- Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101205267
作品紹介・あらすじ
天才算術家関孝和に師事し、葛藤する中で円理を究めた高弟建部賢弘(かたひろ)。その苦闘の生涯を描く「円周率を計算した男」(歴史文学賞受賞)ほか、独学にして大酒飲みの奇才久留島義太(よしひろ)、算学者であり大名だった有馬頼徸(よるゆき)、百姓出身で孤高の算術家山口和(かず)など、江戸の天才数学者たちを主人公に、数奇な人生模様を情感溢れる筆致で描く、和算時代小説の傑作。『円周率を計算した男』改題。
感想・レビュー・書評
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江戸中期の算術家・関孝和とその門下生を中心に。時代は6代将軍・徳川家宣。仕えた甲府藩主が将軍になった幸運も大きいよね。だって「お犬様」の時代だったら、かなり違った展開になっていたかも。
地味に面白かったけど、ヒトには勧めにくいなあ。地味過ぎて…。江戸情緒が盛り込まれているわけでもなく、ひたすら算数の好きなヒト達の生涯(とその周辺)が紹介されてます。あ、数字に弱くても全然問題ないです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
もう少し和算の部分にフォーカスした方が個性が出るのに、割と普通の人情ものだった。
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『円周率を計算した男』改題。
天才算術家の関孝和に師事し、葛藤する中で円理を究めた高弟建部賢弘、独学にして大酒飲みの奇才久留島義太、算額者であり大名だった有馬頼徸、百姓出身で孤高の算術家山口和など、江戸の天才数学者達を主人公に、数奇な人生模様が描かれる。
円周率の研究は、西洋では16世紀の終わりごろから始まっている。17世紀の最高記録はオランダのコーレンが計算した、小数点以下35桁。同時代のニュートンでも、1674年に14桁までしか計算していない。
日本では、寛永年間(1624〜1643)に鎖国政策が徹底されたため、西洋での円周率の研究成果は、その後長い間伝わらなかった。
寛文3年(1663年)村松茂清は『算爼』の中で、小数点以下21桁を記す。その後、算聖と呼ばれた関孝和も円周率に取り憑かれる。
そして、その弟子である建部賢弘は、後に円周率42桁を計算する。
和算に取り憑かれた、お江戸の数学者たちが人情味溢れる描写で描かれる。
どことなく、映画『π』を思い出す一冊でした。 -
意外に、切ないラブストーリー
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子どもの知識絵本に、「江戸の算数」(だったと思う)が、あったけど、つるかめ算だけでなく盗人算や、測量の仕方など、漫画で、説明されており、面白かった。
この本は、円周率を求めるのに、どのようにして、究めていったか、、、江戸時代の数学者たちが、そろばん片手に、夜も惜しんで、数字を書き込んで行ったのだろうと、推測される。
苦労話が多いのはわかるが、小説としての面白さが、もう一つ一気読みにさせなかった。
6話共、江戸時代の天才数学者ばかりを取り上げている。
今度は、伊能忠敬が、日本地図を今の地図と、ほとんど変わらずに、測量し、描けたのかを書いてほしい。
和算には、今のXYの記号を使用せずに、解いていった背景が、読みたいものだと、ふと、思った。 -
和算の話というより、それに関わる市井の人の恋や生活がふれられている。内容、文章も平易で小中学生向けにも良いかも。2017.1.26
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円周率の近似式を解明した建部賢弘の話はまずまず面白かったけど、それ以外はただの時代小説。
なんだかなー、と思ったけど、著者は時代小説家になりたかった人らしい。技術史の人じゃないのか。