パルモア病院日記: 三宅廉と二万人の赤ん坊たち (新潮文庫 な 22-1)
- 新潮社 (1990年4月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101204116
感想・レビュー・書評
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パルモア病院は、産婦人科と新生児中心の医療と、小児科を併設した、「お母さんと赤ちゃん」のための病院です。
せっかく授かった命を、大切にしたい・・そんな、院長「三宅さん」の高い信念のもと、朝昼夜中を問わず、お医者さんが、かけつけてくれる病院です。
ここで、私は、二人の娘を、出産しました。まだ、三宅先生ご健在で、エレベーターには、院長用のいすがありました。
入院中、一度エレベーターで、院長先生と一緒になりました。その頃は旧館で、狭いエレベーター内で、院長先生はイスに座らず立ってられるので、「座られないんですか?」と尋ねると、「周りが心配しておいてくれてるんでねえ。あなた、座りなさい。」と、逆に出産後の私が勧められました。エレベーターでの短い時間のなかでも、楽しく立ち話をしました。なんとも、暖かい人柄でした。そして、院長先生への周りの方の「愛」を感じました。
この本を読むと、「ああ、高い理想と、院長をはじめ、医者や看護婦、すべての職員の、報酬を度外視した献身のもとに、この病院は成り立っていたんだなあ」と、頭が下がります。
生まれてすぐに、母乳。母親の体温を感じるところに新生児を寝かせる。「赤ちゃん」中心の病院です。
真夜中、廊下には、産後間もない新米お母さんたちが、赤ちゃんを抱いて、うろうろしています。「大丈夫、一人じゃないんだ」・・・という安心感が、いつも、ありました。
お母さん用の食事はとっても家庭的でおいしく、出来立てほかほかで、母乳によいものばかりを、丁寧に手作りしてありました。
退院までに、そのころは院長先生との個人面接がありました。母乳の状態など、お母さんの不安を、明るく励まし、「産後鬱なんか」を吹き飛ばしてくださいました。
娘の名前を言うと「いい名前だねえ」と、褒めてくださったのを、今でも覚えています。
この本を読むと、まざまざと、あの日がよみがえってきます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
命について考えさせられた素晴らしい本。命を授かる前に読めてよかったです。
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日本初の産婦人科と小児科が一緒になった病院のお話。産婦人科に興味のある自分にとっては、非常に興味深かった一冊。先人の取り組みに学んだ一冊。