かけらのかたち (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 138
感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101203720

作品紹介・あらすじ

年上の夫の友人を自宅へ招いた日、マドンナ気取りの女・優子が現れた。我が物顔で台所を使い、男たちに甘え、その上夫の前妻の話をし始めて……(「マドンナとガガ」)。女4人でランチ会。同じ大学だった優子の噂や、家庭の経済力、子供自慢と、持てる“球”をラリーする(「アドバンテージ フォー」)。人と比べて嫉妬に悶え、見失う自分の幸せの形。SNSに書けない本音を暴く、痛快な連作短編集。

感想・レビュー・書評

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  • アラサー以降の女性は思わず共感してしまう内容の連作短編集。
    かく言う私もアラサーなので何度頷きながら読んだことか…
    こういう人いるよね、こういう場面あるよね、なんなら私がこういう人になっちゃってるかも(ゾッ)なんて思いながら読みました。

    女性独特の和やかな雰囲気を装いつつピリピリとした探り合いをするランチタイムを描いた「アドバンテージ フォー」や華やかな母親と自分の生き方の違いに葛藤する留学中の娘を主人公とした「マミィ」など設定は様々。
    「マミィ」が特に好きでした。

    連作短編なのでさっきのこの人この物語ではこんな人として出てきてる!なんて思ってページを捲る手が止まらなかったです。
    カラフルに四人の女性が描かれた表紙も可愛くて好きです。

    調べてみると著者の深沢氏は在日韓国人のお話を多く書いているそう。
    あまり読んだ事のないトピックなので興味が出ました。
    また読んでみたいと思います。

  • フィクションの世界から離れすぎて
    私は小説を読めない人になっているかも…。
    という不安は1ページ目を開いたときには消え去り、気がつけば一冊を読み終えていた。

    この本に登場するのは、日常生活に不自由することなく、寧ろ周りから羨ましがられるような人。 
    それなのに、誰もが自分の生活を100%肯定できていなくて。
    SNSの負の面が描かれているなぁ…と、
    少しモヤっとした気持ちとともに読み進めた。

    そんな中で感じたのは、
    登場人物のそれぞれが気づきを得て
    自分の人生に焦点を当てられたときに
    ある意味覚悟が生まれ、前を向いて歩いていけるんだな、ということ。

    特に「マミィ」は読んでいて清々しかった。

  • 女性の見栄、嫉妬などの感情を色々と詰め込んだ短編集。
    軽く読めるものが多く面白かった。

  • Twitterで深爪さんが勧めてるのを見て購入。
    『アドバンテージフォー』が一番えぐかったな。

    マウントを取りたいが故にまだ夜やんって時間に起きてパンを作る智恵は純粋に凄いと思う。
    朱里も紀香も絶対そう思ってるけどいつまでも学生時代の痛いエピソードをネタにして絶対認めようとしないの、逆に痛い。
    他人は鏡だなと思った。
    沈黙は金を実行した恭子の一人勝ちもえぐかったw

    • 読書初心者侍さん
      朱里も紀香も実は智恵のようになりたいと思ってるのかなと感じた。
      だから鏡ではないな。訂正。
      朱里も紀香も実は智恵のようになりたいと思ってるのかなと感じた。
      だから鏡ではないな。訂正。
      2023/12/29
  • 妻たちのヒリヒリする話。リアル。
    アドバンテージフォーが1番好き。

  • ままならないのが人生だ、
    誰もが誰かを羨んで生きているものなのだと考えさせられる一冊。
    ただ、深沢潮さんは伴侶の偏差値、こちらも、ランチに行きましょう、を読んだ、ランチに行きましょう、が一番面白かったなと思う。

  • 短編連作小説。
    それぞれの物語が少しずつ重なっていて、おもしろかったです。

  • 四十代半ばの健介と二十歳の年の差婚をした梨奈。お披露目会を兼ねて夫の大学時代のテニスサークル仲間を自宅へ招くと、突然、マドンナ気取りの女・優子が現れた。SNSの投稿で開催を知り、押し掛けたらしい。
    我が物顔でキッチンを使い、男たちに甘え、健介の前妻の話までし始める優子。さらには健介との仲も匂わせてきて……(「マドンナとガガ」)。
    大学のテニスサークル仲間だった女性四人のランチ会。平日に集まれたのはフリーのライターをしている朱里と、専業主婦の三人――大学時代から二十年以上経ってもあか抜けない智恵、エリートの夫と離婚しシングルマザーとなった恭子、声も体格も大きく本音をズバズバ言う紀香だけだった。
    話題は、大学時代からサークルの男性陣としかつるまなかった優子の美魔女アピール激しいSNS投稿についての他、それぞれの家庭の経済力、子供の学歴や外見の自慢と、持てる“球"をラリーしあっていき……(「アドバンテージ フォー」)。
    恋人、結婚、子供、仕事、お金、容姿、名声……他人と比べては生まれる嫉妬心。SNSでぎらぎら見せあうためではなく、自分が本当に大切にしたい幸せはどんなかたちだろう。現代人の本音を暴く、痛快な連作短編集。



    あーこういう女いるわーって終始なった。いつまでもみんなのアイドルな優子。本当にうざいわー美魔女でもいいと思うけど、マウント取るの本当に何ってかんじ。優子の娘の安奈の選択がわからんでもない。



    紀香も優子も子供を産んでこそ女としての価値があるって思ってるんだよなぁ。子供がいない夫婦に対しての失礼なセリフ。たぶん、彼女は「結婚したら子供ができて産まれるのが当然」という価値観なんだろうな。自分が簡単にやってのけることが、他の人には難しいということを考えたことも思ったことがないのだろうな。


    しかし、大学を卒業してもう何十年と経っているのに、いまだに集まって鍋パやったり噂話したりするのすごいな。私がそういうサークルに所属してなかったからかもだけど、この人たち暇なんかって思ってしまった。まぁ、社会に出ると友達って出来ないもんなぁ。


    2022.11.28 読了

  • 40歳~50歳代の熟年期の男女が、大学生時代のテニスサークル同総会に集まる主役に、そのパートナーもぎこちなく参加する。学生時代に共に過ごした仲間内の人間関係や恋愛関係に、パートナーの過去を知らない同伴者の心の揺れや嫉妬。短編の展開の中で、徐々に明かされていくテニスサークルメンバー達の社会人としての価値観の多様性。結婚して家庭に入るか、独身で仕事を続けるか、共働きとイクメン。妊娠に苦しむ男女の葛藤。SNSに一喜一憂して自分を見失いはしないか。母親の価値観にがんじがらめになった娘の葛藤と人生の選択。女子会の「アドバンテージ フォー」では、4人で囲むランチを巡って家庭の経済力や子ども自慢など、マウンティング合戦が繰り広げられます。隣の芝は青いのか、自分の本当の幸せの価値観を再確認していきます。読み進めると、同世代だから分かる「あるある」が随所に出て来て、リアル追体験に。自分をどの登場人物に映すか、ハラハラ・ドキドキと共にモヤモヤも続きますが、最終話ですっきり晴れ晴れします。

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著者プロフィール

東京都生まれ。2012年「金江のおばさん」で第十一回「女による女のためのR-18文学賞」大賞を受賞。著書に受賞作を含む『ハンサラン 愛する人びと』(文庫版『縁を結うひと』)『ひとかどの父へ』『緑と赤』『伴侶の偏差値』『ランチに行きましょう』『あいまい生活』『海を抱いて月に眠る』などがある。

「2022年 『わたしのアグアをさがして』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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