母親病 (新潮文庫)

  • 新潮社 (2024年1月29日発売)
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  • 本 ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101211930

作品紹介・あらすじ

女は、旦那様に一生愛されるのがしあわせなのよ――。珠美子にそう語っていた母・園枝が急死した。有毒植物が体内から検出されたという。事故か自殺か、それとも。困惑のなか遺品整理に出向いた珠美子だったが、そこに端正な顔立ちの若い男性・雪仁が訪ねてくる。園枝の死を知った彼は震えて嗚咽した。良妻賢母の見本のような園枝と雪仁の関係は……。すれ違いながら衝突する母娘を描く連作集。

感想・レビュー・書評

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  • 〈母〉は恋をしてはいけないの? 女性読者の熱い支持を集めた『主婦病』著者の最新作『母親病』本日発売! | 株式会社新潮社のプレスリリース
    https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001305.000047877.html

    母親病 森美樹 新潮社 | 白い木蓮の花の下で(2021.12.06)
    https://shiroimokuren.info/24534/

    母親病:森美樹|たま子(2024年4月28日)
    https://note.com/tamako3186/n/na65e64557b7e

    先生はどんな人? 第4回森美樹先生 | スクールマガジン | 公募スクール(2021.06.09)
    https://school.koubo.co.jp/magazine/entry-3548/

    森美樹|note
    https://note.com/morimikixxx/

    星野ちいこ hoshino chiiko(@ch11k0) • Instagram写真と動画
    https://www.instagram.com/ch11k0

    夜久かおり Yaku Kaori(@yakukaori) • Instagram写真と動画
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    『母親病』 森美樹 | 新潮社
    https://www.shinchosha.co.jp/book/121193/
    (単行本)
    https://www.shinchosha.co.jp/book/339093/

  • 母親の謎の死を巡る連作集です。正直この60代の母親の気持ちがあまり理解できなかった。共感できる登場人物もいなかった。しかし小説はそこだけが重要な訳ではないし、ミステリー的に読むこともできる作品だと思う。
    私個人としては母親にここまでもやもやを感じたことがないけれど、家族だからといって相性が悪い場合もあるだろうしその場合は関係が近い分深刻なことと思う。

  • 題名のインパクトから手に取った本
    表紙も意味深・・・

    思っていた内容とは違ったけど、
    とても新鮮だった。ミステリーの要素も強く、
    母、園枝の死の謎に引き込まれた。

    「やわらかい棘」で終わりでも成り立つけど、
    この本の奥深さは正直ここからだと思う。
    作者の実力を実感、このあとの作品もぜひ読んでみたい。

    幸仁のセリフ「知ってる?奇跡って、あとから奇跡ってわかるんだよ」
    これだけでもドキッとした。
    読んだかいがあるというものだ。
    40の年の差の恋愛(60代と25歳)あるのだろうか・・・と半信半疑
    もう一つ、気になったのは、ヘルパーの平沼さんの態度。
    珠美子が母がお世話になったことへのお礼と死因について、
    尋ねた時、「金切り声で「私は何も知りません!」」と答えたあたり、
    どうにも怪しい・・・と感じた。

    そして「砂の日々」へ繋がる。
    私が知りたかった「なごみの手、ヘルパーの平山さん」の話、
    切なかった。いかにもでもあるけど、ありそうな設定に
    少し心が苦しくなる。

    窓の外は日が暮れ、向かい側の団地に灯りがともる。
    ささやかな明るさは家族の息吹のようで、他人には我が家も尊い明るさに
    映っているのだろう。

    「尊い明るさ」上手い表現だなと思う。
    陽花や元旦那との微妙な関係や歴史など、この一言で表されている。
    すごいね。
    そのほかにも「罪悪感で細胞という細胞が脈打った」
    「園枝の爪は短く切りそろえられているが、あるかなきかの色で染まっていた」
    「限度を超えた無垢と無知は、間抜けと紙一重なのに」
    「背中の火傷の跡。出産や火傷の激痛は捨て、収集車がゴミとして持ち去ったのに、まだ痛みがくすぶっている。あるいは痛みも飽和して、歩むごとに沈んでいく、砂の日々だ」

    瑠衣に食べさせることを想像して作るクッキーには、
    園枝の家から持ち出した正体不明の赤い実を混ぜてあった。
    間一髪、陽花は食べずに済んだらしいと分かってホッとし、終わる。
    でも、なぜ??新たな疑問でこのあたりから、完読を覚悟し、夜更かしコース、
    ページをめくる手が止まらなかった。

    そして「花園」園枝と雪仁との関係が少しずつ、判明していく。
    まさか、クッキーは瑠衣の手で、園枝の家の冷蔵庫に戻ってくる。
    意外にも自然な流れだった。
    これまでの、ヘルパーと介護される側の関係性が上手く、描かれていたせいか、
    園枝のとる行動が妥当に映るように、ちゃんと彼女の考え方や人生の期し方が
    描かれていたからか・・・

    園枝の甘やかな気持ち、切実な願いの描写もいたるところに、ある。
    ベッドマットの下からノートを引っ張り出し、すかさず頬をよせた。昨夜のベッドの軋みを、このノートはまだ覚えている。
    秘密の中のラブホテルも、こんな風に素知らぬふりをしたリネンだった。
    私はここに、雪仁との日々を綴ろうと誓った。私の記憶が粉々になって、私自身が振り返って味わえなくなっても、確かに現実だと、時間を閉じ込めておけるように。

    このあたり、よくわかるなぁ。私も思ってる。だから、このブクログもそうだけど、
    記録するこに労力を惜しまない。
    流れていく日々とともに、記憶はどんどん薄くなり、寂しくなる。

    若い人同士の交わりは、肌質が類似しているから、心がついていかなくてもたいてい上手くいく。衝動も後悔も、その処理の仕方も、きっと早くて移り気だ。

    この一文も、若さを通り過ぎた今だからわかる。
    妙な説得力だ笑

    終わり方は少し不完全燃焼だけど、母親病が根底にあったとしても、
    表題としてはこれで良いのか?
    ちょっと疑問、ミステリー、サスペンス的要素としても
    十分に楽しめた。

  • どの登場人物もなんだか切ないし健気
    で、寂しい感じ

    日記というのは自己愛の燃えかす

  • この著者の作品は登場人物に共感を求めてはいけない。それを分かった上で読んだので、かなりスリリングで面白く、一気に読了。文章はとても柔らかくて美しいのに、それらが描いている世界観が異常なほどの欲深い黒さ。著者の全作品を読んではいないが、これは最高傑作だと思う。

  • 私も母親だけどあまり共感できなかった。みんな孤独を抱えて生きているんだなと思った。

  • 言いたいことはわかるけど、何かいろいろ情報が多すぎて中心が分からず気持ちは右往左往、って感じでした

  • 母親病と聞いて少しミステリー系かと思ったが他者に認めてもらう、自分という存在を認めてもらうという意味で女性が家事やり男性が外で働くという古い価値観はもう通用しないと改めて読みながら感じた本だった。そして女は、母親と言う存在は恋をしてはならないのか?とも思った。

  • 母親がテーマというよりは、性的欲求が異常に強くこだわりがある女性たちの話でした。アイデンティティの拠り所をそこに置いているような感じで、かなり謎ファンタジー。

    それとも私のような考え方がファンタジーで一般的には本書に登場する女性が主流なのか、と思うとますます不思議に思えてくる一冊でした。

    毒草を摂取するに至った経緯の設定はミステリ調で若干おもしろかった。

    文体は丁寧で読みやすいですが、場面転換にところどころついていけずしばしとまどいました。

  • 母親ってなんなんだろう、と考えさせられた。
    「家と身なりを整えて、常に子供の自慢でいること」が母の役割と言っていた母親が、一人の女性として老いと性に向き合う感じがすごかった。

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著者プロフィール

1970年、埼玉県生まれ。1995年、少女小説家としてデビュー。2013年、「朝凪」(「まばたきがスイッチ」と改題)で、R-18文学賞読者賞を受賞。主な著書に、受賞作を収録した『主婦病』のほか、『私の裸』『母親病』『神様たち』など。アンソロジーに『黒い結婚 白い結婚』がある。

「2023年 『わたしのいけない世界』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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