おい癌め酌みかはさうぜ秋の酒: 江國滋闘病日記 (新潮文庫 え 6-4)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (449ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101378046

作品紹介・あらすじ

俳句ブームの火付け役であり、挨拶句の名手であり、辛口ながらユーモアあふれる随筆家として人気絶頂だった著者を、病魔が襲う。「高見順です」という医師の告知が始まりだった。以来、食道癌と向き合い、克明な日記を付け、療養句を詠み続ける日々。度重なる手術、骨への移転など、過酷な病状にも執念の執筆は続くが、ついに辞世の句を遺して永眠。激しく見事な人生がここにある。

感想・レビュー・書評

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  • 壮絶な、そしてある意味凄惨な闘病記。著者特有の表現力と鋭い観察力、日記に挟まれるかたちで記される多くの「十七文字」のちからにより、最後まで読むことができた。
    外科手術とその後遺症、とくに再発とその苦痛に関する記述には、あえて再度記すが「壮絶かつ凄惨」と記すほかない印象をもった。そういえば、現在もがん治療においてそれなりに支持されているらしい近藤某氏が目立ってきたのは、江國氏が闘病されていた時期に重なっていたのではないか。わたし自身は近藤氏の「理論」には批判・否定的な考えを抱くが、彼の「理論」が一定の支持を集めた時代背景の一端は、この著作から読み取ることができるようにも思った。
    おそらく現在のがん治療は別次元に進化しているのだろう。しかし現在でも、あるいは現在だからこそ、読む意義のある闘病記だと思う。

  • 916
    食道がん

  • すごい本読んじゃったよ、と読み終わってから思った。
    辞世の句と、最期の筆談でぞわぞわする。

    20111004、購入。うれしい。

  • 食道がん。随筆家として俳人として闘病の様子を強い意志を持って書き続けたもの。病院で交わされる言葉の問題、不安の中にある患者が医療従事者の言葉にいかに影響を受けるものかが伝わってきます。一ヶ月の医療費請求が百万円を超えている明細が綴られているのをみると経済的な問題という視点も考えさせられます。食事が出来ない中で食べ物を扱ったテレビ番組ばかりみてしまうというのは意外な気がしました。

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著者プロフィール

江國滋
一九三四年東京生まれ。演芸評論家、エッセイスト、俳人。慶應義塾大学法学部卒業。新潮社勤務を経て、独立。六一年に『落語手帖』を刊行し、以後、随筆、紀行、評論の分野で活躍する。九七年没。主な著書に『日本語八ツ当り』『俳句とあそぶ法』『落語美学』『旅はパレット』『スペイン絵日記』。句集に『神の御意――滋酔郎句集』『癌め』など。

「2023年 『俳句とあそぶ法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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