私の裸 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 101
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101211923

作品紹介・あらすじ

女は皆、平和を装っているだけ。ライターの天音は、妻としても職業人としても自己不全感を抱いていた。ある日、友人の紹介で俳優の朔也と出会う。人とは違う肉体を生かして役者になった朔也を取材するうち、彼の周りの女性たちが変貌した瞬間を知る。いい子の呪いに苦しむ鈴美、男性経験のない冬美恵、朔也の妻・理都子、そして天音自身も──。未知の私が現れる 5 編。『幸福なハダカ』改題。

感想・レビュー・書評

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  • 成長ホルモン分泌不全性低身長症の朔也と、4人の女たち。…

    女たちにはトラウマや悩みがあり、それぞれが苦しんでいた。
    朔也と出会い、彼の前に脱ぎ、彼に撮影をしてもらうことで、解放され一歩を踏み出すようになる。

    朔也にも、病が故の不安があり、それを笑顔で覆い隠して明るく生きている。

    誰かに共感できることはなかったですが、親に恵まれなかった鈴美の境遇は読んでいて苦しくなりました。
    すっきりと解決はしませんでしたが、鈴美には幸せになって欲しいなと思います。

    誰もが自分らしくいていいんだと背中を押してくれる作品でした。

  • 子どものような背丈の朔也と彼を巡る女たちの短編集。やや性的な分下チックな作品で、そこそこ楽しめたかな。

  • Cakesの連載を読んで、この作家さんが気になって読んでみた。それぞれのキャラクターの重い過去については、なかなか読んでて辛い部分もあったけど、朔也の前で女たちが自分を解放する場面は軽快だった。
    奥さんはこれを許容出来るくらいに変わった人なのかなと思ってたらそうでもなくて、そこは普通に嫌な気持ちになるのね、と思った。ファンタジーとリアルが共存していて、不思議な感じ。
    バーの店主が書いた願い事は、そこにいる登場人物だけじゃなくて、読者まで届くようだった。あらゆる場面にいる女性に寄りそってくれるような物語。

  • 出会ってから、幾重にもかさなった薄皮が剥がされていくのを感じていたが、今、最後の砦として封印されていたものが覚醒してしまうのではないか。

  • う~ん、「主婦病」が良かったので期待しすぎてしまったか。
    どうも入り込めなかった。
    何を軸に読めばいいのかわからない。イマイチ共感できない。

  • 森美樹さん、「主婦病」を読んで、もう一冊読もうと思い、「私の裸」(2016.5刊行の「幸福なハダカ」を改題文庫化)(2019.1)を手にしました。80数頁まで読み進めましたが、ドキドキもワクワクもなく、失速しました。

  • 成長ホルモン分泌不全性低身長症の男とその周りの4人の女性を描いた連作短編集。
    それぞれ抱える問題は違うが、いずれも女性たちが自分で殻をつくっている状態を子どものような見た目の朔也がほぐしていく。朔也の発言が世間から超越しているものではなく、様々な悪意や疎外を感じた上での発言であることに重みを感じた。いずれも明るい未来が待ってるわけではないが、何かしらの救いを描いていて好感が持てる。
    人間誰しも何かしらの側面で少数派だったり、異なる者だったりすることを意識すると、皆が共感できる物語なんだろうと思える。

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著者プロフィール

1970年、埼玉県生まれ。1995年、少女小説家としてデビュー。2013年、「朝凪」(「まばたきがスイッチ」と改題)で、R-18文学賞読者賞を受賞。主な著書に、受賞作を収録した『主婦病』のほか、『私の裸』『母親病』『神様たち』など。アンソロジーに『黒い結婚 白い結婚』がある。

「2023年 『わたしのいけない世界』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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