鏡館の殺人 (新潮文庫nex)

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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101801957

作品紹介・あらすじ

「はじまるよ」……。今宵限りの完全犯罪。妾腹の少女たちが暮らす「鏡館」。左右対称の新旧の館に、48枚の姿見が配置されている。富豪の父は一年に一度訪れ、政略結婚のために娘を選び出す。それは籠の鳥のわたしたちが自由になれる唯一の機会。今日はその大事な日なのに……。鏡に映るわたしの隣に、「死んだ姉」が現れる。鏡面に浮かぶ不吉な文字、新旧館の構造と姿見の謎、密室の逆トリック。そして殺人者は、鏡から出現した!

感想・レビュー・書評

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  • 富豪・松太郎が妾に産ませた少女たちは、左右対称の新旧の棟に48枚の姿見がある「鏡館」に軟禁されていた。父は年に一度だけやってくる。その日に鏡面が不吉な文字を映し出し──。使用人探偵シリーズ第四弾。

    妾腹の少女たちを集めて共同生活させ、頃合いになったら政略結婚として嫁がせる。歯向かった子は身一つで追放。「松太郎、人の心とかないんか?」と言わざるを得ない。そんな悪魔的な発想の館で巻き起こる事件もまた悪魔が棲んでいた。主人公は妾腹の少女の一人、澄香。松太郎は本妻とは子宝に恵まれず、後継者とする男児を求めて妾を作った。だが、生まれた子は女児。しかも不吉な双子!澄香は双子の姉・桐花とともに育てられた。そんなある日、桐花はとある理由から割った鏡で喉を突き「自ら命を絶った」はずだった。

    それなのに、姿見を見ると死んだはずの桐花が隣にいて耳打ちするのだ。「ころす」と。今までそのことを伝えても、誰も信じてくれなかった。そこに現れた使用人がシズカ!彼女なら理解してもらえるかも…という淡い期待を抱くも、事件発生によって事態が一変する。今回も舞台づくりが上手い。左右対称の館。48枚の鏡と謎の刻印。壁がすべて鏡張りの部屋。死んだはずの双子。妾腹の少女たち。鏡が映し出した不吉な文字。少女×ホラーという雰囲気に、シズカという使用人探偵が論理で挑む。

    シリーズで一番軽やかな仕上がり。ミステリを読み慣れている人なら真相に近いところまですぐ見抜けるかも。鏡には真実が映る。その鏡に映ったものを先入観なく読み取れるかが鍵になってくる。個人的にはドラマもトリックもあっさりし過ぎかなあという印象。少女たちのドラマが深掘りされていれば、事件と選択の重みが増したと思う。魅力的だけど設定的に扱いづらい要素もあったなと。あと、瑠璃が暴言で煽りまくるのが読んでいてきつかったな…。ラストのイイハナシナノカナーというオチもうーん。

  • 人里離れた奥地に建てられた広大な館。
    そこに集められたのは、訳ありの少女たち。
    その館には多数の鏡が設置されていることから、鏡館と呼ばれていた。
    嵐の夜、館は孤立する。そこで発生する殺人事件。現場は、密室の状態にあった。
    この設定で面白くない訳がない。
    ミステリ好きの琴線に触れるような設定で、とても楽しく読めた。

  • 話の内容はとても面白かったです。

    この著者の本はこれで初めて読みましたが、装丁も美しく尚且つ設定や登場人物のやりとりが面白くて同じ作者さんの本を他にも読んでみようと思うきっかけになりました。

    しかし、見取り図があるともっと良かったと思いますし、トリックは「そう来たか〜」と少し残念な感じだったので星3つにしました。

  • 鏡ばかりの屋敷で起こる連続殺人事件。
    妾の子供ばかり、しかも女の子ばかりの屋敷で何が起こっているのか。
    トリックが割と早く読めてしまうのが、なんとも(^◇^;)
    それでも次回作はと期待してしまうのが(T . T)

  • シズカシリーズ。
    48枚の鏡が配置された新旧二つの館。集められた妾腹の娘たち。父親殺しの犯人は誰?
    ヴァンダインの20則流石に破りすぎなんちゃうかと思うぐらい、はちゃめちゃな展開。おどろおどろしい展開や雰囲気は嫌いじゃないのですが、流石にアンフェアすぎるのでは?見立て破りのシリーズお馴染みの展開は好き、

  • 懐かしい読後感だわ。
    これぞ「館モノ」って感じ。

    nexだから、対象読者は
    まだあまりミステリを読んでいない層のはず。
    そういう新鮮な状態で読んだなら
    もっとアッ!と思ったかも…。

  • 黒澤家の娘たちが住む鏡館で起こる殺人事件。今回も最後のシズカさんによる論理的考察シーンがよかった。なんとなく最初からオチの一部に勘づいてしまうのもあるけど。
    これは館の見取り図とか鏡の位置のナンバリングの説明とかあったら面白かったかも!

  • 使用人探偵シズカシリーズ第4弾。
    富豪の妾腹の娘たちが暮らす鏡館で起こった殺人。
    ミステリとしては特に驚きはなかったが、少女たちが暮らす館の現実離れした雰囲気がよかった。

  • 使用人探偵のシズカシリーズ4作目。
    前の3作がすごく好きで購入しました。
    美しい使用人のシズカさんがお使えする館では事件が起きる、、、事件の謎もそうですが、私的にはシズカさんの方が気になります笑
    今回はちょっと真相にたどり着くのが難しかった感じ。スッキリというより、ん?そうだったかな?と前に戻って読み直しました。
    こちらのシリーズ、賛否がかなり分かれるようですが館ミステリー好きとしては外せないかなー笑

  • タイトル買い。
    暗黒館の殺人を思わせる雰囲気がずっと漂っている感じだった。トリックやオチはなんとなく想像できたので、後半の謎解き部分がちょっとまどろっこしく感じてしまった。全体的には読みやすくて比較的すぐに読み切れた。見取り図があればもう少しわかりやすかったと思う。
    シリーズものらしいので、他の作品も読んでみようと思う。

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