイ。このエッセイが1986年にNHKでドラマ化された「イキのいいヤツ」(小林薫、金山一彦主演)の原作です。高校生の頃、大好きで毎回楽しみにしていたドラマでした。何が良かったかって言えば、親方と弟子が、スッタモンダしながらも、師弟の絆を深めて行くストーリーと、それを取り巻く人情味あふれる人々の交流がとても心地よかった♪
    原作となるこのエッセイにもそれが綴られていてとても楽しく読ませてもらいました。このエッセイに登場する実在の人々とドラマに出てきた人たちを照らし合わせながら♪
    今、鳥インフルエンザや狂牛病など、食にまつわる暗いニュース続いていますが、この著者はこの本が刊行された時点(昭和61年)でこんな事を言っています「飢えて死ぬ人たちが大勢いるというこの地球上で、そんな贅沢に無駄をいっぱい、それも高いお金を払って外国から輸入しているもので無駄を出すということは、社会全体あるいは日本人全部が狂っているんじゃないかというような感じがいたします」非常に丁寧な言葉遣いと、江戸っ子気質な語り口が混在しながら、世の中の食の変化にやんわりと苦言を呈する著者に共感する部分沢山ありました。自分は職人崩れだし、職人といっても著者と職種が違うけど、手に職をつける事は職種は違えど基本的な事は同じなんだなぁ〜ってこの本読んで感じました。

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