出版禁止 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 377
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101207414

感想・レビュー・書評

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  •  掲載禁止となったノンフィクションと書かれていたので本当の事件を本にしたのかと思って読んでいましたが、それ自体がフィクションでした。頭が混乱しました。

     心中をメインとした話から現代っぽい事件の話への繋がっていきます。主人公はルポライターで事件の生き残りの女性に取材をするところから始まります。だんだんと様々なことが狂っていき、最後には想定していなかった展開へとなりました。

     なかなかに理解するには複雑な内容でしたが、それなりに楽しめました。禁止シリーズがあると初めて知ったので他も読んでみたいです。

  • 著者初読み。
    本屋で帯に惹かれて、手に取った1冊。
    私は全然知らなかったが、もともと「放送禁止」シリーズで知られている作家さんとか。
    太宰治を思わせる有名ジャーナリストの心中事件。
    彼は本当に心中したのか?それとも本当は殺されたのではないか?
    その謎を探る為、事件から7年後、あるジャーナリストが心中の生き残りの女性への取材を始め、その資料の存在と、作者である「長江俊和」の見解の2部構成で描かれる。
    読み終わった後の不思議な違和感。
    どこからがフィクションで、どこまでがノンフィクションなのか?
    最後まで読んでも「フィクション」とも「ノンフィクション」とも書いていない。
    調べてみると、そこがこの作者の真骨頂のようで、私も危うく騙されそうになった。
    グロテスクな描写も多く、ミステリーと言うより、ホラーのテイストも強めだが、ミステリーとしては、かなりの完成度。久しぶりに本格的なミステリーに出会えた気がした。

  • 心中なのか、殺人なのか?でもそんなことより、最後のグロさばかりが印象に残りました。七緒は‥生活‥首都‥、やり過ぎ。どんでん返しと言えばそうだが、読み返そうとは思わない。ある意味、強烈な一作でした。

  • ラストはなんとなく見破れたけど、伏線の回収しだした時は鳥肌たちました。

  • ヨビノリがどんでん返しの本で紹介してたからブックオフで購入。しかし読み終わって紹介してたのはこのシリーズの3作目だったことに気づく。

    でも総じて面白かった。続きが気になって本を読んでない時でもこの本のことを考えることが多かった。

    まず出版が禁止されたルポルタージュを筆者が特別に入手して、そのまま本として出版するというコンセプトが面白い。そしてそのルポルタージュがインタビュー形式だから、スラスラ読めて好印象。

    しかし段々雲行きが怪しくなっていき、、、。ルポルタージュを読んだだけでは何が出版禁止なのかイマイチ分からないのだが、その後の色々と発覚した事実を知ると、、、っていう感じの構成。


    これは記憶を消さないと最初に感じた衝撃は味わえないだろう。なんで最初に読んだときは気づかなかったんだ...?ってなるし、全部読み終えてからようやく始まる感がいいねー。

    描写がうまくて俺の想像力が豊かすぎるゆえか、艶めかしくも生々しい後半が気持ち悪くなって星3つとなってしまった。ぶっちゃけ胸糞で感動のオチとかではない。出版禁止されてるくらいだからそりゃそうか。

    次はヨビノリが紹介していた「出版禁止〜いやしの森滞在期〜」を、読むぞ〜

  •  出版できなかったルポルタージュの発表に踏み切る、という設定に惹かれた。心中を試みた不倫関係の男女のうち男性は死に、生き残った女性に取材していく、という形式で物語は進む。心中を図る人間の心情がどのようなものか気になり、ライターに感情移入して読み進めていると終盤いきなり裏切られた。いくらか謎が残るのは構わないのだが、ライターの猟奇的な行動がそれまでとあまりにも飛躍しすぎていて意味がわからない。読者を騙すための仕掛けありきだった印象。

  • ある有名人の心中事件を追う雑誌記者。
    「心中」する人の心中を探るためであったのに…。

    だれが悪人でだれが善人かが分からなくなってしまうミステリー。

    アナグラムなどの仕掛けがちりばめられている。
    サラサラ読めるわりには注意力が必要。

  • 個人的に恋愛ジャンルにさっぱり興味がなく、かの有名な「イニシエーション・ラブ」も最後の最後まで苦痛で苦痛で仕方なかったわりにオチがこれ!?とがっくりきたひねくれ者なのですが、こちらの作品は読み終わってからしばらくあれこれと物語のひっかかる部分を反芻するなど余韻を味わえました。
    さきほどの例にもあげたように、やはり2/3ほどは「男女の愛の極にあるもの」みたいな内容なので、ちょっとばかり苦痛でしたが最初に「心中事件の真相」という謎が提示されていたのでイニシエーション・ラブほどではなかったです(散々比較対象にして申し訳ないですが個人的な意見です)
    最初に提示されたひとつの謎から、視点が代わっていくつもの謎の集合体になるところにミステリーとしての面白さを感じました。
    フーダニット、ハウダニット、ホワイダニットすべてを味わえる作品だと思います。

  • ホラーっぽいけどホラーではないです。ホラー…的なとこもあるけど。確かに現代の「心中」は、愛し合う二人が共に命を断つ、が本来の意味だったはずなのにずれてきていますね。
    このお話は伏線がいっぱいでヒントもたくさん散りばめられているけど、最後まで読んでもいまいち分かったような分からないような…というモヤッと感が残ったので、他の方の考察をたくさん読んでようやく分かった気になってます。いや、やっぱり分かんないかな。サクサク読めるんですが、もう一回読んだほうがいいのかな。でも最後のあの部分、もう一回読むの嫌だな。おお!やられた!なんてどんでん返しなんだ!とはならなかったけど、えっ!(-_-;)とはなった…。
    さて、本当の「カミュの刺客」とは誰だったのか。私は考察でなるほどと思ったけど、アナグラムとかも読んでて分かる人はすごいな…。

  • ノンフィクション?と思うミステリーの傑作…
    文章で魅せるエンターテイメントだなぁ。
    叙述トリック大好きな方は必読ですよ、、、
    私は理解力が乏しいので、
    考察サイトに大変お世話になりました。笑

著者プロフィール

1966年大阪府生まれ。映像作家、小説家。深夜番組「放送禁止」を制作、熱狂的なファンを生む。監督として映画化し、上映。2014年、小説『出版禁止』がヒット。著作に『ゴーストシステム』『出版禁止』『掲載禁止』『東京二十三区女』『検索禁止』などがある。

「2023年 『恋愛禁止』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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