漢字の気持ち (新潮文庫 た 94-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101341903

作品紹介・あらすじ

漢字は、人々の思いを背負っている。祈りや愛情、思考や哲学、悩みや苦しみなど、人間の心のありようが凝縮されている-古代から脈々と続く漢字の心象に魅かれた書家・刻字家高橋政巳が、語源を遡り、百余の漢字を筆書きしながら、古代の中国や日本人の心と姿を明らかにする。「恋」と「変」はどう違う?名前の漢字の由来は?漢字の奥深さと楽しさに溢れたユニークな漢字読本。

感想・レビュー・書評

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  • 以前、「絵で読む漢字のなりたち」という本を読んで、結構漢字というのは悲惨というか恐ろしい事象が元になって型作られているんだなあという感想をもった。この本でも、例えば「烈」という字は左上の部分は死体、右上は刀、下は火を現していて、「列」は死体に刀を加えて頭と胴を切り分け、その後に頭の骨を並べること、さらにその死体を火で焼くことが「烈」ではげしいという意味となった、とある。

    偽、という字は左が人、右上が手、右下が象で、本来人間なんて一捻りで潰せるはずの象なのに、子供の頃から鎖で繋がれているために人間には逆らえないと思い込んでいて人の言うなり重労働に甘んじている=本来の象ではない、というなりたち。

    私に関係のある薬という字は草かんむりはもちろん(薬効のある)草、下の楽は両手に鈴を持った巫女さんの姿で、古代はほぼほぼ医療=祈祷だった頃の名残りが薬という文字にはあるということがわかる。

    人間として今も変わっていない部分もあれば、古代の人はこんな風に考えていたんだとわかる部分もある。漢字、面白い。

    おおーと思ったのが「色」という字の起源。あからさまで凄い。

  • この書籍は、漢字の成り立ちも含めて色んな状景に合わせて解説されています。

  • 漢字を知つてゐれば良いといふものでもありませんが、やはり漢字の意味や語源を知ると、読書の際の助けにもなりますし、何より豊かな気分になれます。
    特にある程度の地位にある人は、寄稿だのスピーチだのの機会も多からうと存じます。「でんでん首相」や「みぞうゆう財務相兼副総理」のレヴェルでは困ると申せませう。

    ところで、このひよつとこ太郎氏が最近「有無」を「ゆうむ」と読みました。その時わたくしが思つた事。「確かにゆうむといふ読みは存在するが、世間はまた漢字が読めない大臣と騒ぐだらうな。そして擁護派は『いや、ゆうむといふ読みは間違ひではない、知つたかぶりの無知なアンチが逆に恥を晒した』と反論するであらう」
    まつたく想像通りの展開となりましたが、この財務大臣兼副総理はそこまで承知した上で発言した訳ではありますまい。単に有無を「うむ」と読む事を知らなかつたのでせう。踏襲を「ふしゅう」と読んでくれる人ですから。

    いや、余計な事を述べてしまつた。
    戦後、日本の文化人や学者、為政者は敗戦の一因に、日本語を槍玉に挙げました。こんな不完全で非論理的な言語を国語としてゐるから、世界から文化面でも遅れを取るのだ、なんてね。
    中でも漢字は悪者扱ひされ、難しい漢字は簡略化され、なるべく漢字を使はぬ文章が推奨され、いづれはローマ字化したいとの意図が見えました。タイプライターの都合とかで。

    しかし今や日本語入力は自在であります。画数の多い漢字でも容易に入力できるのであります。さうであれば漢字の復権は必然と申せませう。
    古代中国より輸入された漢字は、日本で独自の発展を遂げ、表意文字として優れた機能を持つてゐます。その語源を辿ると、古代人の生活ぶりや思想が垣間見えるのであります。それを本書では『漢字の気持ち』と優しく表現してゐます。漢字一つ一つに想ひが詰つてゐるのです。今更正字に戻せとは申し上げ難いですが、新字だと元の表意が分からぬ事が多い。例へば「戀⇒恋」や「樂⇒楽」など。
    また、本書で紹介される「象⇒為⇒偽」の変遷は不勉強にして存じ上げませんでした。確かに悲しい物語であります。

    なほ、巻末付録として「名前に使われる漢字の語源」が収録されてゐます。かつては漢字の意味を尊んで命名されたのに、最近は見た目の字面と読みを優先する傾向があつて、結果他人には読みにくい名前が増えてゐるといふことです。キラキラネームつてやつですな。個人的には、他人から正しく読まれない名前を喜喜として付ける神経が分かりません。
    とまあ、いろいろあつてうまくまとまりませんが、少しだけ「漢字の気持ち」が分つたやうな気がする一冊でございます。

    http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-744.html

  • 日本人ならぜひ読んでほしい、

  • 2011/04/04購入・06/27読了

    漢字に興味をもつのには、いい一冊ではないでしょうか。

  • 古代漢字をもとに、漢字の意味を紐解いていく1冊。
    後半になると、無理やり感が出てくるけど。

    子供の名前つけるときの参考にもなるかも。
    僕は、「希」っていう字付けます。生きる勇気。

  • 漢字の成り立ちから、その本義を解き明かす楽しい一冊。表音でない表意文字の真髄に迫る。最後に、昨今の名づけが語感に走りすぎて、漢字本来の意が名前にこめられていないという嘆きは、大いにうなずける。バカげた名前をつける近頃の若い親にも読ませたい。

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