祖国の選択―あの戦争の果て、日本と中国の狭間で― (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (380ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101210513

作品紹介・あらすじ

「中国では七回も売られたんだ」終戦は新たな苦難の始まりだった。肉親と逸れ、大陸に取り残されてしまった日本人は、運命の分かれ道で重い選択を強いられた。戦時下の満州や戦後の中国を彼らはどのように生き延び、帰国を果たしたのか。元戦争孤児の父をもつ著者は、人生の終着駅に向かう六人の体験を丹念に聞き取り、紡いでゆく。戦争体験者のいなくなる時代に残すべき貴重な証言の記録。

感想・レビュー・書評

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  • 城戸久枝・インタビュー「世代を超えて」『祖国の選択 あの戦争の果て、日本と中国の狭間で』刊行記念 | インタビュー | Book Bang -ブックバン-

    城戸久枝 『祖国の選択―あの戦争の果て、日本と中国の狭間で―』 | 新潮社
    https://www.shinchosha.co.jp/book/121051/

  • 一気読み。オーラルヒストリーに勝るものなし。
    私には満州に渡った人たちは戦後「棄民」されたという認識がある。地方の方々が積極的に開拓団に参加された、というイメージだったが、まさか、「東京開拓団」があったとは。
    私は何者なのか、突きつけられた という話は、戦争下という環境はもちろんのこと、それだけではなく、今でも日本という国に存在するのではないか。容易に他者を差別化する。
    筆者がこれからは戦争体験を体験した本人が語ること自体難しいこととなる、と述べる。たしかに。「私が語る戦争」から「私が聞いた戦争」になる、と述べる。たしかに。それは間違いなく価値のあることだ。

  • 同著者の”あの戦争から遠く離れて”に感銘を受け、続けて読破。

    壮絶な人生を歩んでひた人々の口述が章に分かれて語られている。もしかしたら若干の風化・美化はあるかもしれないが、それでもそれぞれの人々の周りで起きた悲惨な出来事の連鎖は本当なのだろう。

    そんな状況でもHumanityを失わずに生きた人々であり、それは人として真の価値があることのような気がしてならない。

    第二章の語り部は、自らの体験を書くことでやっと少しづつ消化できたようだとの記載があるが、もしかしたらショッキングな出来事の追体験というのは、ある種の治療的作用があるのかもしれないと催眠療法の話をふっと思い出したりした。

    ちなみに最後の章では、”あの戦争から遠く離れて”の後日談が載っている。

    ドラマではなく、NHKで撮られたというドキュメンタリー、見てみたいなぁ。

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著者プロフィール

城戸久枝
1976年、愛媛県松山市生まれ、伊予市育ち。徳島大学総合科学部卒業。出版社勤務を経てノンフィクションライター。『あの戦争から遠く離れて── 私につながる歴史をたどる旅』(2007年/情報センター出版局)で大宅壮一ノンフィクション賞、講談社ノンフィクション賞ほか受賞。その他の著書に『祖国の選択──あの戦争の果て、日本と中国の狭間で』などがある。一児の母で、戦争の記憶を次の世代に語りつぐことをライフワークとしている。http://saitasae.jugem.jp/

「2019年 『じいじが迷子になっちゃった』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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